“最弱”ボールを“最強”に魔改造 ガンダムワールドの脇役を「自分の手でカッコよく育てる喜び」

引用元:オリコン
“最弱”ボールを“最強”に魔改造 ガンダムワールドの脇役を「自分の手でカッコよく育てる喜び」

 今年40周年を迎えた「ガンダムプラモデル(以下、ガンプラ)」の発展を支えてきたのは、創意工夫と自由な発想で技術革新に貢献してきたモデラーたちだ。そこで、これまでORICON NEWSで取り上げたトップモデラーたちを、「ガンプラ40周年記念」として改めてフィーチャー。第3回目となる今回は、連邦軍兵士から「ミスター・ボール(ボールさん)」、「丸い棺桶」などと呼ばれた“高潔なヤラレ役”ボールをピックアップ。ガンダムワールドの脇役をいかにしてカッコよく育てたのか、トップモデラーのひやむぎ氏とRIHITO氏に聞いた。

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■妄想サイドストーリーを具現化「“丸い棺桶”をどう“最強”に見せるか」(ひやむぎ)

 造形の“緻密さ”と“妄想”の掛け合わせが評価されているひやむぎ氏。「実はもともと情景描写(ジオラマ作品)はあまり得意ではないのです」と告白。他方、「塗装の剥がれ表現やグラデーション塗装による退色表現などは得意」なのだと、自身のストロングポイントを語ってくれた。

 確かに、ひやむぎ氏の作例からはモビルスーツの機械の錆や塗装の剥がれ、オイルの匂いのようなものが感じらえる。さらに、最近は様々なパーツを組み合わせ、自分独自のガンプラを完成させる“ミキシング”に力を入れているのだそう。

「14年の『ガンダムビルダーワールドカップ(以下、GBWC)』日本大会で3位入賞した、『スティンガーフォトンボール(ボール)』はお気に入りです。テーマは“速くて強くてカッコいい”ボール。ガンダムの世界では弱くて有名なボールですが、これをシューティングゲームの戦闘機のようにカッコよくしたら面白いのではないか、と考えたのが始まりです」

 この“最強”ボールの制作期間は約3ヵ月。ガンダムの作中で「丸い棺桶」と呼ばれ、弱い=ボールという意識を持たれている兵器を、「いかに強そうな見た目にするかに腐心しました」とアピール。

そんな、常に新しいアイデアを求めるひやむぎ氏にとって、「ガンプラは妄想や制作する際のワクワク感、完成した時の達成感など、あらゆる時間に“楽しさ”が詰まっている」と、ガンプラ趣味の魅力を笑顔で語ってくれた。