【EVO Japan 2020】会場が緊張感に包まれた真剣勝負! 「SAMURAI SPIRITS」レポート

引用元:Impress Watch
【EVO Japan 2020】会場が緊張感に包まれた真剣勝負! 「SAMURAI SPIRITS」レポート

 国内最大級の対戦格闘ゲームトーナメント「EVO Japan 2020」が1月24日から開催。メインタイトルとなるのは全6種目。どれも気になるところだが、その中でも筆者が特に注目しているのが「SAMURAI SPIRITS」だ。

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 「SAMURAI SPIRITS」は昨年リリースされたばかりのタイトルで、EVO Japanでは今回が競技種目として選ばれたのは初めてである。リリースからまだ1年も経っていない作品ということもあり、誰が勝ち進んでもおかしくないという状況が最大の見所だ。2日間に渡る真剣勝負、「SAMURAI SPIRITS」大会の様子をお届けしよう。

■大きな番狂わせも起こる波乱の予選!

 大会初日は、エントリーした535名のサムライたちが集い、予選会場が熱気に包まれていた。トーナメントは2ラウンド2セット先取制のダブルエリミネーション形式となっており、勝利した選手は「ウィナーズブラケット」へ進み、負けた選手は「ルーザーズブラケット」に落ちる。そしてルーザーズでもう1度負けてしまうとその時点で敗退となる。1日目の試合は、予選からセミファイナルまで行われ、ウィナーズから4名、ルーザーズから4名のトップ8が決まる。

 グループごとの試合の様子を見て回ったが、現状では強キャラの一人とされる緋雨閑丸を使うプレーヤーが若干多いものの、全体的に使用キャラクターがうまくバラけていた。初期バージョンは牙神幻十郎が圧倒的な高性能ゆえに、大会のトップ8中6人が幻十郎なんていうことも過去にはあったが、今回はそういった同キャラ祭りにはならなそうで安心した。

 一撃一撃の重さが特徴の本作では、通常攻撃1発で体力がゴッソリ3割奪われるなんて当たり前で、大技の秘奥義にいたっては7割の体力を奪うことができるとんでもないゲームバランスなのだ。1つのミスが命取りとなるがゆえに、予選から緊張感のある戦いが続いた。

 ハイレベルな試合が繰り広げられ、中でも衝撃的だったのは優勝最有力候補であった韓国プレーヤーINFILTRATION選手の予選敗退だ。INFILTRATION選手は昨年のEVO2019の決勝戦でかずのこ選手を破り、優勝を掴んだ覇者であった。

 予選の後半戦までは無敗で勝ち進むも、ウィナーズで色を使うgamera選手に敗れてルーザーズに落ち、セミファイナル進出を懸けた戦いでは十兵衛を使うべテル選手に惜しくも敗北してしまった。INFILTRATION選手の試合はまだまだ見たいところだったが、この大きな番狂わせにより、先の展開が面白くなったことも間違いない。

■仲間であり、ライバルでもある2人が、決勝戦でぶつかり合う!

 セミファイナルも息を飲む展開の連続。激闘の末、ファイナルステージに駒を進めたのは、過去に「SAMURAI SPIRITS」の大会で好成績を納めている強豪プレーヤーばかり。海外プレーヤーも出場していたが、トップ8は全員が日本人選手となった。

 大会2日目のファイナルステージ。予選でINFILTRATION選手を破り、注目を浴びていたgamera選手とべテル選手もこのステージに立っていた。この2人が最も優勝に近い男だと思っていたのだが、ルーザーズを勝ち進んできたべテル選手は1度も負けられない状態にあった。そしてこの日、べテル選手の2戦目の相手である飛翔兎選手に敗れてしまった。

 実力伯仲の見応えある戦いが続き、ウィナーズからグランドファイナル進出を決める大きな戦いに突入する。ここからは2ラウンド3セット先取制のルールへと変わる。これまで1度も敗北していない、色を使うgamera選手と閑丸を使うエムジマ選手の対決。2人は、これまでの「SAMURAI SPIRITS」大会で幾度となくぶつり、チーム戦では同じチームを組むという、最高の仲間であり、ライバルでもある関係だ。

