岸田教団&THE明星ロケッツが「nameless story」をリリース!「EDテーマでは食蜂さんの存在感を色濃く出したいと思いました」【インタビュー前編】

岸田教団&THE明星ロケッツが「nameless story」をリリース!「EDテーマでは食蜂さんの存在感を色濃く出したいと思いました」【インタビュー前編】

 岸田教団&THE明星ロケッツがTVアニメ『とある科学の超電磁砲T』EDテーマ「nameless story」をリリース。メンバーの岸田、ichigoが楽曲制作や、作品の魅力について聞いたインタビューがアニメディア2020年2月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載できなかった分を含めた特別版を紹介。今回はインタビューの前編をお届け。■LiSAの「紅蓮華」を作曲した草野華余子と共作

――表題曲「nameless story」は『とある科学の超電磁砲T』EDテーマ。『とある』シリーズのテーマソングを担当するのは今回が初めてで、おふたりとも同作の大ファンとのこと。『とある科学の超電磁砲』シリーズの魅力は、どんなところに感じていますか?

岸田 僕はもともと『とある魔術の禁書目録』の、完全リアルタイム世代なんです。『禁書目録』の原作がアニメ化される前から読んでいるラノベ厨で、それだけにスピンオフ作品に対しては懐疑的でした。でも『超電磁砲』は、単純に面白いと思いました。アニメになったときに、より映える映像的な魅力があると思います。今回歌詞を書くために読み返したんだけど、読み始めたら歌詞のことを忘れて普通に楽しく読んじゃって(笑)。

ichigo 私は、約8年前に『超電磁砲』のアニメが始まったときに観て好きになりました。こういうライトノベルが原作でかわいい女の子がたくさん出てくる作品は、いわゆる男性向けと思われがちですけど、女子目線で見てもすごく面白いです。エロすぎないし、女の子がみんな体育会系で強いので好きです。とくに白井黒子ちゃんが好きで、彼女の「ジャッジメントですの」という決めゼリフを言いたくて、ジャッジメントという名前のバンドを組んだことがあるくらいです。当時はライブのたびにステージで「ジャッジメントですの」と言っていて、それがまさか公式で言えるとは思ってもいなかったです!

――歌詞には相当なこだわりが?

岸田 今回のエピソードはキービジュアルからもわかるとおり、御坂美琴と食蜂操祈さんが活躍するお話です。OPテーマが「only my railgun」などで御坂美琴のイメージがあるfripSideさんですから、表と裏じゃないけど、EDテーマでは食蜂さんの存在感を色濃く出したいと思いました。

ichigo 原作を踏まえた言葉使いがたくさんあるのが、岸田の歌詞のいいところです。今回も「運命力」など、普通は出てこない言葉がたくさんあります。

岸田 食蜂さんが、何にでも「~力」と付けるキャラクターなんです。だから曲中の「運命力」「天才力」「生存力」は、すべて原作に出てくる言葉で、特に「天才力」は絶対使いたいと思っていました。そういうことを抜きにしても、「天才力」はすごく好きな言葉だなと思ったので。

ーーそういう歌詞を歌ってみて、いかがでしたか?

ichigo 歌いやすさよりも、岸田が書きたい気持ちが優先されている歌詞なので、私はとにかく歌いづらかったです(笑)。でも、私にしか歌えない曲であるということを意識して、いかにかっこよく歌うかを考えました。

岸田 曲自体も、すごく難しいと思います。速いし、音程も上下に激しいから。今回はコライトで、草野華余子さんと共作したんですけど、僕がベースになるメロディとアレンジを作って華余子さんに投げて、そこに華余子さんがアイデアを足して、そこにまた僕がアイデアを足すという、キャッチボールをしながらブラッシュアップさせていきました。

ーー草野華余子さんとは、以前から?

