堤真一&石田ゆり子が夫婦役で初共演!堤幸彦監督が本格サスペンス『望み』を映画化

引用元:Movie Walker
堤真一&石田ゆり子が夫婦役で初共演!堤幸彦監督が本格サスペンス『望み』を映画化

「クローズド・ノート」「検察側の罪人」の雫井脩介によるサスペンス小説「望み」。2016年に刊行されるや読者満足度は驚異の100%(ブクログ調べ)を記録し、累計発行部数15万部を超えるベストセラー小説が、満を持して映画化。主要キャスト、スタッフ情報が解禁となった。

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一級建築士の石川一登(堤真一)と、一登の妻で校正者の貴代美(石田ゆり子)はモデルハウスのような高級邸宅で、高校生の息子である規士と中学三年生の娘、雅と共に平和に暮らしていた。しかしある時、怪我でサッカー部を辞めた規士が無断外泊から帰らず、同級生の殺人事件との関与を疑われる事態に。規士は犯人なのか、それとも…。

原作者の雫井は当初映画化について、「父と母の心理描写を軸にして紡いだ作品であり、心理描写が使えない映像というジャンルでこの物語を活かすことは難しいのでは」と感じたが、日本を代表するスタッフ、キャストたちの集結によって不安は楽しみに変わったという。

主人公の一登を演じ主演を務めるのは、これまで数々の映画賞を受賞し、『決算!忠臣蔵』(19)など痛快なコメディ作品からクラシカルな文芸大作の舞台もこなす堤。妻の貴代美を演じるのは『マチネの終わりに』(19)などで細やかな感情表現を繊細に演じる石田だ。

監督は、映画のみならず様々な分野で活躍する堤幸彦が務め、脚本には『八日目の蝉』(11)や『おおかみこどもの雨と雪』(12)など、巧みな人物描写に定評のある奥寺佐渡子と、実力派スタッフとキャストで本格サスペンスに挑んだ。

“ダブル堤”となる堤監督と初コラボレーションとなる主演の堤は、監督の“順撮り”という撮影方法によって作品に入り込むことが出来たという。「脚本を初めて読んだ時は、難しい作品だと感じました。でも実際撮影に入ってみると、子どもたちがとても愛おしく思えたんです。家族に一体感が生まれて、無理することなく芝居ができました」と語り、『悼む人』(15)以来2度目のタッグとなる石田も、「私たち俳優の気持ちを汲んで、ほぼ順撮りにして下さりそのことが本当にありがたかったです。きっと目に見えない大切なことが沢山映っている映画になるのではないかと思っています」と作品への手応えも感じたようだ。

また初共演となるお互いの印象について、「いつも現場の空気を和ませてくれる素敵な方です」と堤が語れば、石田も「家族の物語なので、率先してみんなをまとめてくださったり場を和ませてくださったりと、とてもありがたかったです」と夫婦役のチームワークもばっちりだった様子。

本作の構想に4年の歳月を費やした堤監督。単行本刊行当時から映画化の希望が各社から殺到した原作に惚れ込み、キャスティングやセットには特にこだわったという。石川家が暮らすのは、一級建築士の主人公が手掛けた自慢の邸宅であり、建坪40坪程の広く開放的な石川邸を再現するべく、大規模なセットが組まれた。石川邸の外観は、3か月かけて20件以上の物件を巡って探しだした理想のロケーションだそう。幸せの象徴であるはずのマイホームは、いつしか牢獄のように家族を孤立させていく舞台となるのだ。

堤監督は、本作を「息子が事件の被害者となるか加害者となるか、どちらの結末を迎えても惨憺たる結果になる物語」としつつ、その見どころを次のように語る。「社会的にも経済的にも成功した主人公が、息子の失踪をきっかけに『家族』が壊されていく。我が身に明日起きても不思議ではない。そのスリルと感情の揺れをストレートに役者の芝居で描きました」。

