ユーチューバー芸人フワちゃん 無名時代にやっていた危ないネタ

ユーチューバー芸人フワちゃん 無名時代にやっていた危ないネタ

【2020 新春「笑」芸人解体新書】#6

 近年、芸人やタレントがユーチューブの世界に参入する事例が相次いでいる。女優の本田翼、キングコングの梶原雄太など、ユーチューバーとして華々しい成功を収めている人も増えてきた。

 そんな中で、ユーチューバーと芸人を両立させる「ユーチューバー芸人」として注目を集めているのがフワちゃんだ。鮮やかな蛍光色のスポーツブラとホットパンツを身にまとい、いつも異常にテンションが高い。先輩芸人にもタメ口で話しかけ、自撮り棒を片手にスタジオを駆け回る。上下関係が厳しいお笑いの世界にユーチューバーの軽いノリを持ち込んだのが画期的だった。

 指原莉乃のイチオシ芸人としてテレビで紹介されたのをきっかけに、じわじわと仕事を増やしてきた。正月番組の「新春!爆笑ヒットパレード2020」でもフワちゃんは大活躍。彼女と同じ格好をしたカンニング竹山やダチョウ倶楽部と共に中継リポートを担当していた。

 5年前にコンビを組んでいた頃の彼女のネタをライブで見たことがある。ネタの内容はよく覚えていないが、野性的な雰囲気のギャルっぽい女性が「乳首、痛えよ!」というフレーズをひたすら連呼していた。ギャグ漫画の世界から抜け出てきたような異様なオーラを身にまとっている彼女のことが妙に印象に残った。

 フワちゃんが組んでいたコンビは芽が出ずに解散してしまったのだが、そこから彼女はユーチューブという自分に合った場所を見つけて、眠っていた才能を開花させた。独特のファッションセンスや抜群の明るさと行動力など、ユーチューブの世界では彼女が持っていた強みが存分に生かされた。フォロワー数はどんどん増えて人気ユーチューバーとなり、指原などの有名人にも注目される存在になった。

 そして、彼女は満を持してテレビの世界にも進出した。ユーチューバーという芸能界の部外者であることを免罪符にして、先輩芸人や大物タレントにもなれなれしく絡んでいった。一見すると好き勝手にやっているように見えるが、意外と芸人らしく空気が読める一面もある。それもテレビで重宝される一因だろう。

 フワちゃんはユーチューバーと芸人という2つの肩書を状況によって使い分けている「ハイブリッド芸人」だ。令和の時代に登場した新しいタイプの芸人が、これからどういう生き方をするのか楽しみだ。

(ラリー遠田)