『酔う化け』片桐監督、松本穂香の起用理由は“たぬき顔”「それが結構、大事」

引用元:オリコン
『酔う化け』片桐監督、松本穂香の起用理由は“たぬき顔”「それが結構、大事」

 漫画家の菊池真理子氏、片桐健滋監督が26日、都内で映画『酔うと化け物になる父がつらい』(3月6日公開)のトークイベントに参加した。

【写真】主演の決め手は”たぬき顔”…微笑む姿が可愛い松本穂香

 菊池氏原作のノンフィクションコミックエッセイの実写化。アルコールに溺れる父を持つ菊池氏の実体験に基づいている。父はアルコール依存、母は新興宗教信者で、主人公は酔って化け物になった父の奇行に悩まされ、母の孤独に触れながら、崩壊していく家族の中で、がむしゃらに未来を見つけていくストーリーとなっている。

 映画化オファーを振り返った菊池氏は「ただひたすらビックリしました。大人の事情で書けないこともあると思っていたので」と苦笑い。片桐監督も「菊池先生もおっしゃっていたように難しいなというのが1番の印象。自分もお酒を飲む人。どういう風に菊池先生が経験したことを書けばいいのかと思いました。菊池先生の人生を書かれている作品。それを預かって自分なりに解釈する。人が生きてきた歴史を預かるのは緊張しました」と話していた。菊池氏は映画化するにあたり、リクエストした部分を問われると「キレイな家族愛のストーリーにしないでくださいと話しました」と思いを打ち明けていた。

 ダブル主演となる松本穂香、渋川清彦の起用理由も明かした。渋川について片桐監督は「菊池先生の原作は、先生の実体験の目線。僕はお酒を飲むし、娘もいる。父親の部分は自分なりの解釈で家族の物語で描ければいいなと思った」と酔うと“化け物”になる父親という役柄を説明。「やっている行為は決して褒められるものではないが、なんとなくユーモラスに見える父親がいいなと思った。特に笑顔がチャーミングな。渋川さんはお付き合いも長いので決めていました」と語った。

 一方、松本について片桐監督は「昔、ほかの監督のオーディションでお会いしたときに印象に残っていた」と振り返った。同時に「顔がタヌキっぽいんです。それが結構、大事。困っている顔が、あまり悲惨にならない。でも、お芝居で飛び越えられる。年齢も含めて松本さんがいいなと思った」とタヌキ顔が決め手の1つとなったことを明かし、笑わせた。

 菊池氏は現場で2人対面。「松本さんは裏も表もなく、完全にあの通りの人。おちゃらけるでも、こびを売るでもない。あのまま。女優さんって、こういう方なんだなと思いました」としみじみ。ちょうど渋川が出演しないシーンで現場を訪問したそうで「邪魔にならないように端にいたらサササっと来て、ものすごくフランクにいろんなことを聞いてきてくれた。後から渋川さんに『気を遣って話してくださって、ありがとうございます』と言ったら『役作りにも生かせるかなと思って質問したんだけどね』ということもフラっと言ってくれるようなオープンな方でした」と笑顔を見せていた。

 そんな経緯もあった作品。初めて試写を観た感想について菊池氏は「漫画は私の名前ですけど、映画はサキちゃんという別の女の子が主人公。冷静に観られるかなと思ったけど、全然、そんなことなかった。ちょっと早い走馬灯を見ているよう。斜に構えようとして失敗して大号泣でした」と照れ笑い。そして片桐監督にプチクレームし、「私は号泣していて、みなさんに『ありがとうございました』と言っているときに監督は逃げちゃった」と暴露。片桐監督は「作ったものを原作の先生に観ていただくのは、とても緊張する。人付き合いもうまい方じゃないので…。泣いている時点でいいのか、悪いのか、ごちゃごちゃして『とりあえず泣いている人には触れない』というつもりで…」と取り繕ったが、菊池氏は「それにしても逃げなくてもいいじゃないですか! 大人の対応ってあるじゃないですか(笑)」と追求していた。