仏フィギュア界激震。未成年選手へのレイプ告発で暴かれたフランスの”古き悪しき”伝統

引用元:ELLE ONLINE
仏フィギュア界激震。未成年選手へのレイプ告発で暴かれたフランスの”古き悪しき”伝統

2020年の幕が開けたばかりの1月、仏フィギュア・スケート界に激震が走った。フランス選手権を10度も制覇し、2000年の世界選手権で銅メダルに輝いた元フィギュア・スケーター、サラ・アビトボルが選手時代、コーチから継続的なレイプを受けたと告発した。それは2年以上に渡り、始まったのは彼女がわずか15歳のときだった。 仏フィギュア界激震。未成年選手へのレイプ告発で暴かれたフランスの”古き悪しき”伝統 ジル・ベイエと当時の教え子レティシア・ユベール。1992年 GETTY IMAGES

あっさり罪を認める

この事実を元コーチのジル・ベイエは認め、謝罪。しかし、フィギュア界での被害告発はこれで終わらなかった。1973年の全仏女王ナンシー・ソフィも当時のコーチ、ジャック・モロゼクにわいせつ行為を受けたと訴えた。彼女の被害は14歳から18歳まで続いたという。さらに3名の告発者が続き、仏アイススポーツ連盟の現職員の中からジャン=ロラン・ラクレ、ミシェル・ロッツがさらなる加害者として名前が挙げられた。 仏フィギュア界激震。未成年選手へのレイプ告発で暴かれたフランスの”古き悪しき”伝統 ゲヤゲ元会長 GETTY IMAGES

未成年選手への性的行為が認められても“クビ”にならないコーチ

2001年、ベイエはスポーツ省の調査により「シリアスな行為」を繰り返し行っていたと判明し職を解かれた。にも拘わらず、今度はアイスホッケーチームで働くというおかしな異動がなされていた。これが報道されると多くの人々は激怒。まだ10代の選手と性関係をもって裁かれたコーチが同じ連盟下にあるチームに異動したとあっては、何かあったと思わざるをえない。もしかしたらフィギュア界の性犯罪を知っていたのでは? ベイエが全く異なる業界で就職活動をすれば怪しまれる。スキャンダルになるを恐れて連盟全体で囲ったのでは? 様々な憶測を呼んだ。怒りの矛先はそんな状態を放置した連盟にも向いた。1998年から2度にわたり選出され、連盟会長に就任していたディディエ・ゲヤゲは、未成年へのレイプ・性的虐待をこれまで解決することなく野放しにしたと非難された。しかし世間の怒りはどこ吹く風。「見過ごしていたことは過ちではない」と会長の座にしがみつく姿勢を見せた。あまりの往生際の悪さ、いや無神経さにスポーツ大臣は直々に、会長自身への捜査を行うと宣言し、とうとう実質的にクビを言い渡すというゴシップに発展。これを受け彼は2月8日にようやく辞任に至ったが、遅きに失した感は否めない。