蛍原もさんまもスルー 芸人の自覚を忘れた“YouTuber”宮迫の復帰劇

蛍原もさんまもスルー 芸人の自覚を忘れた“YouTuber”宮迫の復帰劇

【芸能界クロスロード】

 不祥事を起こしても芸能界は大半の人が戻ってくる。問題はどういう段取りで復帰するか――。雨上がり決死隊の宮迫博之とロンドンブーツ1号2号の田村亮の復帰は明暗がはっきり分かれた。

 先に復帰会見した宮迫はユーチューブに登場。謝罪から入った。昨年7月の時よりも神妙な顔つきで長々と謝罪。「嘘っぽい」「謝罪の安売り」と非難を浴びた。当面はユーチューバーとして活動を再開するという。亮は事前の告知通りライブ活動で復活後、相方の淳とともに会見。謝罪は手短に、お膳立てした淳のリードで終始笑顔の会見。本来、どんなに頂点を極めたタレントでも復帰は原点に返るのがスジだろう。芸人の原点は舞台。亮は舞台に代わるライブで生のお客の前で芸を披露したが、宮迫は芸人としての自覚を忘れた。

 テレビタレントとしての復活しか頭になかったのか、舞台をユーチューブの場にしただけで、一方的に復活の意思を表したに過ぎない。

■相方・蛍原徹は無視

 さらに、宮迫も相方・蛍原徹に「迷惑をかけた」と思いやりながら、相方に選んだのは協力したユーチューバー。蛍原と一緒に復活の舞台に立つことは考えなかったのか――。そこに宮迫のおごりも感じ取れる。これまでピンとして活躍していた自信が「1人でできる」と勘違いさせたのだろう。非難されるのも必然だった。振り返れば、明石家さんまが宮迫のためにお膳立てした仕事関係者を招いての謝罪会も、時期を間違えたのかもしれない。

 今回の復帰にさんまも「聞いていなかった」と突き放したといわれている。これで宮迫のテレビ復帰も遠のいた。同じ芸人で同じ不祥事を起こした芸人がこれほど明暗を分けるのも珍しいが、2人をサポートしたさんまと淳の明暗も浮き彫りにした。復帰に際して初動の難しさを再認識する。その点、復帰は原点からを実践すべく動き出したのがピエール瀧。昨年6月、麻薬取締法違反で有罪判決を受け執行猶予中の身だが、2月下旬から映画の撮影に参加する。監督を務める仲間の後押しで復活がかなった。

 まずは映画出演からの復活は賢明な選択だろう。昨年11月、合成麻薬所持で逮捕された沢尻エリカ被告の初公判。起訴事実を認めた上で、弁護士に女優復帰について聞かれると、「復帰を語る資格はない」と暗に復帰を否定したが、「復帰したい」などと虫のいいことを言うはずもなく、公判での回答は弁護士との打ち合わせ通りだろう。執行猶予が付くのは確実。後は瀧と同じように復帰のタイミングを待つだけ。解雇しなかった所属事務所のサポートで彼女の原点である映画復帰を選択するのが濃厚。迎え入れる映画界も、「瀧も沢尻も役者として魅力がある人。このまま埋もれてしまうのは惜しい」(映画関係者)という逸材。やはり芸ある者は復活を助ける。

 これがテレビタレントの宮迫や亮との大きな差。最終的な復活先は地上波のテレビだが、2人の復帰を待ち望むほどバラエティー界は人材不足に悩んでいるわけではない。空いた席は仲間内でも狙うシビアな世界。相方の淳ほどピンとして活躍した実績のない亮に、バラエティー復活は至難の業。「大河や朝ドラに出たい」とも語り淳に制止されていたが、意外と本音かもしれない。

(二田一比古/ジャーナリスト)