『パラサイト』&『ジョーカー』に共通点? アカデミー賞ホットな見どころ紹介!

『パラサイト』&『ジョーカー』に共通点? アカデミー賞ホットな見どころ紹介!

 日本時間2020年2月10日(月)にせまった第92回アカデミー賞。ついに発表されたノミネートから、ホットな見どころをご紹介。(文=辰巳JUNK)

【写真】授賞式をより楽しめる!ハイクオリティ映画

■主役は『パラサイト』&『ジョーカー』!

 作品賞の主役は、なんといっても2つの「革命」作品! 韓国映画として初ノミネートを果たしたポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』は、受賞に至った場合「オスカー史上はじめての音声つき海外作品」になることが決まっています。最多ノミネート数を記録したトッド・フィリップス監督『ジョーカー』も、過小評価されがちなコミック・ブックをベースとした作品。ライバルも強力ですが、韓国映画とアメコミ映画のどちらかが作品賞ウィナーとなった場合、ハリウッドの変革を表すエピック・イヤーになること間違いなし。

 日本でも話題を博す2作品ですが、じつは、ある共通点が……。貧しい一家がお金持ちの家で働きだす『パラサイト』、孤立する男性がヴィランの道に向かう『ジョーカー』、どちらも「経済格差への怒り」が大きな影を落とす物語なのです。「富の不平等」は、現実でも大きな問題になっていて、世界各国のデモで『ジョーカー』を模したメイクが人気になっているそう。『パラサイト』にしても、韓国社会のローカルなネタが多いにもかかわらず、欧米や香港など世界中で「自分の国の話だと思った」という声があがりつづけたことでグローバル旋風を巻き起こしました。

■超華やかな男性スターも見逃せない!

 男優部門レースは、超華やかなスターぞろい! 主演男優賞の本命は、ご存知『ジョーカー』のホアキン・フェニックス。「浮世離れした名優」として知られるホアキンですが、ノミネート発表の直前、気候変動デモの参加中に逮捕されて映画界を騒然とさせました。まるで『ジョーカー』そのものな展開だけれど……彼は元々熱心な活動家なので、今後も同様のことが起きる可能性はなきにしもあらず。果たして、アカデミー賞本番、ホアキンは出席できるのか。来られなかったら、ある意味伝説に?

 オスカー・レースにおいて忘れてはいけない存在が、クエンティン・タランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。なかでも、ブラッド・ピットが助演男優部門の本命候補となっています。大スターなだけあり、前哨戦アワードを総なめするなか、イケメンなスピーチでも話題を博しました。ゴールデングローブ賞授賞式では、主演であり相棒のレオナルド・ディカプリオに向けて「俺ならイカダをシェアしたよ」と『タイタニック』ジョークでラブコールを送って、ファンを絶叫させました。アカデミー賞でのスピーチも期待したいところ!

■「男性/白人ばかり」に不満

 ベテラン男優キャストが揃ったマーティン・スコセッシ監督『アイリッシュマン』筆頭に、白人男性陣が輝く結果となった第92回アカデミー賞ノミネート。一方、最大のサプライズとなってしまったのが、女性たちのノミネート漏れ。とくに、前哨戦アワードのトップランナーだった『ハスラーズ』ジェニファー・ロペスの脱落は大騒動に発展しました。歌曲賞では大ヒット作『ライオン・キング』のビヨンセも落ちてしまったため、音楽界の女王たちには厳しい年度に……。ほかにも、ゴールデングローブ賞を獲得した『フェアウェル』主演オークワフィナや前哨戦トップランナーの『アス』ルピタ・ニョンゴの姿も無かったことから、全米で「男性/白人ばかりのアカデミー賞」への不満が再燃しました。

 『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』グレタ・ガーウィグがはずれたことで「全員男性」状態になった監督部門が発表された際には、ノミネート発表の司会をつとめたイッサ・レイすら批判を表明する事態に発展。ここまで反発が大きい理由には、有力候補とされた作品や演技が素晴らしかったからにほかなりません。『ハスラーズ』や『フェアウェル』が必見の映画であることは変わりないので、公開をお楽しみに。

■今年はハイクオリティな作品集結!

 期待が大きいぶん議論も起こるアカデミー賞ですが、ハイクオリティな話題作が目白押しなことには間違いなし。ノミネート最多スタジオとなったNetflixでは、『アイリッシュマン』のほかに『マリッジ・ストーリー』『2人のローマ教皇』などの有力作品が配信中。爆音カーレース映画『フォードvsフェラーリ』や、全編ワンカット撮影を模した戦争ドラマ『1917 命をかけた伝令』は、劇場鑑賞がマストな「あらたな映画表現」と絶賛されています。ノミネート作品を観ておけば、アカデミー賞はより楽しめるはず! 引きつづき、ハリウッド最大のお祭りをチェックして。