これまで散々言われているが、ドラマのリアルタイム視聴率は「1話完結型」の「刑事もの」と「医療もの」が強い。その壁を、竹内涼真(26)はブチ破れるか。
1月スタートのGP(ゴールデン・プライム)帯連ドラで、初回視聴率が2ケタ以上だったのは、フジテレビ月9「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」など5本。竹内主演のTBS日曜劇場「テセウスの船」もその1本で、上位5本のうち唯一、いずれにも属していないとはいえ、やはり“殺人事件”が扱われ、刑事が登場する。
「テセウス」は東元俊哉の同名漫画が原作。“タイムパラドックス・ミステリー”をドラマ化したもので、同ドラマの公式サイトには〈時代を超えた父と子の奇跡〉〈平成元年、父は殺人犯になった〉〈この「謎」に涙する〉の文字が踊る。〈泣ける本格ミステリー〉ということらしい。
「下町ロケット」(2015、18年)、「陸王」(17年)、「ブラックペアン」(18年)と、近年の“日曜劇場枠”に出演してきた竹内が、満を持しての初主演だ。
「1話完結型ではないミステリーですが、いわゆる“考察ドラマ”ではありません」と、テレビコラムニストの亀井徳明氏はこう続ける。
「原作が既に完結しているうえ、原作を読んでいなくても、勘のいい視聴者なら、初回で真犯人らしき人物が予測できてしまうような演出でした。昨年流行した、視聴者がSNS上で犯人や展開などを“考察”して盛り上がるドラマとは別物です」
ネット上には〈平成元年の時代考証がちょっとおかしい〉〈榮倉奈々の老け顔メークが怖い〉など細かな指摘もあるものの、〈鈴木亮平の演技がすごい〉〈映像のスケール感とストーリーの重厚さがいい〉など肯定的な意見が多い。〈今クールのナンバーワン〉という声もある。
このドラマの楽しみ方について、前出の亀井徳明氏はこう続ける。
「どの世代でも、単純にストーリーに身を委ねてワクワクドキドキ、“家族の絆”にウルウルするのが一番でしょう。さらに、平成元年へのタイムスリップというのがポイント。当時の記憶がある視聴者層には自身の30年の記憶をたどる機会にもなります。“父と息子”をテーマにした点も、父親世代にはグッと来るものがあるはず」
「1話完結型」「刑事もの」「医療もの」という“法則”から外れていることは、視聴率レースでは明らかなハンディ。それでも「テセウス」には、リアルタイムでテレビを見る層にアピールできる要素はある。次クールにいよいよ登場する「半沢直樹」に、竹内はいい流れでバトンを渡せるか?
「テセウスの船」竹内涼真は“ドラマ視聴率の法則”を破れるか?
引用元:日刊ゲンダイDIGITAL