『前田建設ファンタジー営業部』生みの親語る、「建設業はバーチャルで何ができる?」

引用元:マグミクス
『前田建設ファンタジー営業部』生みの親語る、「建設業はバーチャルで何ができる?」

 実在する建設会社が架空世界の構造物を本気で設計し、見積りを行うという実話をもとにした『前田建設ファンタジー営業部』が映画化され、2020年1月31日(金)より公開されています。「ファンタジー営業部」生みの親のひとり、前田建設の岩坂照之さんは現在、リアル「ファンタジー営業部」のような業務を手掛けています。建設業の面白さとその未来について語ってもらいました。

【画像】実際には造らないが迫力満点!な「ファンタジー営業部」の活躍(10枚)

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――岩坂さんがTVアニメ『マジンガーZ』(フジテレビ系)をご覧になったのは再放送ですか?

岩坂照之さん(以下、敬称略) 『マジンガーZ』の放映時はまだ4歳でしたが、しっかり観ていました。当時は夕方6時30分から『サザエさん』、7時から『マジンガーZ』、7時30分から「世界名作劇場」という黄金の編成でしたよね。「ファンタジー営業部」でマジンガーZの格納庫を検討する際に全92話をビデオで見返しましたが、結構覚えていました。それだけ集中して見ていたようです(笑)。

――ファンタジー営業部は予算なしで活動を続けていたわけですが、大変だった点は何でしょうか?

岩坂 大変だと思ったことはないのですが、「ファンタジー営業部」は本業の傍らでやるので、その点を懸念する声は社内にありました。片手間の活動で、本気でやるような検討、設計、見積もりになるのかと。社内のそういった軋轢を解決していくことも、むしろ楽しく感じていました。

 総工費の積算をネット上で公表するかどうかは揉めたんですが、やはり具体的な金額を出さないと面白くありません。そこは押し切りました。中には「ウチより安く見積もる競合社が現れたらどうする?」という声もありましたが、「いやいや、こんな酔狂なことをする会社はうち以外にありませんよ」と(笑)。

 ファンタジー営業部を立ち上げたのが2003年2月で、月1回ペースで更新していました。半年間はほとんど反応がなかったものの、8月に地下格納庫の積算を発表したところ、Yahoo! の今日のおすすめで取り上げられ、アクセスが集中しすぎてサーバーがダウンしてしまったんです。現場からは「データのやり取りができない」と叱られました(笑)。