大沢たかお、2年休業のち俳優復帰の理由…「ハードル高い仕事もらいスイッチ入った」31日公開「AI崩壊」

引用元:スポーツ報知
大沢たかお、2年休業のち俳優復帰の理由…「ハードル高い仕事もらいスイッチ入った」31日公開「AI崩壊」

 俳優の大沢たかお(51)が5年ぶりに主演した映画「AI崩壊」(入江悠監督)が31日に公開される。AI(人工知能)が日常生活に浸透した2030年の日本を舞台にしたオリジナル脚本の近未来サスペンス。16年から2年ほど休業した大沢は「仕事に追われて、息切れしていた」と当時の心境を告白。リフレッシュした現在は「難易度が高く、大変なことだけトライしたい」と意欲を燃やしている。(有野 博幸)

 昨年末のNHK紅白歌合戦に登場した「AI美空ひばり」など最近、耳にする機会が増えたAIを題材にした物語。大沢は「斬新なテーマ。かなり冒険、挑戦した作品だな」と刺激を受け、出演を決めた。

 2030年の日本では、AIが全国民の個人情報を管理し、生活に欠かせないライフラインになっている。突如、AIが暴走を始めたら全国が大混乱に。SFの世界のようにも思えるが、「ここ最近、AIスピーカーなども急激に浸透している。10年後と言わず、もっと早い段階で、我々の生活に脅威をもたらすんじゃないか、そんな思いで見てもらえたら」と呼び掛けた。

 演じたのはAIを開発した天才科学者の桐生浩介役。「最初はAIを学ぼうと思ったけど、それよりもAI開発に関わった人間らしさを表現していきたいと思った」。AIを暴走させたテロリストと警戒され、警察に追われる立場となるが、「革靴で走るのが、しんどかった。脚や膝が痛くなりながら、船の中、海の上、貨物船を貸し切ったり。とにかく全国を走りました」。生身の体を張ったアクションが物語に説得力を与える。

 完成した作品を見て「僕らは技術がどこまで発展しても人間だから、家族愛だったり、ぬくもりにひかれる」と気づいたという。「AIは何でも計算して、合理的に物事を進める。でも、人間は損得だけじゃない。人ってダメなところ、ずれているところが愛らしい。その本来、持っている人間らしい感情が、AIと対峙(たいじ)する上で大切なこと」と語る。

 日本映画では珍しい近未来を舞台にしたSFサスペンス。脚本も手掛けた入江監督は「人工知能学会」に入会し、大学教授や電機メーカーのエンジニアに取材をして作品を作り上げた。入江監督とは初タッグとなるが、「いい作品を作ることに貪欲で、懐が深い。昔の映画監督とは違って、人の意見を積極的に取り入れて1ミリ、1センチでも良くしようと努力する人。映画作りに責任とプライドを持っている」と全幅の信頼を寄せる。

 ファッションモデルとして20歳で芸能界デビューしてから長期休暇を取っていなかったが、16年から2年ほど休業した。「ずっと仕事に追われて、息切れしたんです。休んで初めて呼吸ができた」と当時を振り返る。明確な休業宣言もなかったので、世間では体調を心配する声もあったが、「戻ってこないかもしれないと思ってましたね」。休業中は英語や中国語を学び、旅行をしながら、のんびりと過ごしたという。

 復活を決意させたのが、昨年公開の「キングダム」と本作のオファーだった。「ハードルの高い仕事をもらって、もう一度スイッチが入った。自分の力が通用するのか、もう一度、闘いを挑みたい」と意欲的に撮影に参加した。復帰を心待ちにしていたファンの期待の声も届いており「『キングダム』ではクリアできたと思うけど、これからは期待以上のことをしないと満足してもらえない。とにかく『AI崩壊』を見てもらいたい」と胸を張った。

 ◆大沢 たかお(おおさわ・たかお)1968年3月11日、東京都生まれ。51歳。20歳でモデルとして芸能活動を始め、94年頃から俳優に転身。2004年の映画「解夏(げげ)」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞。「終の信託」(12年)、「藁の楯 わらのたて」(13年)、「風に立つライオン」(15年)などに出演。2年ほどの休業を経て18年に「キングダム」(19年公開)の撮影で復帰。身長181センチ。血液型A。

 ◆「AI崩壊」 2030年、日本では少子高齢化が進み、働ける人は国民の50%、未来を担う子供は10%未満、残り40%は老人と生活保護者。国家として崩壊寸前となり、AI(人工知能)は全国民の個人情報、健康情報を管理し、生活に欠かせないライフラインになる。そのAIが突如、暴走を始めて命の選別を始めたら―。AIを開発した天才科学者を大沢が演じ、松嶋菜々子、三浦友和、賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典らが共演する。 報知新聞社