 互いに相手の手の内は熟知していることもあり、爆発力のある閑丸の一撃がなかなかgamera選手に決まらず、逆に閑丸へダメージを着実に与えていき、gamera選手がなんと3セットストレート勝利を決め、グランドファイナルへと駒を進めた。この決着に会場は割れんばかりの歓声が上がった。

 ルーザーズに落とされたエムジマ選手だったが、これをきっかけに闘志に火が付いたか、関西最強の覇王丸使いであるSCORE選手を3セットストレートで完封し、ルーザーズブラケットからグランドファイナルへの切符を掴んだ。こうしてgamera選手への再戦を果たすことができた。

 頂点のサムライが決める最終決戦は、エムジマ選手のリベンジ戦となった。しかし、この時点ではgamera選手が圧倒的優位に立っている。その理由は、2ライフ制のルールとなっているので、エムジマ選手が優勝するには強豪のgamera選手を相手に3セットを2回も取らなければならないのだ。逆にエムジマ選手は1回負けたら終わりという状況で、これだけ見ると絶望的とも思えるが、SCORE選手を倒したときの気迫はgamera選手を上回る予感すらしていた。

 使用キャラクターは変わらず、色と閑丸の対戦。1ラウンド目は互いに小技で牽制し合い、慎重な立ち回り。大きな動きが無いままタイムアップ。僅かな体力差でエムジマ選手が1ラウンドを取っていく。

 幸先の良いスタートを切り、2ラウンド目も小技での殴り合いが続き、体力互角のまま残りタイムアップが近づく。ギリギリで勝負をしかけるエムジマ選手は、残りタイム1秒の所でダッシュ斬りをヒットさせて体力リードを奪う。

 勝負あったか! と誰もが思った瞬間、タイムが0の所でgamera選手が怒り爆発を発動。時間を止めることができる怒り爆発を一瞬の判断で使ったのは流石である。執念でgamera選手が2ラウンド目を制する。

 そして最終ラウンド。安定の立ち回りで優勢なのはgamera選手。しかし、最後は掴みで防御を崩し、閑丸の大技・狂落斬を確定ヒットさせて逆転勝利を掴んだ。

 続く2セット目も、やはり実力が拮抗してるだけあり、最終ラウンドまでもつれ込む。両者とも慎重な立ち回りでまたもやタイムアップが近づく。体力優勢はgamera選手。今度は逆に、怒り爆発で時間を止めたエムジマ選手だったが、時間停止の中、色のジャンプ斬りをもらってしまい勝負が決まった。ここでgamera選手が1セットを取り返していく。

 ここから流れを掴んだか、3セット目はエムジマ選手の動きを的確に対処して、ストレートで見事に2ラウンドを奪っていく。セットカウントは2-1となり、もう後がないエムジマ選手。運命の4セット目も、開幕から流れを支配していたのはここでもgamera選手。1ラウンド目を危なげなく奪い、優勝へのリーチが掛かる。

 何が何でも勝ちに行きたいgamera選手。2ラウンド目はさらに守りを固め、閑丸の狂落斬を常に警戒している動きを見せる。エムジマ選手としては戦い辛いことこの上ない状況。gamera選手の圧勝で終わってしまうのか!? という最終局面で、閑丸の武器飛ばし技・暴雨狂風斬をヒットさせ、体力をごっそり奪い形勢逆転。エムジマ選手に追い風が吹いてきたかに思えたが、gamera選手はすぐさま落とした武器を拾い、強力なしゃがみ強斬りで閑丸の体力を削り切り、優勝が決まった! 最後の最後までやはりgamera選手は強かった。

 2日に渡る戦いが終わり、表彰式でコメントを求められると、「まぁ、今回は俺の勝ちで」とgamera選手は涼しい顔でクールに答る。激闘を制したgamera選手には優勝プレートと優勝賞金50万円が送られ、大歓声の中、「SAMURAI SPIRITS」大会が終了した。 GAME Watch,遠藤浩之