米映画界に平手打ち?『パラサイト』インパクトの余波 ハリウッドで韓国コンテンツ急騰

引用元:オリコン
米映画界に平手打ち?『パラサイト』インパクトの余波 ハリウッドで韓国コンテンツ急騰

『第92回アカデミー賞』は、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監督賞、脚本賞、国際映画賞の4冠に輝き、オスカーの歴史を変えた。本作のオスカー席巻が今後のハリウッドに与える影響を考えてみたい。『パラサイト』インパクトの余波に包まれた現地の様子もレポートする。

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■作品賞が『1917』ではなく『パラサイト』だった理由

 今年の作品賞ノミネート作品は、ジャンルも規模も、配給形態も大きく異なる9本という顔ぶれ。昨年の秋から始まった賞レース前半では、多くの作品において、投票者へアピールする大々的なキャンペーンが繰り広げられ、主要メディアのオスカー予想も、いくつかの作品にばらけていた。ところが、年明けの『ゴールデングローブ賞』発表あたりから、受賞予測が徐々に『1917 命をかけた伝令』と『パラサイト 半地下の家族』の2作にフォーカスされていく。賞レース後半では、アカデミー会員の多くが属する一連の組合賞において、『1917』がプロデューサー組合賞と監督組合賞を、『パラサイト』が俳優組合賞と脚本家組合賞を2つずつ受賞し、いよいよどちらもあり得る、という状態になっていた。

 オスカーの前哨戦と言われる数々の賞のなかでも、とくに作品賞を占う指標とされるのが、プロデューサー組合賞。そこを制した『1917』が有力だとする分析は、やはり多かった。戦争テーマ、監督が自身の祖父の体験をもとに綴った脚本、臨場感のあるカメラまわしをはじめとするオスカー的要素もそろっている。

 一方、全編韓国語、かつ米国では比較的無名な俳優のアンサンブルである『パラサイト』が、アカデミー会員のなかで最大の構成率といわれる俳優たちによって最高賞に選ばれたことは、強力なインパクトを放った。賞レースにおいては、「有力作になったとたん、ネガティブな面が探される」という宿命があるが、『パラサイト』については、作品におけるネガティブな意見はほとんど聞かれなかった。脚本・美術・編集などのクオリティはもちろん、圧倒的な娯楽性とテーマ性は疑いようもない魅力。作品賞受賞に向けた唯一のハードルがあるとすれば、「国際映画賞があるからいいのではないか」という心理が働くことだと言われていた。オスカーらしい『1917』と、オスカーの歴史を変える『パラサイト』。米アカデミーは、後者を選んだ。