犯人であっても生きていてほしい母親と、被害者であっても息子の無実を信じたい父親、家族の“望み”が交錯していく本作。愛する息子は被害者なのか、それとも殺人犯なのか?究極のシチュエーションに置かれた家族を待ち受ける、衝撃のラストとは…。必見のサスペンスとなること間違いなしの本作は今秋予定だ。

<キャスト・スタッフ コメント>

●堤幸彦(監督)

「息子が事件の被害者となるか加害者となるか、どちらの結末を迎えても惨憺たる結果になるこの物語はミステリーであるだけでなく、設定や行動のディティール、父と母の葛藤とその心理描写の緻密さに圧倒されました。社会的にも経済的にも成功した主人公が、息子の失踪をきっかけにその『家族』が壊されていく。我が身に明日起きても不思議ではない。そのスリルと感情の揺れをストレートに役者の芝居で描きたいと考えました。堤真一さんとは初めてですが、映画『クライマーズ・ハイ』(08)やいくつかの舞台、映画、ドラマを拝見させていただいてお手合わせしたいと考えていました。また石田ゆり子さんとは『悼む人』(15)以来6年ぶりとなりますが、お二人とも苦悩する父と母を見事に演じきってくださいました」

●堤真一(石川一登役)

「堤幸彦監督とは初めてのお仕事でしたが、毎日現場に入ると監督が、その日の撮影イメージについて丁寧に説明してくださいました。芝居を見てから、シーンのカット割りを決めていくという、現場主義の監督ですね。脚本を初めて読んだときは、難しい作品だと感じました。家族をテーマにしたサスペンスであり、ただの家庭ドラマではない。自分の子供がまだ小さいからか、中高生の子を持つ親の気持ちやその年頃特有の不安定さというのが掴みづらくて、最初はできるだろうかと不安もありました。でも、実際撮影に入ってみると、その中高生の子供たちが自分の子供として、とても愛おしく思えたんです。監督が順撮りしてくださったお陰なのですが、家族に一体感が生まれて、無理することなく芝居ができました。石田ゆり子さんとは初共演でしたが、いずれご一緒したいと思っていました。いつも現場の空気を和ませてくれる素敵な方で、今回、一緒に家族を演じることができ、とても嬉しかったです」

●石田ゆり子(石川貴代美役)

「堤幸彦監督とは『悼む人』(15)以来です。撮影はとても早いし、無駄なことを一切おっしゃらないので役者としてはとても緊張感があります。今回は私たち俳優の気持ちを汲んで、ほぼ順取りにして下さりそのことが本当にありがたかったです。奥寺佐渡子さんの脚本は、辛い中にも透明感というか、優しい光のようなものを感じる素晴らしいものでした。本当に辛い物語なのですが、でもきっと目に見えない大切なことが沢山映っている映画になるのではないかと思っています。堤真一さんとは、いつかご一緒したいと思っていたのでご一緒できて幸せでした。家族の物語なので、率先してみんなをまとめてくださったり、楽しい話をして、場を和ませてくださったりとてもありがたかったです。私の役は、息子が加害者であろうと被害者であろうととにかく命だけはあってほしいと願い続ける母親の役なのですがその点においては一切の異論なく彼女の気持ちがわかります。『望みはある』という信じ続ける彼女を演じながら私はいつも、祈るような気持ちでいました」

●雫井脩介(原作)

「『望み』は、父と母の心理描写を軸にして紡いだ作品であり、その心理描写が使えない映像というジャンルでこの物語を活かすことは難しいのではと思っていました。しかし、奥寺佐渡子さんから素晴らしい脚本が上がったことでその不安は消え、シリアスな社会派ドラマを含めた多くの作品を手がけてきた堤幸彦監督が、これをどのようにスクリーンに映し出してくれるかという楽しみが一気にふくらみました。堤真一さんと石田ゆり子さんはその安定感でもって、よき父、よき母にしっくり収まります。それゆえ、事件によって平穏な日常が壊れていく様も際立ち、観る者に強く訴えかけてくることだろうと思います」(Movie Walker・文/編集部)