中居正広という天才 深夜番組の後ろにいた芸能記者への気遣い

中居正広という天才 深夜番組の後ろにいた芸能記者への気遣い

城下尊之【芸能界ぶっちゃけトーク】

 中居正広(47)のジャニーズ事務所退所会見は、さながら“ワンマントークショー”で大好評だった。

 笑いは満載でいながら、自然体で本音をしゃべっていた。元SMAPのメンバーの不仲説を報道陣から聞かれても「なぜ知ってるの? と思った」とか、元SMAPメンバーとの共演や再結成については「1%から99%の間で、絶対にないとは言えない」と話し、《そんなこと、わからない》ということを、うまく転がしていたように見えた。

 また、ジャニーズ退所をスタッフに引き留められなかったのかと問われると、「引き留められなかった。事務所の人の残念そうな演技がヘタだった」とこれも一流の笑いで受け流した。

 たったひとりで、誰にも相談することなく退所を決めたのだが、その表情の明るさから、ジャニーズと円満に話し合いが終わったことがうかがわれた。中居は、もう随分前から自分のやりたい仕事を続けていて、独立後は個人事務所「のんびりな会」で活動し、彼の出演番組にも変わりはないという。

 “歌”をやっていく気はないし、芝居をやりたいというのでもない。例えば、木村拓哉(47)はコンサートツアーを大成功させたばかりだが、そこにはジャニーズの力が必要。しかし、中居の仕事の方向性なら、ジャニーズの手伝いはなくても大丈夫だろう。

■テレビマンから悪口を聞いたことがない

 中居は人を嫌な気持ちにさせないという“特技”を持っている。そこにいる、あらゆる人に配慮ができる、すごい司会者であると思う。

 以前、中居が司会していた深夜番組に出たことがある。僕は後ろの方で「〇×」の札を上げるだけの役割だったのだが、「城下さん、どう?」と僕の答えやすい質問を振ってくれ、その返答をうまく笑いに変えてくれた。トークに集中しながら、彼は恐ろしいほど冷静に周囲を見ている。後ろで手持ち無沙汰にしていた僕を見とがめ、多分、彼は僕の名前もよく知らなかっただろうに、格好をつけさせてくれたのだ。

 こまやかな気遣いをしながら、それを感じさせずに笑いを取っていく。これはトップスター、タレントの総合力のなせるワザだ。

 今回の2時間に及んだ会見でも、やはり彼は記者やリポーター個々に目配せしていた。そんな彼だからこそ、ジャニーズとその所属タレントたちに後押しされ、テレビマンたちに支持されているのだ。

 さて、彼がのんびりと何をしてくれるのか。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)