「ホラー映画は“いじめられっ子”のもの」橋本環奈主演映画「シグナル100」監督が“良作ホラー映画”を語る

引用元:TOKYO FM+
「ホラー映画は“いじめられっ子”のもの」橋本環奈主演映画「シグナル100」監督が“良作ホラー映画”を語る

TOKYO FMの生放送番組「鈴木おさむと小森隼の相談フライデー」。放送作家の鈴木おさむと、7人組ダンス&ボーカルグループ・GENERATIONS from EXILE TRIBEの小森隼が“相談員”となり、リスナーの人生相談にコンサルしていきます。1月24日(金)はゲスト相談員として、映画監督・竹葉リサさんが登場。学生時代に観て影響を受けた映画「バトル・ロワイアル」や、1月24日(金)公開の映画「シグナル100」について語りました。

鈴木:竹葉リサ監督がメガホンをとった、橋本環奈さん主演映画「シグナル100」。なかなかハードな内容ですね。“令和版「バトル・ロワイアル」”と言いますか。中村獅童さん演じる担任教師が、36人の生徒に“自殺催眠”をかけるところから始まる物語なんですけど、原作漫画があるんですよね?

竹葉:原作をお友達からもらって読んだ瞬間、“これは必ず監督したい”と思いました。

鈴木:でも、生徒同士のデスゲームじゃないですか? この物語を映画化したいと思った理由は?

竹葉:私が高校3年生のときに、映画「バトル・ロワイアル」が2000年の「日本アカデミー賞」を受賞したんですね。私達の代(1982年~1983年生まれ)は“ひきこもり世代”で、少年犯罪や宗教がらみの犯罪など、思春期に不況も経験していて、暗い世代だったんです。

そんなときに「バトル・ロワイアル」が公開されて。引きこもっていると、自動的に負け組になってしまう。“だったら戦おう”っていう選択肢を、初めて叩きつけられたのが、すごくセンセーショナルで。

鈴木:当時「バトル・ロワイアル」を大人の僕が観ても、なかなかの衝撃を受けました。(中学生が)殺し合うもんね。“これを学生のときに観ていたら、相当なインパクトだろうな……”って思いました。やはり、相当影響されました?

竹葉:はい。センター試験終わりに観に行きました。知らない街で試験を受けて、怖かったんですね。寒いし、映画館だったら安全だろうと思って入ったら、ところがどっこい。中学生たちが、血まみれで仁義なき戦いをしていて……。あれは忘れられないですね。

鈴木:例えば僕の年代でいうと、もちろん、いろんないい映画がたくさんあったけど、やっぱ「ビー・バップ・ハイスクール」。漫画が原作で映画化されたんですけど、それに影響された人が、すごくいるわけですよ。暴力シーンも、けっこうすごくて。10代のときに観るセンセーショナルなものって、その後の人生に、絶対影響を与えるはずなんですよ。

竹葉:主演の藤原竜也さんが同い年なんですけど、スクリーンのなかで、生きよう生きようとしていて、“自分は何もやってないな”って思ってしまって。そういう意味でも印象的でした。

鈴木:竹葉監督の映画「シグナル100」もすごいですよね。自分が影響を受けたものに、ぶれずに物作りができるって、あまりないじゃないですか。

竹葉:貴重な機会をいただいていると思います。「バトル・ロワイアル」を、そのまま作っても意味がなくて。「シグナル100」の原作がすごいところは、“自殺誘発催眠”によって、相手に直接的に手をくださず、死に追いやることができるんですね。それって、今の世の中の“救う悪”に似ているというか。いじめも恋愛もSNSでできるので、誰が攻撃してるかわからない状態で、あの危険にさらされているなって思っていて。だから、すごく“今感”のある原作だなと思って。どうしてもこれを撮りたかったんです。

鈴木:「シグナル100」を今の中高生が観たときに、竹葉監督が「バトル・ロワイアル」を観たときに覚えたような刺激を与えてやろうっていう気持ちも、やっぱりあるんですか?

竹葉:“あの刺激を与えてやろう”っていうよりも、単純にホラー映画が好きなんです。個人的に、ホラー映画って“いじめられっ子”のものだと思っているんですね。例えば、映画「キャリー」(1976年公開/アメリカ)なども、いじめられている子が主人公。学校で嫌なことがあっても、同い年の子が血まみれの制服を着てギャーギャー言っていたら、“なんか、どうでもいいや”みたいに思えてくるようなときもあったりするし。

良作のホラー映画って、主人公の成長談だったりもするので。多感な時期の子たちに観てもらい、死を捉えることによって、“生きるって何だろう”ということを考えてほしいなと思っています。(「シグナル100」は)強烈なメッセージがあって、それを説得させるために観ていただくわけではなくて、純粋にお友達と一緒にアトラクションを「ワー!」って体験してもらうような感じで、娯楽作品として楽しんでいただきたいなと思います。

(TOKYO FMの生放送番組「鈴木おさむと小森隼の相談フライデー」1月24日(金)放送より)