私が「紅三四郎」の主題歌 テレビの前で正座しちゃった アニメソングの女王・堀江美都子伝説

引用元:夕刊フジ

 【アニメソングの女王・堀江美都子伝説】

 歌の大好きな少女が大きな転機を迎えることになる。それが、1966年に出演した「日清ちびっこのどじまん」(フジテレビ系)だった。少女は、司会の大村崑の前で、大好きだった「ドナドナ」を歌い、準優勝した。

 「おばが応募したんですよ。本選に出て、チャンピオンにはなれなかったけど、フジテレビの合唱団に入って、そこからコロムビアにスカウトされたんです」

 そして、とんとん拍子に11歳でデビューが決まる。アニメ「紅三四郎」の主題歌だった。

 「すでに放送は始まっていて、主題歌は美樹克彦さんが歌っていたんです。私、最初のテレビアニメっ子世代なんで、紅三四郎も見ていたから、もう美樹さんの歌が聴けなくなるのは寂しいなって思ったんですよ。で、いただいた曲が演歌だったので“私じゃないよなあ”とも思ったんです。そのころ、コロムビアには天童よしみちゃんもいたので、演歌だったらよしみちゃんだろうと…」

 とにもかくにも画面から自分の歌が毎週流れるようになった。それは不思議な体験だった。

 「それまで畳敷きのお茶の間でほおづえついて見ていたのが、自分の歌が流れるんだから、“かしこまり感”って言ったらなかったですね。もういきなり正座ですよ」

 次に歌ったのが、「ハクション大魔王」のエンディング曲「アクビ娘の歌」だった。当時エンディングでは、堀江の顔写真やプロフィルもテロップで表示されていた。

 「以前、再放送しているのを久しぶりに見たら、12歳のときの私の写真や中学校名とか全部出てるの。改めてびっくりしましたね」

 アニメ歌手になったことで、一夜にして環境も変わった。

 「学校生活は極めてやりにくくなりましたね。テレビで私の歌が流れた次の日から、私は学校のなかで特別な存在になってしまったんです。いじめられたとかじゃなくて、何だか近づきにくくなったみたいで。やっかみというより、羨望のようなものだったんじゃないかな。でも、子供心に悲しかったですよ。だからこそ、歌うことに気持ちを向けていきました」

 そんな少女が「キャンディ・キャンディ」という大ヒット曲に出合うのは76年のことだ。

 ■堀江美都子(ほりえ・みつこ) 声優・女優。1957年3月8日生まれ、62歳。神奈川県出身。66年に「日清ちびっこのどじまん」で準優勝。69年に「紅三四郎」でアニメ歌手としてデビューする。

 以降、「キャンディ・キャンディ」「秘密戦隊ゴレンジャー」などアニメ、特撮ものでヒット曲多数。水木一郎、ささきいさお、大杉久美子とともに「アニメソング四天王」とも呼ばれる。

 2月12日に50周年記念のカバーアルバム「One Voice」とベスト盤「One Girl BEST」(ともに日本コロムビア)と発売。

 2月16日に50周年の記念ライブを「よみうり大手町ホール」で開催。