加藤シゲアキの自由と変化!NEWS、俳優、小説家…三足のわらじで一番自分に合った物作り

引用元:スポーツ報知

 NEWS・加藤シゲアキ(32)が、フジテレビ系スペシャルドラマ「悪魔の手毬唄~金田一耕助、ふたたび~」(21日・後9時15分)に主演する。昨年の「犬神家の一族」に続いて、2度目の金田一役で締めくくる令和元年。アイドルに俳優、小説家としての肩書も持つ。それぞれの仕事に対する思いとともに、グループとしても昨年の結成15周年という大きな1年を経た今、加藤が求めるものに「自由」、そして「変化」を挙げた。(ペン・畑中 祐司)

 数々の名優が演じてきた金田一耕助。ドラマとしては、加藤が“15代目”だ。平成最後、そして令和初。2年連続で演じることに、背筋は伸びる。

 「2回目があるということは、すごく光栄。素直にとてもうれしかった。たくさんの偉大な方々が演じてきた人気のキャラクター。去年も感じてましたけど、すごく責任のある役だと、当然のことながら感じています」

 ミステリー作家・横溝正史氏の不朽の名作シリーズに登場する名探偵として、あまりに有名な金田一耕助。2度目とあってぼさぼさ頭、着流しにゲタばき姿がさらに板についている。

 「1年ぶりぐらいなんですけど、あんまり空いたような気がしないというか。普通、ドラマだと何パターンも衣装がある。前回もそうだけど、連続ドラマより長い間、これを着ている。これを着たらスイッチが入るというか。金田一をやるんだなという思いが、より濃くなる感じはある」

 衣装のくたびれ具合が、重ねた撮影の日々を物語る。撮影は佳境を迎えた。

 「津々浦々行って、移動だけでも結構かかりました。もう核心部分も撮り終えたけど、出来上がりが想定できているというより、その場のみんなのお芝居を体感しながら進めている。衣装も元々傷んでいるものを、どんどん傷ませてやっているので、僕より服のダメージの方が大きいかな」

 数々の名優が演じ、ある種、確立されたキャラクターだからこその難しさがある。

 「できる限り読んだり調べたりしてはいるけど、すればするほど分からなくなる。やはり皆さんそれぞれのアプローチで演じてこられたわけだから。なぞっても仕方ない。考えれば考えるほど深みにはまってしまうので。その部分は今回もやっぱり悩みましたし、いまだに悩んでいるところはありますね」

 “相棒”の警部役には、ドラマの“第4代”、映画の“第10代”として計47作で金田一を演じた古谷一行(75)がいる。これ以上ないお手本が目の前にいた。

 「必然的に『当時はどうだったんですか』とか。古谷さんで割と印象的だったのが逆立ちのシーン。『あれって何で生まれたんですか』って。そういう話を伺ったりはするけど、でも、それは、いち金田一ファンとして。あえて役作りのアプローチを聞いたりするのはヤボかなと。結局、金田一って何か考えているんだか、考えていないんだか分からないところがある。詰め過ぎないように、というところもある。古谷さん自体も、金田一に違う役で出ていることに違和感があるみたいで、そういうところも面白い。お互い新鮮」

 加藤が感じる金田一というキャラクターの魅力とは。

 「人間的な要素もあるけど、やっぱり変わっている。人たらしというか、チャーミングな部分もある。決して、格好いいキャラクターじゃない。でも、寅さんじゃないけど、フーテンな感じが格好いい。そういうところは憧れるというか、自分もそうでありたいと思う」

 30代になって出会った新たなキャラクターは、年を重ねる上で変化する自身の心境にも通ずる。

 「32歳って、どこか中ぶらりんの時代でもある。中途半端っちゃ中途半端。でも、20代半ばとかって、自分はこうしていくべきだよなって、周りから求められる自分もかなり意識していた。これからは、もう少し、自分がやりたいことを表現できたら。それが何かは分からないけど。自分も、もう少し自由になれたらなと思っています」

 やりたいことを表現する一つに、12年に「ピンクとグレー」でデビューした作家業がある。「格段、小説を読むのが好きだったわけでもなかった」という。その加藤が、なぜ作家の道を選んだのか。

