ゲーム19XX~20XX 第16回:往年の人気ゲーム機「PCエンジン」が世に出た1987年に発売されたゲームは?

引用元:インサイド
ゲーム19XX~20XX 第16回:往年の人気ゲーム機「PCエンジン」が世に出た1987年に発売されたゲームは?

往年の人気ゲーム機「PCエンジン」をミニサイズで復刻した「PCエンジンmini」が、いよいよ発売間近となりました。そこで今回はPCエンジンが登場した1987年にフォーカス。この年に人気を博したゲームの数々を紹介していきます。

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PCエンジンは1987年10月30日に発売、価格は24,800円でした。それまでの家庭用ゲーム機をはるかにしのぐ性能を誇っており、色鮮やかなグラフィックや高品質のサウンドを楽しめるタイトルが多数登場。特にアーケードゲームの移植はレベルの高いものが多く、ここに魅かれたというプレイヤーも多かったことでしょう。

翌年に周辺機器として発売された「CD-ROM2(シーディーロムロム)」の存在も見逃せません。CD-ROMをメディアとして採用した初めての家庭用ゲーム機で、以降CDの大容量を活かした名作・話題作が次々に発売。アニメを駆使した映像や声優を起用しての音声の導入などの先進的な演出でマニア層からの支持を集めました。

出来事も見ておきましょう。この年に日本国有鉄道(国鉄)が分割・民営化され、JRとして再出発をはかることとなりました。大韓航空の旅客機が北朝鮮の工作員によって爆破された大韓航空機爆破事件、『太陽にほえろ』のボス役などで知られる俳優・石原裕次郎の死去なども大きなニュースとなりました。

スポーツでは“鉄人”と呼ばれた広島東洋カープの衣笠祥雄が連続試合出場の世界記録を樹立。プロ野球選手としては王貞治以来となる国民栄誉賞受賞者となりました。第1回目のラグビーワールドカップが開催されたのもこの年で、ニュージーランドが初代王者となっています。

おもなヒット曲は光GENJIの『STAR LIGHT』、TM NETWORKの『Get Wild』、瀬川瑛子の『命くれない』(発売は1986年)など。ドラマでは明石家さんまと大竹しのぶが主演した『男女七人秋物語』が人気となりました。

映画のヒット作はトム・クルーズ演じる戦闘機パイロットの活躍を描いた『トップガン』(公開は1986年12月)、ベトナム戦争を題材としたオリバー・ストーン監督の『プラトーン』など。マンガでは高橋留美子の『らんま1/2』、佐々木倫子の『動物のお医者さん』の連載が開始。アニメでは同名人気マンガが原作の『シティーハンター』、『ミスター味っ子』などがヒットしました。

それでは、この年発売されたゲームを見ていきましょう。

カトちゃんケンちゃん
発売日:1987年11月30日
機種:PCエンジン
販売元:ハドソン

PCエンジン本体と同年に発売されたソフトの中で、もっとも注目を集めたタイトルといえばコレです。当時絶大な人気を誇っていた加藤茶&志村けんのバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』を題材にした横スクロールアクションゲームで、プレイヤーはカトちゃんとケンちゃんのどちらかを選び、さまざまなステージのクリアに挑んでいくことになります。

本作を語るときに必ず言及されるのが、カトちゃん&ケンちゃんの顔のグラフィックです。下の画像を見てもらえばわかると思いますが、これが本っ当によく似ているのです。しかも、さまざまに表情を変えるのでインパクトは抜群。PCエンジンのマシンパワーを見せつけた形ですが、当時の筆者はそこまで考えが及ばず、ただただ「そっくりだな~」と感心していたのを覚えています。

おなじみのカトケンのギャグの数々も見どころです。ケンちゃんがバカ殿様に扮したり、カトちゃんが「加トちゃんペッ!」の姿になったりと、おバカかつコミカルなシーンが満載。オナラやウ○コなど下品(ホメてます)なギミックも多く、全編でカトケンらしさを楽しむことができます。

また、これもよく言われることですが、ユルい見た目とは裏腹にかなり難易度が高く、やり応え抜群です。残念ながらPCエンジンminiには未収録ですが、キャラクターを入れ替えて海外向けに発売された『J.J.&JEFF』がプレイ可能になっています。

