槇原敬之容疑者に初犯時「芸能界は甘い」と勘違いさせたもの

槇原敬之容疑者に初犯時「芸能界は甘い」と勘違いさせたもの

城下尊之【芸能界ぶっちゃけトーク】

 覚醒剤所持などの疑いで逮捕されたシンガー・ソングライターの槇原敬之容疑者(50)には、本当に失望させられた。

 1999年12月、やはり覚醒剤取締法違反で執行猶予付きの判決だった。そしてその後、芸能活動を再開し復活を遂げていた。

 よく「芸能界は甘い」と批判される。特に薬物からの復帰では、戻ったときに必ず「早過ぎるのではないか」という議論が起こる。直近では執行猶予中のピエール瀧が役者として映画で復帰することが伝えられ、僕はそれを悪いことではないと主張してきた。

 そもそも、執行猶予判決を受けている人も、何らかの仕事をしてメシを食っていく必要がある。芸能人も同じで、芸能界の仕事に戻るのは特段問題ないと考える。もちろん犯罪に対する深い反省があることが条件で、槇原の更生を期するなら、薬物絡みの交友を断ち切るとともに生活基盤の整備も重要になる。国際的な麻薬依存自助団体「ナルコティクス・アノニマス(NA)」のプログラムでも、“仕事を持つ”ことが重視されている。“隔離”するのではなく、一般の人と同じ環境で“働く”ことで健全な生活を取り戻すという発想だろう。

 だがしかし、槇原については苦言を呈したい。99年に一緒に逮捕された元事務所社長の男性と20年以上の同居生活を続けていた。執行猶予3年の判決の後、約1年でアルバムを発売し、それが、それ以前と変わりなく売れたのだった。

 その時、僕はせめて記者会見を行って、反省の弁を述べるべきだと思ったが、それは行われなかった。1年でのアルバム発売は制作期間を考えると、ほとんど活動しない期間はなかったと言ってもいい。

 しかも、パートナー男性が2年前に覚醒剤で逮捕された際、事務所として「元社長は個人的に薬物を使用したもので、槇原にも事務所関係者にも関連はない」と平然とコメントしていた。僕は、薬物を断固拒否するため社長を解任したのだと思っていたが、今回の逮捕でそうではなかった可能性がある。実際、元社長とのパートナー解消は「彼以外、愛せない」という新たなパートナーができたためだったと伝えられる。考えてみれば、槇原にとって「芸能界は甘い」ところだった。

 あの時、衆人環視の下で頭を下げていたら、言い方は悪いが、さらし者になったという屈辱を感じてくれていたら……。あの女優にもそんな危険はないだろうか……。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)