脳神経外科の“にわかドクター”気分になれる 『トップナイフ』

引用元:夕刊フジ

【TV視てますか?】

 防護服を着て新型コロナウイルス感染者を診療する医療従事者の映像が日常化した今冬だが、困ったことに(?)フィクションの世界も今季は病院だらけ、白衣だらけ。もしかしたら医療ドラマの本数は史上最多かもしれない。

 その中、数字的にほぼトップを走っているのが日本テレビ土曜夜10時の『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』。

 林宏司氏の脚本。医療系ドラマの金字塔『医龍』と『コード・ブルー』(いずれもフジテレビ)を手がけてきた林氏だもの、日テレとはいえドラマの中身は勝手知ったるフィールド。しかもすでにクランクインしていたNHKの次回朝ドラ『エール』の脚本をなぜかは知らぬが突如降板後の“初仕事”。「失敗」するわけにいかない。いや「失敗」するはずがない。

 天海祐希主演。そう、彼女のヒット作『離婚弁護士』『BOSS』(いずれもフジ)を書いたのも林氏。さらに演出も天海主演の問題作『女王の教室』(日テレ)を手がけた大塚恭二氏。いずれも勝手知ったるなのだ。

 脳神経外科の医師は天海のほか、椎名桔平、永山絢斗、広瀬アリス、そして部長の三浦友和。天海と椎名の共演は20年ぶりというが、息はぴったり。椎名は『コード・ブルー』の救命救急医、広瀬は『ラジエーションハウス』の放射線技師で白衣が似合っていたし…(今回はコメディエンヌに徹している)。

 この5人と看護師の福士誠治に加え、森田望智(看護師)、宮本茉由(部長秘書)、藤本泉(看護師)、医師たちのたまり場「バー・カサブランカ」マスターの古川雄大がドラマに新風を吹き込んでいる。

 舞台が「脳神経外科」というのも新鮮。脚本家もかなり勉強したのだろう。テント髄膜腫、コタール症候群、外国語様アクセント症候群、コルサコフ症候群、フレゴリの錯覚といった初めて耳にする病名や症状が次々に登場し、ドラマに展開させている。カンファレンスのシーンではそれらを立体CGで説明。脳外の“にわかドクター”気分にしてくれる。(新橋のネクタイ巻き)