流行語大賞「一発ギャグ」10傑ナシの背景 芸人に“冬の時代”到来か

 年末恒例の「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式が2日、都内で行われた。大賞は、ラグビー日本代表の「ONE TEAM」。トップテンには「計画運休」「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「タピる」「令和」などが入った。

 しかしエンタメ関連では、「翔んで埼玉」「ドラクエウォーク」「パプリカ」などがノミネートされたものの、トップテン入りしたのは「闇営業」だけ。さらに毎年定番となっていたお笑い芸人の一発ギャグもなかった。2000年以降を見ると芸人のギャグは常連で、「なんでだろ~」(03年)、「って言うじゃない…○○斬り!残念!!」(04年)、「フォーー!」(05年)、「そんなの関係ねぇ」(07年)、「グ~!」(08年)、「ラブ注入」(11年)、「ワイルドだろぉ」(12年)、「ダメよ~ダメダメ」(14年)、「安心してください、はいてますよ。」(15年)、「PPAP」(16年)、「35億」(17年)などがトップテン入りしていた。お笑い評論家のラリー遠田氏はこう話す。

「昨年も『チコちゃんに叱られる!』の『ボーっと生きてんじゃねーよ!』がトップテン入りしましたが、お笑い芸人のギャグは入っていません。エンタメ関連の言葉が入ったとしても、芸人のギャグが入らない年もありますから、不思議ではないですね。しかし個人的には、チョコレートプラネットの“TT兄弟”などは入ってもいいと思いましたけど」

 確かに今年は、闇営業問題やタレントの薬物事件、元NGT48山口真帆の暴行事件など、芸能界は暗い話題が続いていた。

 一方で、一発ギャグがトップテン入りしなかった背景には、求められている芸人の変化もあるという。

「今は、かつて『エンタの神様』で量産されていたようなコスプレをして、定番のワンフレーズで笑わせるキャラ先行型の芸人より、しっかりしたネタやフリートークができる芸人がウケるのかも知れません。チョコプラも、モノマネやワンフレーズのギャグが注目されていますが、土台となる実力は十分あってネタも面白いんです。今でも深夜に多くのネタ番組はあって、さまざまなタイプの芸人がいますが、かつてより世間に認知されにくくなっていると思います。お笑いファンは知っているものの、老若男女の誰もが知っているという状態にはなりにくい」(ラリー遠田氏)

 確かに今年は、この時期、忘年会で誰もがこぞってマネするようなネタが思い浮かばない。それも含めて世相か。