放送20周年、「ゴーゴーファイブ」“巽ブラザーズ”にインタビュー!燃え続ける作品愛を語る

引用元:Movie Walker

20年前、1999年に放送された「救急戦隊ゴーゴーファイブ」は、99=救急になぞらえ、5人兄弟の救急戦士が活躍する23番目のスーパー戦隊シリーズだ。“人の命は地球の未来”を合言葉に、邪悪な災魔一族から人々を守る展開はもちろん、リアルなレスキューシーン、兄弟=家族の物語も盛り込まれ、子どもから大人まで幅広い層に受け入れられた。その物語の主人公“巽ブラザーズ”の長男・巽マトイ/ゴーレッド役の西岡竜一朗、次男・巽ナガレ/ゴーブルー役の谷口賢志、三男・巽ショウ/ゴーグリーン役の原田篤、四男・巽ダイモン/ゴーイエロー役の柴田賢志、末っ子・巽マツリ/ゴーピンク役の坂口望二香(現・柴田かよこ)が、放送20周年に奇跡の再結集!MovieWalker独占で、作品への思いを、まさに兄弟のようなユニークなやり取りを交え、熱く、楽しく語り合ってくれた。

【写真を見る】1999年放送開始時の、初々しい巽ブラザーズの集合ショット。やはりいまとほとんど変わらない!?

■ 20年目の集合、きっかけはイエローの頑張り

――「ゴーゴーファイブ」は放送20周年を迎え、9月1日に記念イベントが催され、12月4日には全50話収録の廉価版DVD COLLECTIONが発売されました。20年を経て、作品が現在も支持されていることについて、どう感じていますか?

西岡「僕は一人っ子ですが4人とは兄弟同然だと思っていて、久しぶりにそろっても何も変わらないですよね。この“変わらない家族”的な雰囲気が、みなさんにとって魅力だったのかなと思います」

谷口・原田・柴田・坂口「いや、全然変わっているでしょ(笑)」

谷口「まぁ、5人が“会いたいけど、なかなか会えない”兄弟みたいな関係になっていたのは確かです。5人でそろう機会は10周年、15周年の時も声が上がったんです。でも、僕はその頃『戦隊出身』と括られるのに少し抵抗があって、戦隊出身であることを誇りに思いながらも『ナニクソ!』と芝居に没頭していて、『別にそろわなくてもいいんじゃない?』という気持ちだったんです」

西岡「特撮出身の俳優が注目される時代は、僕らの翌年からだったから」

谷口「『未来戦隊タイムレンジャー』(永井大ほか主演)と『仮面ライダークウガ』(オダギリジョー主演)が同時期に始まって…悔しい思いをした世代ですよ(笑)」

原田「そういう境遇もあって、まさか20年経って集まれるなんて思いもしませんでした。今回は柴ちゃん(柴田賢志)が頑張ってくれなかったらイベントも実現しなかったかも」

――柴田さんは放送終了後、脳腫瘍摘出の後遺症で右半身に麻痺が残り、また左腰に患った難病の闘病生活を経て、今年活動を再開。イベントの実現に奔走されましたね。

谷口「彼の頑張りと『ゴーゴーファイブ』の不屈のイメージが重なった瞬間が、ちょうど20周年と重なって、こうして集まれて、僕も素直に『20周年、ありがとうございます』って言える気持ちになれて、本当にうれしいです」

柴田「皆さんのおかげだと思っています…。ありがとう!」

谷口「なんだよ。泣くわ、それは泣けるわ(笑)」

原田「僕はいま、飲食業で働いていて、お店を訪れてくださるファンの方々が、最近災害が多いのもあって『ゴーゴーファイブがいたら…』って口にしてくださるんです。そういう部分はいまも魅力なのかなって思いますね」

坂口「私は『ゴーゴーファイブ』の魅力は“家族愛”を描いていることに尽きると…」

谷口「よく言うよ。さっき(マイク眞木演じる父・巽モンドの)白衣を見て『博士のじゃん!』って(笑)。お父さんの衣装なのに…」

西岡・原田・柴田・坂口 「(爆笑)」

西岡「そういう適当さも変わらない(笑)。でも、ほかの出演作は何年か経ったら客観的に見られるんですが、『ゴーゴーファイブ』だけは、“あの時どう演じたっけ?”“この芝居良くなかったな”とか演じ手目線のままで、みなさんがどういう気持ちで観てくれていたか、いまだに実感できないんですよね」

