『鬼滅の刃』イベントでも活躍 着物の既成イメージと戦う気鋭デザイナー「自由に楽しんで着るべき」

引用元:オリコン
『鬼滅の刃』イベントでも活躍 着物の既成イメージと戦う気鋭デザイナー「自由に楽しんで着るべき」

 NHK大河ドラマ『麒麟がくる』やアニメ『鬼滅の刃』などをきっかけに、カラフルかつ斬新な着物の世界が注目を集めている。外国人観光客がレンタル着物で街を歩く姿も増えた。一方で、「着るのが難しい」といった先入観や、“着物警察”への恐れから、和装へのハードルを感じる現代人は多い。そうした着物にまつわる閉塞感を打ち壊し、日常へと取り戻す活動を展開するのが気鋭の着物デザイナー・キサブロー氏だ。

【写真】『鬼滅の刃』衣装を3次元に再現した、イベントでの着物姿の声優陣 『鬼滅の刃』イベントでも活躍 着物の既成イメージと戦う気鋭デザイナー「自由に楽しんで着るべき」 キサブロー氏が手がけた『鬼滅の刃』スペシャルイベント『鬼滅の宴』の衣装(C)峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

■棋士・羽生善治氏や『鬼滅の刃』スペシャルイベントの着物を制作

 昨年10月に開催されたアニメ『鬼滅の刃』のスペシャルイベント『鬼滅の宴』。当日出演した声優陣がまとった、原作から飛び出してきたかのような和洋折衷な着物に、観客から大きな歓声が沸いた。あるいは、2018年10月、『第31期竜王戦』に挑んだ棋士の羽生善治氏が着たグレーに赤のラインが入ったチェックの着物は、リラックスできることを考慮して柔らかなスーツ生地で仕立てられた。半襟には羽生名人がこよなく愛するウサギがあしらわれている。

 これらの斬新な着物をデザイン、制作したのがキサブロー氏。創業100年近くになる仕立て屋「岩本和裁」の4代目にして、着物の既成概念を覆すスタイリングやデザインを提案する気鋭の着物デザイナーだ。

 <キサブロー>ブランドを立ち上げたのは2015年。その翌年には、伊勢丹新宿本店の創業130年特別企画『ISETAN × ルパン三世 LUPINISSIMO IN ISETAN 2016』に参加。キサブロー氏は「もしルパンのキャラクターたちが自分たちの家に代々伝わる着物を密かに所有していたら?」をコンセプトに、それぞれのルーツと個性から着想した着物を出展。石川五ェ門をイメージした着物に、祖先「石川五右衛門」像の浮世絵から読み解いた模様を羽織、袴に大胆に配するなど、「伝統と革新」を標榜するブランドの世界観を表現。一躍、キサブローの名を着物業界の外にも知らしめた。そんなキサブロー氏の頭の片隅にはいつもあるのは、「保守的なだけではない着物の可能性」だ。