中村獅童「自分にないものを演じきる」『怪談 牡丹燈籠』で放蕩息子と小悪党の1人2役

中村獅童「自分にないものを演じきる」『怪談 牡丹燈籠』で放蕩息子と小悪党の1人2役

 歌舞伎俳優、中村獅童(47)が3年ぶりに開かれる赤坂大歌舞伎の「怪談 牡丹燈籠」で旗本の放蕩(ほうとう)息子と小悪党の1人2役を演じることになり28日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで行われた製作発表に、共演の中村勘九郎(38)、中村七之助(36)の兄弟と登壇した。

 獅童の演じる放蕩息子は恩人の側女と不義密通をする役とあって、報道陣からは芸能界でいま話題の俳優、東出昌大(31)の不倫騒動を念頭に置いた「不倫みたいなものですよね」という質問が出ると、獅童はニヤリ。「まあ、そういうことです」とうなずいた。

 勘九郎と七之助から暗に「余計なことは言わないように」とくぎを刺されつつ、獅童は「歌舞伎にはひどい人がたくさん出てくる。殺人鬼とかどうしようもない人が…。自分とは正反対。僕自身は生真面目と言いますか。自分にないものを演じきることが役者の仕事です」と苦笑。「でも、お客さんはそんな役にも不思議な魅力を感じてしまう。そこが歌舞伎の持っている不思議な魅力でもある」とドロドロの人間模様を楽しんでほしいことを強調した。

 演出・脚本はNHKで昨年、ドラマ版も手掛けた源孝志氏。七之助はドラマで美男の浪人、新三郎を演じたが、今回は新三郎に焦がれ惚れぬいて死に、幽霊となって新三郎を殺すお露など1人3役。新三郎は勘九郎が演じる。

 勘九郎は「この3人なら怖いものなし。新たな作品を生み出したい」、七之助は「焦がれ死ぬって…現実にいたら怖い女性だけど、この作品の中では、出会った男女はそれぞれ幸せなんじゃないか」と新たな源作品に期待を寄せた。5月5日から24日まで東京・赤坂ACTシアターで上演される。