原田「なんか、単純に暑苦しかったよね」

坂口「私、見直したんです、昨日」

西岡・原田「昨日(笑)」

坂口「全部見終わんなかったんですけど」

原田「1日で50話観ようとする発想が望二香らしい…(笑)」

坂口「熱い、本当に熱すぎます!そして、みんな個性がすごく光っていました!」

原田「…なんで、そんなに上から目線(笑)」

西岡「俺“客観的に見られない”って話していたんだけど(笑)」

■ 「ゴーゴーファイブ」は、ガチの一般人戦隊

――DVD COLLECTIONでの見返しポイントとして、特に印象的だったエピソードなどを教えてください。

西岡「『完全なる敗北』(第19話)という回で、強敵相手に徹底的にやられて敗走して。それまで勝ち続けてきたのに勝てないという展開が、マトイとしても演者自身としても精神的に心に刻まれています。敗北から次の勝利につなげるような演技について、ものすごく考えたのを覚えています。敗走シーンも深夜の雨降らしで大変だったなア…」

谷口「その、敗れながらも強くなるのがおもしろい。だって、ゴーゴーファイブって一般人ですよ(笑)。父親に無茶振りされた公務員が気合いで敵を倒すって、そんな戦隊います?(笑)。身近なヒーローが戦い成長する内容も、長く愛される理由かもしれません。ある意味、斬新さですよ」

西岡「そうそう、斬新だよ(笑)」

谷口「見どころとしては、坂口望二香が武器や必殺技を活舌が悪くて言えなくて、諦めてそのまま使われているんです。『ビルドディスチャージャー』と言うはずが『ビルドディッターダー』とかになっていて」

坂口「1話とか最初だけです!私、10話くらいからいい演技してます!」

原田「めちゃくちゃ客観的に見ている(笑)」

柴田「1話、最初の登場シーンで(巨大な敵に圧倒され)寝転がる5人がカメラで撮られていた時は、みんな素人みたいな表情だったのが、50話にはスパッと良い表情になっていて、格好良かったと思います。あとは、ナガレが女装した回がおもしろかったね」

谷口「『泥棒とサイマの卵』(第16話)かな。変身する時『行くわよ!』って言うやつ」

柴田「そうそう(笑)」

原田「僕は『カビが来る』(第6話)の、猛毒性のカビが充満した室内で倒れるシーンで、寒いセットにひたすら寝かされて、まったく動けなかったのが辛かったです。とことん追い込まれた撮影で、あの経験を通して1年間演じる覚悟が決まりました」

坂口「覚悟といえば、昨日観た『灼熱の2大災魔獣』(第11話)で、谷底へ落ちかけた銀行強盗を『どんな人間も命の重さは変わらない!』ってマツリが助けるんです。その時から私の眼差しが変わっていたんです!あの時、マツリはゴーピンクとして覚悟を決めたんじゃないかなって…」

西岡「それ、あなたの演技なんだから、はっきりしてもらわないと(笑)」

柴田「でもさ、望二香は…大人になったなあ」

西岡「全然なってないでしょ(笑)」

谷口「その回が自分的には良かったと」

坂口「はい。でも私のおすすめは『ちびっこ救急戦士』(第24話)で…」

原田「違うの!?(笑)」

坂口「お兄ちゃんたちが子どもにされて、マツリが最高に頑張っているんです。お兄ちゃんたちとマツリの“家族の絆”も、昨日本当に泣きました。みんなも、もう1回観てみて!」

西岡「わかった。おまえが俺にビデオ返してくれたらな(笑)」

■ 「ゴーゴーファイブ」は、人情系ホームドラマ

――20周年を機に興味を持ってくれる若い世代もいると思います。これから作品を観られる方々へメッセージをお願いします。

西岡「マトイが地球を守る決心をして、兄弟に愛を伝えたり、だんだん長男としての覚悟が固まっていく姿を、そして良い意味での演技の成長と、みんなが成長する姿を“演じていた”というのを見てもらいたいです」

谷口「『昔の戦隊は、こんなふうに撮っていたんだ』という視点で見てもらうのもおもしろいと思います。当時はフィルム撮影でNGを出したらこっ酷く怒られたし、自分の演技にもあとから声をあてていましたからね。特撮もメカのミニチュアを1つ1つ丁寧に作って動かして…。あと、ゴーゴーファイブは透けたマスク越しに表情を見せる演出があって、僕たちも結構スーツを着て芝居しています」

原田「歴代で一番働いた5人って言われたりね(笑)。スーツを着て、現場で炎の中へ飛び込んだりしました。当時は結構な量の火を使っていたんですよね。そんなリアリティを想像しながら見てもらえると、別の楽しさもあるのかなと思います」

柴田「『人の命は地球の未来』って、演じている時はどんな意味?って思っていましたけど、いまは本当にそうだなって思うんです。いま、世の中がすごく元気なくなっていると思うんです。だからゴーゴーファイブがレスキューに取り組む姿を見て、若い人たちにも何かに一生懸命になってもらえたらと思います」

坂口「『ゴーゴーファイブ』には戦う描写のほかにも、家族愛と、人情も描かれています。人情系のホームドラマなんです。人と人のつながりが希薄になっている世の中で、人の優しさとか温かさとかを感じてもらえたら…。こんな締め方で、まとまっていますか?」

西岡・谷口・原田・柴田「オッケー!大丈夫」(Movie Walker・取材・文/トライワークス(大場 徹))