外国籍、LGBTQ、高齢者…部屋を借りられない「住宅弱者」問題、その改善案は?

引用元:TOKYO FM+
外国籍、LGBTQ、高齢者…部屋を借りられない「住宅弱者」問題、その改善案は?

TOKYO FMの番組「鈴木おさむと小森隼の相談フライデー」。放送作家の鈴木おさむと、7人組ダンス&ボーカルグループ・GENERATIONS from EXILE TRIBEの小森隼が“相談員”となり、リスナーの人生相談にコンサルしていきます。2月14日(金)の放送は、先日おこなわれた公開収録「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL presents 相談フライデー」の模様をオンエア。ゲストにタレントのIMALUさん、株式会社LIFULL 代表取締役社長・井上高志さんを迎え、“住宅弱者”問題について考えました。

今回の公開収録は、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」による、あらゆる人の“したい暮らし”を実現する取り組み「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL」とコラボしてお送りしました。日本で住まいを探す際、LGBTQや外国籍の方、高齢者、生活保護受給者……など、さまざまなバックグラウンドを理由に入居を断られたり、当たり前に思われている“住まいの権利”が得られていない人がいます。この日の公開収録では、その問題・改善案を考えました。

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おさむ:当事者のリアルな声を紹介します。

<ベトナム国籍・都内で働く方>

「学生の頃は寮に住んでいて、働き始めるときに初めて部屋探しをしました。当時福岡に住んでいたので、インターネットでいろいろ調べて、電話で何回も問い合わせをしましたが『外国人はダメ』と断られてしまいました。結局、東京に住んでいる友達に『外国人OK』の物件を探してもらい、そのなかから選びました。ネットで調べて住みたい部屋を見つけても断られてしまうので、『外国人OK』かどうか、一目でわかるようにしてほしいです」

<日本国籍・30代男性>

「今、部屋探しをしているのですが(『生活保護を利用している』と言うと、)紹介してもらえる物件がほとんどありません。問い合わせても断られてしまいます。OKしてくれるところが増えてほしいです」

小森:ほかにも、「シングルマザーで断られることがある」「収入が低いので、審査に落ちるのではという不安がある」「1人親なので、経済的不安があるのではと思われる」という声もありました。

おさむ:LIFULLでは、どのような取り組みをされていますか?

井上:このような住宅弱者の方を、きちんと救っていきたいという思いから、あらゆる人の“したい暮らし”を実現する取り組み「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL」を立ち上げ、第1弾として2つのプロジェクトを開始しました。

1つ目は「FRIENDLY DOOR」。高齢の方や外国籍の方、LGBTQの方々、生活保護を利用されている方に、親身になって住まい探しをしてくれる不動産会社を検索・問合せすることができるサービスです。現時点で、全国1,000社以上の不動産会社の協力を得ております。

2つ目は「えらんでエール」。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」が提供する、新しい応援のカタチです。「LIFULL HOME’S」で物件をお問合せいただいた際に、DV被害者や虐待、経済的困窮により、親と暮らせない子どもたち……など、あなたがエールを届けたい方を選ぶと、「LIFULL HOME’S」が代わりに、その方々の住まいを支援する団体に寄付をいたします。みなさんの住まいを探しながら、誰かのためにもなるようなサービスもスタートをしています。

おさむ:いい取り組みですね。ちなみにIMALUさんはカナダに留学していたそうですが、カナダでは、外国人が部屋を借りるのに、そんなに苦労しない?

IMALU:そうですね。私は学生でホームステイという形でしたが、カナダではシェアハウスをしている方が多かったですね。そこで、(部屋を探すときに)特に困ったという話は聞いたことはないですね。

おさむ:なるほどね。ちなみに日本でも、今後、シェアハウスなどで外国の方が住みやすくなる環境は増えそうですか?

井上:増えると思いますね。実際、そういった動きは、まだまだ少ないのですが、徐々に増えてきていますね。シェアハウスも増えています。

おさむ:でも、日本でシェアハウスが浸透してきたのって、ここ数年じゃないですか。外国では、よく聞く言葉でしたが。いろんな影響があると思いますが、日本の変化とともに、変わっていくものだと思うんですけど。

ちなみに、(不動産屋さんなどで)日本人の店員さんが外国人の方の対応をするときに、(外国語を話せる)スタッフさんの教育なども、けっこう大変ですよね。

井上:そうですね。あと、(外国人入居者の受け入れは)大家さんやオーナーさんの意向に沿っているので、仲介会社さんが「貸してあげたい」と思っていても、そうも言えないという実情があります。オーナーさん側、管理会社の意識改革も必要ですよね。

おさむ:意識改革、大変だと思います。やはり、説明・説得していかなければいけませんよね。管理者や土地を持っている人って、高齢の方も多いですよね。なかには、考え方が古い方もいると思います。でも、そこの意識改革から進めることが、すごく大事ということですね。

井上:そうですね。

おさむ:知人にお母さんと2人で暮らしている人がいて、でもお金がなくて。なかなか部屋を貸してもらえなかったという人もいました。そういう人が、住まいの相談をしに行くのも、しんどいはずなんですよね。

井上:そうですよね。これから空き家が増えていって、誰にも使われない状態で放置されているようであれば、こういった住宅弱者の方に、一時的に使っていただくようにもしていければと思っています。

あとは、例えば8LDKなど大きな家に住まわれている一人暮らしの高齢者の方の余っている部屋に、シングルマザーの方や外国人の方などを入れてあげると、そこにコミュニティができるので、1人で住んでいるよりも楽しいと思うんですよね。そういった文化も広げていきたいです。

おさむ:そうか。だから、そういうサンプルや成功例を早く、たくさん世に出すことがすごく大事ということですよね。今年は日本でオリンピックがあるし、環境がすごく変わってくるときに、今が住宅問題も変える、すごくいいチャンスかもしれないですね。

小森:そうですね。

井上:あと、最近、民泊(旅行者などが、一般の民家に宿泊すること)なども流行ってきているので。ああいうのであれば、入居審査がないので。例えば、光熱費や通信費込みの料金で30日間ずっと民泊しても、実は家賃を払うのと、ほとんど変わらなかったりするんですよね。今後、そういった利用も増えていくかもしれないですよね。

おさむ:確かに。日本もどんどん変わってきていますね。

IMALU:そうですね。住まいって、自分たちの生きるベースになる場所じゃないですか。食べるのも寝るのも、お風呂に入るのも。そんな当たり前の場所なのに、自分が満足できるところが見つからないというのは。もっと(制度を)しっかりと(整えて)、みんなの満足がいく住まいに住むことができる方向に、なっていったらいいなと思いますね。

◆「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL」とは?
あらゆる人があらゆる可能性の中から自分の生きたいLIFE、“したい暮らし”が実現できる社会を目指して、一人ひとりが抱える住まいの課題を解決するLIFULL HOME’Sの事業活動のこと。

(TOKYO FM「鈴木おさむと小森隼の相談フライデー」2月14日(金)放送より)