R-TYPE
発売日:1987年7月
機種:アーケード
販売元:アイレム

『グラディウス』(コナミ)、『ダライアス』(タイトー)などと並ぶ横スクロールシューティングの傑作です。特筆すべきは個性あふれるグラフィックでしょう。生物的なちょっとグロテスクなステージ。エイリアンを彷彿とさせる「ドブゲラドプス」やウネウネと動く不気味な触手を生み出す「ゴマンダー」などの異形のボスキャラたち。そして画面に入りきらないほどの超巨大戦艦の登場など、いずれも衝撃的で多くのプレイヤーの心をわしづかみにしました。

着脱可能な自機の分身・フォースの存在も魅力のひとつです。前方につければ前方の敵を攻撃、後方につければ後ろに向かって攻撃できるというもので、アイテムを取ることでパワーアップしていきます。さらに自機と分離しての攻撃も可能で、このフォースをステージの特性に応じて使いわける戦略的な戦闘を楽しめるようになっていました。

翌1988年にハドソンより発売されたPCエンジン版にも触れておきましょう。容量の関係から『R-TYPE I』、『R-TYPE II』の2本に分けて発売されたのですが、映像面でアーケード版にまったくヒケを取っておらず、再現性は驚異のひとこと。このレベルの移植はファミコンにはなかったもので、PCエンジン普及の立役者となりました。こちらはPCエンジンminiに収録されていますので、ぜひプレイしてみてください。

ちなみにアーケードでは、戦闘機による空中戦を楽しめる体感ゲーム『アフターバーナー』(セガ:現セガ・インタラクティブ)、ドラゴンを操って戦う縦スクロールシューティング『ドラゴンスピリット』(ナムコ:現バンダイナムコエンターテインメント)といった名作も、この年より稼働開始となっています。SNKのアイドルキャラ・麻宮アテナが初めて登場した作品として知られる『サイコソルジャー』(SNK)、地獄めぐりの冒険が楽しいアクションゲーム『妖怪道中記』(ナムコ)なども人気に。また、のちに格ゲーブームを巻き起こすことになる超人気シリーズの第1作目『ストリートファイター』(カプコン)も登場しています。

ドラゴンクエストII 悪霊の神々
発売日:1987年1月26日
機種:ファミリーコンピュータ
販売元:エニックス(現スクウェア・エニックス)

累計出荷本数241万本を記録した(※1)、1987年最大のヒット作です。前年に発売された『ドラゴンクエスト』(エニックス)はじわじわと人気が広がっていった形でしたが、本作は発売前から話題沸騰。あっという間に売り切れとなり、入手できない人が続出するなど一大ブームを巻き起こし、『ドラクエ』の人気を不動のものとしました。

※1:数字はいずれも一般社団法人コンピュータエンタテインメント協会発行の『CESAゲーム白書』より

パーティー制の導入や船の登場など、さまざまな特徴を持つ本作ですが、一番はやはり難易度の高さではないでしょうか。新たなエリアにたどり着いたとたん敵モンスターにフルボッコにされた、重要なキャラクターやアイテムが見つからない、ロンダルキアの洞窟が抜けられないなど難解な箇所がてんこ盛りで、多くのプレイヤーがキリキリ舞いさせられました。

「ふっかつのじゅもん」がやたら長かったのも忘れられません。当時はまだセーブ機能がなく、ゲームの中断と再開にはパスワードを利用していました。今ならスマホで撮っておけばいいのですが、当時は自力で書き写すしかなく、かなり手間取ったものです。当然、1文字でも写し間違えがあるとアウトなので、必ずふたつ書き留めていたという人もけっこういたことでしょう。

このように何かと苦戦させられた『ドラクエII』ですが、それだけにプレイヤーに与えた印象は強く、シリーズの中で一番のお気に入りという人も少なくないようです。現在発売されているバージョンはバランスがしっかり調整されていますが、あえてオリジナルのファミコン版でプレイしてみるのも面白いかもしれません。

