星組新トップ・礼真琴“新しい星の時代”切り開く「羽根の重みの意味、何かが感じられるはず」

引用元:スポーツ報知
星組新トップ・礼真琴“新しい星の時代”切り開く「羽根の重みの意味、何かが感じられるはず」

 宝塚歌劇星組・礼真琴が7日、兵庫・宝塚大劇場で舞空瞳とともに、新トップコンビの本拠地お披露目公演の初日を迎える。「眩耀(げんよう)の谷~舞い降りた新星~」は紀元前の中国を舞台にした歴史ファンタジー。人材の宝庫・第95期生から先陣を切って昨年10月にトップに就任した礼は「もがき苦しむ青年の成長物語。自分の気持ちもうまく乗せていけたら」と、11年間のタカラヅカ人生と重ねて、新生星組を力強く始動させる。ショー「Ray―星の光線―」と2本立て。(筒井 政也)

 昨年暮れのプレお披露目「ロックオペラ モーツァルト」で三拍子そろった実力を発揮した新トップが、いよいよ組子全員を率いて大劇場の中心に立つ。やるべき課題は山積み。「焦っている自分に驚きます。セリフを一つ覚えたら一つ忘れて『私の頭よ、よみがえれ!』と(苦笑)」。以前と勝手は違うが「私の少しの変化をも、みんなが感じ取ってくれる。影響力のある立場。しっかりしていきたい」とリーダーとして気を引き締める。

 大劇場第1作はオリジナル。幻の谷の探索を命じられた若き貴族を演じる。「登場シーンは『新入社員です!』のように意気揚々。夢見る夢子みたいな、怖いものなしの青年なんですが、いろんな人の生きざまを見て、真実を知り…」。2009年の首席入団ながら、汗と一緒に涙も流した。「苦しみの中、光を求めて戦い、自分の信念を貫く。共感する部分はあります。(足跡と)重ね合わせると、より感動していただけるかも」

 7期下のパートナー・舞空は、谷の舞姫・瞳花(とうか)役で「盲目の設定で全編通して目が合わない。だからこそ、目から感情が伝わってくる。人間としてひかれ合っていく部分を深く出せたら」。二重の意味で「瞳」との絆を強める。

 併演の「Ray」は02年の香寿たつきのトップお披露目「LUCKY STAR!」以来、中村一徳氏が18年ぶりに手掛ける星組ショー。若手も抜てきされて“新しい星の時代”の始まりを告げる。「私だけでなく、みんな出ずっぱり。黒えん尾は男役全員で惜しみなく。“抜け感”のある、おしゃれテイスト。下級生にはいい経験になる」と見どころを語った。

 稽古で手本を示すのもトップの務め。「うまい下手は関係なく、歌、踊り、演じることが私は大好き。まず自分が芸事に向かう姿勢を見てもらう。観察力が大事だと日頃から言っています」。悩んだら、前トップの紅ゆずるに連絡。「一つの言葉が十のアドバイスになります。さゆみさん(紅の愛称)が今まで着ていたジャージーを下級生にあげたので、お稽古場には『ゆずる』と書かれた後ろ姿がいっぱい(笑い)。紅イズム、ありがたいです」。ショーの演出には8期上の星組OG・鶴美舞夕(つるみ・まゆう)さんも参加。星組一筋だけに、歴史、情熱の継承も意識して臨む。

 昨年5月の全国ツアー主演で背負った羽根は2番手仕様を改良したものだった。「お衣装(担当)さんに『トップの羽根は、こんなもんちゃうでぇ!』と言われました。お芝居、ショーと3時間頑張った後に背負う重みの意味。何かが感じられるのでしょうね。無事に下りられることを祈っています(笑い)」。スポットライトに照らされ、一等星が最高の輝きを放つ。

 ◆礼 真琴(れい・まこと)12月2日生まれ。東京都江戸川区出身。第95期生の首席入団で、2009年4月「Amour それは…」で初舞台。星組配属。昨年10月14日付で星組トップスターに就任。6月12日~7月1日には全国ツアー「エル・アルコン―鷹―」の13年ぶり再演に挑む。身長170センチ。愛称「まこっつあん」「こと」「こっちゃん」。 報知新聞社