なだぎ武さん 崇拝する竹中直人さんとの縁は酒が結んでくれた

なだぎ武さん 崇拝する竹中直人さんとの縁は酒が結んでくれた

【今だから語れる涙と笑いの酒人生】

なだぎ武さん(お笑い芸人・役者、49歳)

 奇抜なキャラでの一人コントでブレーク、今は役者としても活躍する、なだぎ武さん。酒は強く、芸人仲間や有名俳優と飲みの席をともにしてきたが、なんと、今は肝臓が悪くて完全禁酒の真っ最中?

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 大阪の2丁目劇場に出てた同期やら後輩と、舞台終わりで飲み始めたのが、お酒遍歴の最初ですねぇ。

 千原兄弟、FUJIWARAとか、後輩だとケンコバ(ケンドーコバヤシ)やハリウッドザコシショウ、中川家と飲みに行くようになりましたね。

 芸人が「たこしげ」って店に集まってワイワイやる明るい酒でした。中川家の礼二とはサシで飲むことも多くて、店におもしろい客や変わった店員がいると、「ちょっとマネしてくれや」と僕が振り、礼二がモノマネをしてくれて、それを酒のさかなに飲んでました(笑い)。

 僕は焼酎とか日本酒をチビチビと長い時間飲むタイプで、強い方です。

 でも、ウイスキーは飲むと頭が痛くなるので、合わなかったみたい。逆に日本酒だとスッと入ってくるので、どんなに飲んでも悪酔いはしません。

■最高は3人で日本酒一升瓶を3、4本

 最高に飲んだのは3人で日本酒の一升瓶を3、4本空けた時かなぁ。いい日本酒だったから、悪酔いしませんでした。同期で強いのはFUJIWARAの原西(孝幸)。2人で飲んだ時、ビールの大ジョッキを合計20杯飲んで、僕はベロッベロに酔って自転車に乗れなかったけど、原西はしゃんとして元気でしたね。「こいつ、強いな!」と。

 アメリカのドラマ「ビバリーヒルズ青春白書」の登場人物ディランのモノマネをしていた当時、そのディランの吹き替えをやられてた小杉十郎太さんと飲んだことがありました。その夜はそうとう飲みましたね。小杉さんがお酒大好きで。2人で酔っぱらい、僕がディランの動きと顔マネをして、小杉さんが声をやってくれた、夢のような夜(笑い)。酔って抱き合ったりチューしたりしたのは覚えてるけど、次の日の朝からのロケは、頭ガンガンで記憶がない状態(笑い)。

 竹中直人さんとは2人でワイン4、5本空けたこともありましたねぇ。僕が前々から竹中さんのファンだったので、共演できた映画「のだめカンタービレ 最終楽章」の打ち上げでお会いした時、僕がいかに竹中直人が好きかを熱く語ったら、「じゃ、今度飲みに行こうよ」と。

 竹中さんはお酒をまったく飲まれなかったらしいんです。酒席で絡まれたり、ムリヤリ飲まされて吐いたりと、お酒にいい思い出がなかったみたいで。一緒に飲んだ際に、「俺、なぜかこの年で最近、酒が好きになってね。飲むようになったんだよ」と。それ以来、仲よくしていただいてる。お酒が結んでくれた仲なんです。

■副鼻腔炎の検査で「肝臓ヤバイよ」と言われて禁酒中

 酒の話の後で何ですけど、僕、お酒やめて1年半経つんですよ。病院での検査で「数値が高い」と言われることが続いたけど、気にしてなかった。でも、去年、副鼻腔炎になって病院で採血とか検査をしてもらったら「抗生物質を飲めば大丈夫だと思うけど、それよりアナタ! 肝臓ヤバイよ」と言われて。副鼻腔炎を診てもらった医者に肝臓悪いと言われたらホンマに悪いんだと思って(笑い)。

 僕は飲んでない状態でも肝臓の数値が普通の人の倍の高さで、酒を飲むとさらに跳ね上がる。肝臓は痛くなり始めたらもうヤバイし、今は舞台中心だから倒れられないので、思い切って禁酒しました。

 それ以来、酒席ではノンアルコール。味が一緒だからけっこう気は紛れてます。一度、体から酒を完全に抜いて、55歳とかでまた飲める日を目指します。だから、酒席には誘わないでほしいんです(笑い)。

(聞き手=松野大介)

▽本名=灘儀武 1970年10月、大阪府出身。89年から芸人活動、モノマネを取り入れた一人コントなどで人気に。ザ・プラン9でも活動した。