あのKing Gnuも 人気バンド次々輩出の長野県伊那市に聞いた

あのKing Gnuも 人気バンド次々輩出の長野県伊那市に聞いた

 すでにライブチケットは入手困難になりつつある。昨年末の第70回NHK紅白歌合戦に初出場して話題となった男性4人組のバンド「King Gnu(キングヌー)」。2019年1月にメジャーデビューし、翌2月には「白日」が日本テレビ系のドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」の主題歌に抜擢されると、人気が一気に急上昇した。

 King Gnuは「第61回輝く!日本レコード大賞」の大賞受賞作「パプリカ」を作詞・作曲したアーティストの米津玄師とも交流があり、21日に公開される映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」でも新曲「どろん」が主題歌に決定。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いなのだが、バンドが注目を集めているのは、ツインボーカルを務める井口理(26)、常田大希(27)がそろって東京芸大出身という異色の経歴に加え、2人とも長野県南部の伊那市出身ということだ。

 ちなみに同市出身の男女5人組バンド「FAITH(フェイス)」も、1月にメジャーデビューしたばかり。

 同市は東西を赤石山脈(南アルプス)と木曽山脈(中央アルプス)に囲まれ、観光名所として知名度の高い高遠城址公園では毎春、県の天然記念物に指定されている約1500本のタカトオコヒガンザクラが咲くという。人口約6.7万人の小さな町から、短期間で立て続けに全国区のアーティストが誕生するのは珍しいだろう。教育県とも呼ばれる長野県だ。早い段階から音楽教育に力を入れたり、市内にライブハウスを整備したりするなど、特別な取り組みでもしているのか。

「いや、特にそういうことはなく、ひとえに彼らの頑張りです。ただ、(King Gnuの)紅白出場が決まった際には地元でチラシを作って応援しました。今後、彼らと(観光大使任命など)何らかの連携を持てたらいいなと思います」(市観光協会)

 県民性に詳しい「ナンバーワン戦略研究所」の矢野新一所長はこう言う。

「長野でも北部は堅いイメージがありますが、南部は比較的緩やかでおおらかな印象。伊那市は東京だけでなく、大阪や名古屋にも足を運びやすい。それだけ、新しいものを取り入れようとする雰囲気があるのでしょう」

 風光明媚な自然とおおらかさが感性を磨くコツのようだ。