 「物を作りたかったんですよ。(若い頃は)嫌なヤツだったでしょうね。『納得できない!』『全部自分でやりたい!』みたいな、そういうこと。小説じゃなくても、絵でも写真でも映像でも何でも、そこに才能があればやっていたし、一通り手もつけましたし、今でも好き。音楽も作ったりする。何かこう、小説が結果的に自分に合っていたということですね。何か思春期の時に表現したい気持ちが、一番いい形でアウトプットできたのが、結果的に小説だったんだと思う」

 文筆業は、俳優業などとは違ってゼロから1を生み出す作業の積み重ねでもある。

 「NEWSとか演技の活動は、やっぱりチームプレー。それはそれですごく楽しいし、1人では行けないところに行けることも、とてもやりがいがある。その上で、何かこう一切合切、自分で責任を取ることがしたかったんでしょうね。もちろん編集の方とかの力もあるけど、誰にも頼ることなく自分で何かを成し遂げることに対する憧れというか」

 一方で、ドラマなどに出演することは「本」に触れることにもなる。NEWS、俳優、小説家と“三足のわらじ”を履く。

 「基本的には同じベクトル。どれか一個抜けるとすごくさみしくなるというか、物足りない感じ。バランスよくやらせてもらってる。だから、健全でいられる。書くのは半分ライフワーク。ありがたいことに連載とかも持たせてもらっている。今年は結構ずっと書いていたので、発表できるものも近々ある予定です」

 NEWSとしては昨年に結成15周年を迎えた。ジャニーズ事務所でSMAP、関ジャニ∞に続く3組目となる東京・味の素スタジアム公演も成功させるなど、大きな1年となった。作家としての活動が充実しているからこその思いもある。

 「NEWSとしては、ツアーも活動の流れの中でやらせてもらっている。それがずっと続けていければと思うし、ライブ会場も大きく、海外で、という夢は尽きないし、4人で楽しく。僕は、NEWSの活動が空いてたら本を、ってなる。(15周年を終えて)今年はリリースが少なかったのはあるので、それが逆転しかねなかったけど、逆にもうちょっと小説だけじゃなく、NEWSのことをがんがんアピールしないと、と思った1年でした」

 3本の柱の中で、共通した信念は「油断しない」ことだという。

 「いろいろやって疲れてくると、これぐらいでいいかという考えも出てきちゃう。小説だと、とりあえずこの表現で置いておこうって、結果そのままいっちゃったりする。油断しないというのは、そういうこと。自分に厳しくいられるか。台本もついつい焦って読み飛ばしたりしないように。ちゃんと厳しく。グループのこともそう。『妥協しない』というと格好いいけど。100%で向かいたいと思うけど、100%って自分で思っているだけで、実際できているか分からない。だから、油断しない。後悔しないように」

 今年、個人としても4年半、金曜レギュラーを務めた「ビビット」(TBS系)が番組終了するなど変化もあった。

 「続けていくことの楽しさもあるし、すごさも感じているけど、連載も終わったり、終わるものもそれなりにあった。そういうものもネガ(ティブ)に捉えているわけじゃなく、一つの転換。終わるんだから、じゃ次は、っていう。何か一つ変われるきっかけ」

 自身の今後についても「変化」をテーマに掲げた。それは金田一の“フーテンさ”にもつながるものだ。

 「変わるっていっても、どうなるってことではなく、漠然とですけど。自分らしくって、言葉にするとすごく平易。でも、自由に自分らしくいられたら、それがきっとファンの人も面白いんじゃないかなって思いますね。みんなに面白がってもらえるように変われたら。2020年は日本全体が大きく動く年でもある。自分も何か感じられるものがあれば」

 ◆加藤 シゲアキ(かとう・しげあき)本名・加藤成亮。1987年7月11日、広島市生まれ。32歳。99年にジャニーズ事務所入所。同年、日本テレビ系「怖い日曜日 友達のJ君」でドラマデビュー。2003年にNEWSのメンバーとして「NEWSニッポン」でCDデビュー。10年に青山学院大法学部を卒業し、テレビ東京系「トラブルマン」で連続ドラマ初主演。11年に活動名を加藤成亮から変更。12年1月「ピンクとグレー」で小説家デビュー。血液型A。

報知新聞社