古物商と陶芸家が幻の茶器をめぐり再び大勝負 「嘘八百 京町ロワイヤル」

引用元:夕刊フジ

 【エンタなう】

 中井貴一演じる目利きだが冴えない古道具屋と、腕が立つのに不遇の陶芸家に扮した佐々木蔵之介による“迷コンビ”再び。大阪・堺で幻の利休の茶器をめぐって大勝負を仕掛けた前作に続く、コメディー映画「嘘八百 京町ロワイヤル」(公開中)は、舞台を京都に移して“騙(だま)し”にも磨きがかかる。

 今回は、着物美人の志野(広末涼子)に相談を持ち込まれ、その色気にクラっときた2人。利休の後継者と目された天下一の武将茶人・古田織部の幻の茶器をめぐって一肌脱ぐことに。志野に翻弄されながら、老舗古美術店や大物鑑定家を向こうに回して、騙し騙されの駆け引きが痛快だ。

 坂田利夫、桂雀々、木下ほうか、塚地武雅、友近ら上質の喜劇を演じる脇役陣は前作を踏襲。安心感がある。

 物語の鍵をにぎる織部は、茶碗をわざと割って繋ぎあわせたり、あえて歪みをもたせたりした“ひょうげもの”(ひょうきんもの)として知られた。人を騙すのは、よくないことだが、他人にばかり清廉潔白、理路整然を求める今の風潮を笑い飛ばすようでもある。

 前作ではラジオから声の出演だった浜村淳が、短い出番ながらシブい役柄を好演しているのでお見逃し無く。ミステリアスな顔をいくつも見せながら、主役の2人を食う勢いの広末が出色。

 利休、織部…と来たからには流れをくむ本阿弥光悦でぜひ3作目をと、シリーズ化の期待が高まるデキだ。(中本裕己)