【宮野真守 インタビュー】宮野真守がミステリアスに描くドラマチックな恋の駆け引き

引用元:OKMusic
【宮野真守 インタビュー】宮野真守がミステリアスに描くドラマチックな恋の駆け引き

新作「LAST DANCE」はスウィングジャズとヒップホップを融合させたクロスオーバージャズ! TVアニメ『虚構推理』の世界観に合わせ、これまで培ってきたスタイルをシングル表題曲として思う存分発揮している。男性声優初となる単独ドーム公演を控え、彼のチャレンジに要注目。

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“宮野真守が歌うジャズ”をしっかり打ち出せた

──「LAST DANCE」はとても新鮮でありつつ、“これが欲しかった!”という喜びを感じさせてくれる曲ですね。

ありがとうございます。シングル曲で本格的にジャズに挑戦するというのは初めてで。今回、TVアニメ『虚構推理』のEDテーマを担当するにあたり、アニメチームとの打ち合わせで“EDテーマだけどノリがあって、主人公の琴子が踊っているイメージで”ということになったんです。しかも、シックだったり、クラシカルだったり、ミステリアスな雰囲気がとても似合う作品なので、だったらジャズの方向性がいいんじゃないかなと。もともとジャズでシングルの表題曲を切るというのは、やってみたかったことでもあるので、そういう機会をいただけたことには本当に感謝です。

──そして、長年お付き合いのあるJin Nakamuraさんにお願いしようと?

そうですね。Jinさんは楽曲もたくさん提供してくださっているし、ずっと僕の音楽を見てくれているので、今回もヒップホップの要素を入れつつの“クロスオ-バージャズ”というところから、“宮野真守が歌うジャズ”というものをしっかり打ち出してくださったと思います。とはいえ、やっぱりベースとなるスウィングジャズの要素が強いので、その本格的なジャズのノリみたいなものが単純に難しそうだなとは感じつつ。そこは今回Jinさんが非常に大事にされていたところでもあったので、ドラマチックな曲だけど、淡々と歌うことでミステリアスな雰囲気を出しながら、ノリを大事にして歌ったというのは大きなチャレンジではありました。

──あまり抑揚を付けたり声を張ることもなく、淡々と歌うことで逆にセクシーさが醸し出されていますよね。周りからの評判も良かったんじゃありません?

この前ラジオで初めてオンエアした時、新しい方向性だってことに、やっぱりみんなすごく驚いてましたね。でも、僕の音楽の流れの中でジャズは非常に大事にしてきたものなので、ライヴに遊びに来てくださってる方や以前からアルバムを聴いてくださってる方は琴線に触れるものがあったみたいです。

──これまでもアルバムの収録曲としてはありましたからね。逆に、なぜ今までシングルでジャズを切らなかったのか不思議なくらいです。

ありがたいことに、シングルではタイアップをいただく機会に恵まれて、たまたまチャレンジする機会がなかったんです。タイアップをいただいたからには、作品に寄り添ったものを制作したいですし、別のジャンルの楽曲が一番合うなと。なので、今回は本当にタイミングが良かったんです。

──なるほど、偶然にもジャズが合う作品が来てくれたと。当然、歌詞も作品に沿ったものに?

はい。作品のミステリアスな世界観を加味した上で、男女の駆け引きみたいなものを表現できたら曲の物語としても素敵だと思ったので、作詞の由潮に“ラストダンス”をテーマに書いてもらいました。あまり馴染みがないかもしれませんが、パーティーの最後のダンスには特別な意味もあって。うちのプロデューサーが「ラストダンスは私に」を例に出してくれたんですが、“ラストダンス”というテーマが作品にも合うんじゃないかと思ったんです。余裕のある男性が恋の駆け引きを楽しんでる、ちょっと妖艶なイメージで作れればいいなぁと。

──駆け引きはあるけれど、ある意味で純情な男性像ですよね。ちなみに宮野さん自身、そういう駆け引きは得意な方ですか?

…どうでしょう? 得意だと思ったことはないですね(笑)。ただ、いろんな役をやらせていただいているので、そういう役の作品もありました。今回『虚構推理』には僕自身も出演しているので、その作品の雰囲気も纏った状態で歌うことができましたし、MVでもミステリアスな空気感を出したくて、男女の駆け引きを少女とのチェスで表現してみました。おかげでドラマチックなストーリー性が出せましたし、ジャズバンドを引っ提げてプレイするっていうのも、僕のイメージ的にもぴったりでしたね。絵的にも今までと全然違うものが作れたので、観る人にも面白いと思ってもらえるんじゃないかな。

──ええ。ジャケットからして雰囲気が独特ですし。

ジャズの世界観ということでジャケットのデザインもレコードっぽくしてるんです。あと、ポスターではサックスとかウッドベースとかドラムとかの楽器とも一緒に写っていたり。やっぱり“ジャズ”っていう強いテーマがあると、世界が広がっていきやすいんですよね。

──“ジャズ=生楽器”っていうイメージですもんね。となると、MVでも演奏シーンが出てくるのは当然だと。

ただ、MVで楽器を弾いてるのって、実はライヴでも演奏してくれてる“チームマモ”のメンバーなんですよ。だから、何も知らない方が観れば普通にカッコ良いMVになってるんですけど、どうしても僕はバンマスの木原良輔さんが仮面を被ってる姿が映るたびに面白くて! そこはほんとに今まで応援してくださっている方も必見です(笑)。

──6月6日のメットライフドーム公演では、この“絵”が再現されたり?

まだ決まってないですね。でも、ドームに向けて演出を考えていかなきゃなとは思ってます。特にメットライフは壁面が開いているから、やる時間も悩みますよね。

──個人的には暗くなってからやってほしい曲ではありますけど。

自然を操ることはできないので(笑)。いろいろ想定しつつ、考えていきたいです。