79歳プラシド・ドミンゴの美声は健在! 3年ぶり来日コンサート

引用元:夕刊フジ

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 世界的オペラ歌手のプラシド・ドミンゴが3年ぶりに来日し、1月28日と31日に東京都内でコンサートを行った。28日夜は満席の東京国際フォーラム大ホールで、オペラやオペレッタをはじめとする名曲を、2部構成で休憩含め約2時間半たっぷりと歌い上げた。

 御年79とは思えない甘美で艶やかな声に光と影が宿り、漂う哀愁が聴衆の心に染みる。150もの役柄から、「第1部」は複雑な人間模様を描くオペラ『ハムレット』の「酒は悲しみを忘れさせる」や『アンドレア・シェニエ』の「祖国の敵」など、ここ10年ほどで開拓したバリトンの楽曲だ。随所で声を伸ばしたり、曲の最後の音を跳ね上げたりせず、人生の機微を切々と歌い、客席から早くも「ブラボー」が!

 共演のサイオア・エルナンデスは情感豊かでゆったり聴けるふくよかなソプラノで、ドミンゴとの二重唱は終始ドラマチック。「第2部」のオペレッタ『メリー・ウィドウ』の「唇は語らずとも」では、元恋人同士の心の再燃をロマンチックに表し、ダンスもムード満点だった。

 ドミンゴは「3大テノールコンサート」や東日本大震災翌月の来日公演でも歌った『微笑みの国』の「君はわが心のすべて」やサルスエラ『港の酒場女』の「そんなことはありえない!」など十八番も披露。

 サルスエラは生地スペインのせりふ入りのオペラで恋の歌が多く、大いに盛り上がって、アンコールではスタンディングオベーションが続き、さらにサプライズが!

 ドミンゴが4半世紀余り主宰する国際声楽コンクール出身のソプラノ歌手、森麻季が鮮やかな振り袖で登場。ドミンゴが笑顔で迎え、聴衆も交えて「ふるさと」を歌い、和やかに公演を締めくくった。(原納暢子)