岸田 前から仲のいい友だちです。昨年の僕らのアルバム『REBOOT』に収録の「Reboot:RAVEN」も彼女の作曲です。(LiSAさんの「ADAMAS」や「紅蓮華」最新の「unlasting」なども作曲)

ichigo 「nameless story」は、普通はなかなか出てこない高いキーなんですけど、それがギリギリ歌えるように作ってあるのがすごくて。

岸田 華余子さんは自分もシンガーソングライターで歌っているから、こういうメロディの流れなら普段は出ない高音でも出るというのが、わかっているんだと思います。

ichigo 私たちらしい勢いのある曲だけど、同時にすごくエモーショナルでもあって。

岸田 本人も自画自賛でしたよ、「めっちゃいいメロディができた」って。「エモさで流れた涙の塩気で、ご飯が何杯でも食える曲だ」って(笑)。

ーーオチサビでピアノと歌だけになるところは、とくにエモさが倍増します。今回は、ピアノもキーポイントになっていますね。

岸田 華余子さんが参加してくれるからというのもあったし、ピアノが入ったほうが、楽曲がより華やかになると思いました。ギターは構造上の問題で、表現できない和音がたくさんあって。もちろんエレキギターでなければ表現できない勢いや力強さがあるけど、この曲はそれよりも華やかさがほしいと思って、ギターの上に鍵盤が重なる形で、和音の華やかさをより強調しています。でもピアノが入ったからと言って自分たちらしさを失わないように、中域や低い音域はエレキギターでガシッと表現しています。

ーーピアノが入ったことで、EDらしさも出ているような。

岸田 そうですね。EDでなければ、ピアノを入れようというアイデアは出てこなかったかもしれない。やっぱりどこかに感動がないとEDっぽくないし、ギターならではの勢いよりも胸にグッとくる感情みたいなものはピアノのほうが表現できるので。

ーーアニメ側からは、何かオーダーみたいなものはありましたか?

岸田 事前のオーダーはなく、ほとんど一発OKでした。一点だけ修正を求められたのは、イントロをもう少し長くしてほしいということ。EDに流れるので、セリフと歌がかぶらないようにと。僕らはEDを担当するのが初めてだったから、そういうところまでは気が回らなくて、「なるほど!」とすごく勉強になりました。

ーー「nameless story」というタイトルは?

岸田 タイトルを考えているときに、曲の最後に出てくる「名前のない物語に」というフレーズが印象的で、ギターのhayapiさんからも「そのフレーズいいね」と言ってもらったので、じゃあそれを英語にしてタイトルにしよう、と。先にタイトルを決めてから歌詞を書くこともあるけど、今回はそういうノリで決まりました。

ーーそんな「nameless story」のミュージックビデオ(MV)は、レーザービームがかっこいい映像になりましたね。

ichigo 『超電磁砲』の舞台になっている学園都市には風力発電の風車が出てくるので、それを撮りに行こう、と。でも考えが安易でした。風力発電をしているということは、それだけ風が強い場所なんです。当日は強風注意報も出ていて、まっすぐに立っていられないくらいの暴風で大変な撮影でしたけど、風に耐えている姿がエモさを引き出してくれました。

岸田 レーザー光線も最初はサブ要素くらいに考えていたんですけど、風が強くて砂が舞っていたことで、砂粒にレーザーが当たってランダムに途切れたり反射したり思わぬ効果が得られて、おかげでビームがビュンビュン飛び交っているみたいな映像になったんです。このレーザーは、奇跡の副産物です(笑)。

後編へ続く

PROFILE
【きしだきょうだん・アンド・ジ・あけぼしロケッツ】同人活動を行っていた岸田(B)の呼びかけで、ichigo(Vo)、みっちゃん(Dr)とともに2007年に結成。2010年にTVアニメ『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』主題歌「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」でメジャーデビュー。アニメ『ストライク・ザ・ブラッド』シリーズや、アニメ『天狼 Sirius the Jaeger』OPテーマなど手がけている。

商品情報
「nameless story」
ワーナーブラザーズより発売中
アーティスト盤:1,800円
通常盤:1,200円(各税抜) 榑林史章