「朝顔金太」など横溝正史の単行本未収録作品が本に

　作家、横溝正史（１９０２～８１年）の捕物帳のうち、単行本未収録のものをまとめた作品集がオンデマンド（ＰＯＤ＝プリント・オン・デマンド）書籍で刊行されている。「朝顔金太捕物帳」「左門捕物帳・鷺十郎捕物帳」「不知火捕物双紙」の計３冊で、収録作品は４０編。

　出版しているのは捕物帳を専門に扱う出版社「捕物出版」だ。横溝の捕物帳は、テレビの時代劇にもなった「人形佐七捕物帳」が有名だが、今回の収録作品の多くが後に人形佐七に改変・流用されている。

　長瀬博之代表は「ファンの中には原作を読みたいというニーズがあった。これで横溝正史の捕物帳は全部が読めるようになった」と話す。中でも横溝作品として異彩を放つのが「朝顔金太捕物帳」だ。エログロご法度の昭和１９～２０年に書かれたことで、おどろおどろしさがなく、明るいタッチでハッピーエンドの話もある。

　注文に応じて１冊ずつ印刷・製本するオンデマンド書籍は、三省堂書店やインターネット書店のアマゾン、楽天ブックスなどで購入できる。