ちなみに、この年は『FF』シリーズの第1作目となる『ファイナルファンタジー』(スクウェア:現スクウェア・エニックス)も登場しています。『桃鉄』シリーズでおなじみの、さくまあきら氏が手掛けた和風RPG『桃太郎伝説』(ハドソン)、『メガテン』シリーズの第1弾『デジタル・デビル物語 女神転生』(ナムコ)、海外の名作を移植した『ウィザードリィ』(アスキー)などもスマッシュヒット。パソコンでも現在に続く人気ファンタジーRPGのシリーズ第1作目『イース』(日本ファルコム)が発売されるなど、RPGの話題作が続々登場した年でもありました。

メタルギア
発売日:1987年7月13日
機種:PC
販売元:コナミ

言わずと知れた小島秀夫監督の『メタルギア』シリーズ第1作目です。もちろん主人公はソリッド・スネークで、最終兵器メタルギアを破壊すべく武装要塞国アウターヘブンに単独で潜入。敵に気づかれないようにしながら基地内を進んでいくことになります。

すっかり定番ジャンルとなったステルスアクションですが、当時は非常に斬新かつ独特で異彩を放っていたと言えるでしょう。MSX2というPC向けに発売されたため、当初はあまり目立たない存在でしたが、通常のアクションとはひと味違う奥の深さにハマるプレイヤーが続出。口コミで人気が広がっていき、各方面で高い評価を得ました。

見つかると敵兵に「!」が表示されたり、無線でアドバイスを受けたりと、システムの根本部分はこの時点ですでに出来上がっており、『メタルギアソリッド』以降の作品に通じる仕掛けや演出も随所で見ることができます。ビッグ・ボスやグレイ・フォックスといった、おなじみのキャラクターも登場していて、原点ならではの面白さを実感できるでしょう。シリーズのファンならずとも一度はプレイしてみるべき一本です。

最後にその他のファミコンのヒット作・話題作をまとめておきます。『ドラクエII』に次ぐヒットとなったのが、『ゼルダ』シリーズの第2作目でディスクシステム向けに発売された『リンクの冒険』(任天堂)です。見下ろし型マップと横スクロールアクションを組み合わせたRPGで、累計出荷本数161万本を記録しました。当時人気絶頂だったアイドル・中山美穂とタイアップした『中山美穂のトキメキハイスクール』(任天堂)も、画面に表示される電話番号に電話すると中山美穂本人からのメッセージが聞けるというユニークなシステムで注目を集めました。

人気シリーズの記念すべき第1作目『ロックマン』(カプコン)も、この年の発売で歯応えのあるアクションが受け、日本のみならず世界でも人気となりました。『ファミスタ』シリーズの第2弾『プロ野球ファミリースタジアム’87』(ナムコ)も前年に発売された1作目に続いて大ヒット。累計出荷本数130万本を記録するなど野球ゲームの定番となりました。

もう1本の野球ゲームも別の意味で話題を集めました。『燃えろ!!プロ野球』(ジャレコ)です。ピッチャーの後方からの視点やリアル頭身の選手のグラフィックなど、見た目のインパクトは絶大。実際の野球中継さながらの映像は発売前から注目の的となり、累計出荷本数158万本というミリオンヒットとなりました。しかし、バントがホームランになる、ファウルの次はどんなボールでもストライク、試合時間がやたらに長いなど非常にアラが多く、不評が続出。事前の期待との落差があまりに大きかったことから、悪い意味で伝説のゲームとなってしまいました。

そのほか、堀井雄二氏がシナリオを手掛けたミステリーアドベンチャーをファミコン向けにリメイクした『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』(アスキー)、明石家さんまをはじめとする吉本興業の人気お笑い芸人が総登場する『さんまの名探偵』(ナムコ)などがヒット。さまざまな昔話を盛り込んだストーリーが楽しい『ふぁみこんむかし話 新鬼ヶ島(前編)』(任天堂)、実在のテニス選手たちの特徴を上手く生かしたテニスゲーム『ファミリーテニス』(ナムコ)なども、この年を代表する作品と言えるでしょう。

いかがだったでしょう。現在に続く人気シリーズの1作目がいくつも登場しており、ゲームの歴史を感じることができたのではないでしょうか。ここでは紹介しきれませんでしたが、ほかにもさまざまな名作がこの年に発売されています。興味がある方はぜひ調べてみてください。