「怖いものなしの3人」獅童、勘九郎、七之助が3年ぶり赤坂大歌舞伎で新作・牡丹灯籠

引用元:TOKYO HEADLINE WEB
「怖いものなしの3人」獅童、勘九郎、七之助が3年ぶり赤坂大歌舞伎で新作・牡丹灯籠

 赤坂大歌舞伎『怪談 牡丹灯籠』製作発表会見が28日、都内にて行われ、出演の中村獅童、中村勘九郎、中村七之助、脚本・演出の源孝志らが登壇。新たな視点で描かれる新作・牡丹灯籠への意気込みや、赤坂大歌舞伎を立ち上げた十八代目中村勘三郎への思いを語った。

 2008年9月、十八代目中村勘三郎の“芸能の街・赤坂で歌舞伎を!”という一言から始まった「赤坂大歌舞伎」は2017年までに5回、行われており、今回は3年ぶりの上演。三遊亭圓朝の長編落語にある人間模様の面白さを再発掘、新たな解釈も加えたもの。

 昨年、放送された『令和元年版 怪談牡丹燈籠 Beauty&Fear』で源とタッグを組んだ七之助は「源さんの脚本を読んで“これを歌舞伎にしたら面白いですよ”という世間話レベルで話していたんですが、まさかこんなスピーディーに実現するとは。びっくりしている反面、これを勢いに力ある作品をみんなで作っていきたい」と意気込み。

 ドラマとは配役を変え、美男の浪人・萩原新三郎役は勘九郎、七之助は新三郎を慕うあまり焦がれ死に幽霊となる、お露役。勘九郎は「(相手役の)お露がドラマ版の上白石萌音だったらいいのに、なんで歌舞伎なんだろう…」と笑いをとりつつ「今までの赤坂大歌舞伎と違い、ドロドロした愛憎劇の中に美しさがある舞台になると思う」と期待を寄せた。今回、お露を含め三役を演じる七之助は「三者三様、すべて違うのでこれは演じがいがありますし、おそらく早変わりになると思うので、歌舞伎的な手法も楽しんでもらえるはず」と意欲を見せつつ「“焦がれ死に”って何ぞや、と、心不全か何かかな(笑)。それくらいまで人を好きになり、幽霊になってまで新三郎を求めていしまう人間の怖さはあるが、ドラマ版で好きだったのは新三郎が自ら殺してくださいとお願いするところ。2人自身は幸せだったのだと思う」と役どころに思いをはせた。これから脚本にかかるという源も「七之助の“焦がれ死に”方を楽しみにしていてください(笑)」。

 また、3年ぶりとなる赤坂大歌舞伎について勘九郎は「父が亡くなってもうできないと思っていたのですが、急だったもので翌年の公演がもう決まっていて、この3人で『怪談 乳房榎』をやり、NY公演まで行うことができ、その後も続けることができた。父が一番喜んだ公演ではないかと思う。この3人だと怖いものなし」と、本作へさらなる意気込みを見せていた。

 会見後の囲みでは、自身の演じる役について「ただの放蕩(ほうとう)野郎と、ただの小悪党です」と語っていた獅童が「本当に放蕩者です。手を出しちゃいけない奥さんに手を出しちゃったり」と言うと、七之助も「歌舞伎にはけっこうひどい人やどうしようもない人がたくさん出てくる。でも歌舞伎だと、お客さんも、仕方がないよね、と見てくれる。そこが歌舞伎の不思議な魅力」と語った。

 赤坂大歌舞伎『怪談 牡丹灯籠』は5月5日から24日まで、TBS赤坂ACTシアターにて26回公演。