佐藤浩市「

　俳優、佐藤浩市（５９）と火野正平（７０）が１０日、大阪市浪速区のなんばパークスシネマで行われた映画「Ｆｕｋｕｓｈｉｍａ５０」（若松節朗監督、３月６日公開）の試写会に登壇した。

　東日本大震災で被災した後の５日間に福島第一原発で何が起きていたかに迫る力作。阪神・淡路大震災を経験した関西での上映を前に、佐藤は「この映画を最初に上映したのが福島。正直、怖かったです。津波、地震のリアルなカットが多々ある。でも、それを踏ん張って見ていただくことで明日につながる作品ですとお願いした。（大阪でも）同じことをお願いします」と一礼した。

　時系列に沿っての撮影で「みんなの顔が変わってきた」と佐藤。「むさくるしいおっさんばっかりが、一つのセットに３週間もいてごらん。そら、顔も変わるよ」と苦笑いの火野は、原発内を防護服で走り回る過酷な場面もあったと振り返り、「あれ、（顔が分からないから）俺じゃなくてもいいでしょ。最後の日にずっと吹き替えがいたことに気づいた。なんで最初に言ってくれないの！？」とボヤキ節で場内をなごませた。

　２０１１年からＮＨＫ　ＢＳプレミアム「にっぽん縦断　こころ旅」で日本全国を自転車で巡っている火野は「日本どこに行っても元被災地。福島が被災して２年後に自転車で入ったら『火野さん、がんばって！』って。福島がんばれって思って入ったのに、日本人って美しいなぁ、強いなぁ」としみじみ。

　しかし、今回の福島ロケを経て佐藤は「（震災は）何も終わってないです。下手したら始まってないかも。最後に桜を見上げる数年後のシーンを撮りに行ったときの複雑な思いは（スクリーンに）写ってくれていると思います。災害は深い爪痕しか残さないけど、負の遺産で終わらせないで、次の世代にバトンを渡したい映画です」と力強くアピールした。