映画「Red」が描く禁断の愛に溺れた女性の選択 三島有紀子監督に聞く

映画「Red」が描く禁断の愛に溺れた女性の選択 三島有紀子監督に聞く

 夏帆(28)主演の映画「Red」(日活配給)が21日、公開となる。原作は直木賞作家・島本理生の同名官能小説で、倫理観を超越する禁断の愛を描き、賛否を呼んだ。三島有紀子監督(50)は、なぜ本作をテーマとして選んだのか。

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 ――いつの時代になっても、”結婚”は気になるひとつのテーマだと思います。世間では、芸能人の結婚がトップニュースとして取り上げられます。

 取り上げているのはマスコミの皆さんだと思いますが(笑い)、でも誰にとっても結婚はとても身近なテーマですよね? 私は個別のスタイルがもっと認められたらいいと考えます。例えば、夫婦別姓や同性婚のどちらがいいということではなく、まずは選択の自由。「家」よりも「個」としてのスタイルに寛容になっていけば、窮屈さは軽減されるのではないでしょうか。

 映画製作は、人間を研究し人間を描くものと捉えていますが、その背景である社会の出来事や世界で起こっている流れは敏感に汲み取るようにしています。「Red」では、ひとつのロマンスを通して、人が抱える複雑な部分を観客の皆さんと一緒に見つめられたらと考えています。
 
 ――主人公・塔子(夏帆)の「人生の選択」が印象的でした。原作とは異なる結末にした意図は?

 人は岐路に立ったときに誰もが悩みますよね。人間は失敗もするので、映画であるひとりの女性の人生を描くときに、その是非を問いたいとは思いません。本作では、それまで自分の欲求を押さえつけていた人が、たとえそれが世間では正しくない選択だとしても、すべてを捨てて自分に正直に生きようとする姿を鮮明に描きたかった。そうすることで、より力強くそれぞれの生き方を問う映画になると考え、あのラストにしました。

 彼女が本当の意味で自分の人生を生きられると考えた選択を見ていただき、観客の皆さまそれぞれの人生の選択を見つめていただける機会になれば、とそんな気持ちで作りました。