猫に扮したというより猫化したリアル感覚 吹き替え版のキャストも豪華布陣 映画「キャッツ」

引用元:夕刊フジ

 【エンタなう】

 1981年のロンドン初演以来、世界的なメガヒットを続け、劇団四季の日本公演も通算1万回超を記録しているミュージカル界最強のコンテンツ「キャッツ」。その映画化となれば気合が入り過ぎるのか。「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」のトム・フーパー監督は、禁断の道に足を踏み入れたのかもしれない。

 先行して公開された米国のサイトでは、かなり厳しい評価にさらされた。猫に扮した、というより遺伝子実験で、人間が猫化したような精度。その行き過ぎたCGの罪が見る者を幻惑したからなのか。

 しかし、字幕版に続いて吹き替え版を観て、思いを改めた。これがすごい布陣。葵わかな(ヴィクトリア)、山崎育三郎(マンカストラップ)をはじめ、今をときめく、Official髭男dismのボーカル、藤原聡も起用。大ベテランの宝田明、大竹しのぶらも参戦。みなさん歌唱とセリフのハマり具合が素晴らしい。グリザベラ役の高橋あず美が歌う「メモリー」など特筆に値する。いっそ顔もCGで挿げ替えた日本版を作ればいいのに、とさえ。

 ヒロインの仔猫ヴィクトリアに大抜擢されたのは、英ロイヤル・バレエ団のプリンシパルダンサー、フランチェスカ・ヘイワード。まるで人間のハダカを見ているような生々しさと憂いを帯びた上目遣いの表情には、こちらがマタタビを振りかけられた気分に。このイケナイ感覚の怪作をどう楽しむかは、あなた次第。(中本裕己)