「自転車年金」をご存じですか? 元プロ・ロードレーサー栗村修が解説!

引用元:TOKYO FM+
「自転車年金」をご存じですか? 元プロ・ロードレーサー栗村修が解説!

声優の野島裕史が、自転車をテーマにお届けしているTOKYO FMの番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。1月19日(日)の放送では、元プロ・ロードレーサーで、日本最大級のロードレース「ツアー・オブ・ジャパン」大会ディレクターの栗村修(くりむら・おさむ)さんに、「自転車年金」について伺いました。

★子どもたちに「交通の一部になるということ」を伝える重要性

栗村修さんがネットメディアで展開する連載企画「しゅ~くり~むら」にて、2019年3月13日に更新された「自転車年金」について、詳しくお話を伺いました。

栗村:「自転車年金」を提唱しているブラッキー中島(隆章)さんは、日本全国で子ども向けの自転車教室「ウィーラースクール」を展開している方です。自転車教室を通じて、子どもたちの未来をどうやってつくっていくか、そして、それが自転車社会の未来に繋がっていくのかを、ブラッキー中島さんは誰よりも真剣に考えています。

そんななかで提唱された「自転車年金」は、「自転車社会全体を、長期的な視点で考えていかなければいけない」ということを気づかせてくれるワードです。

私が主催する国際自転車レースの「ツアー・オブ・ジャパン」のなかでも、子ども向け自転車教室は併催しているのですが、どうしても、“教室をやった”ということだけで満足してしまうところがあるんですね。一方、10年以上自転車教室をやってきたブラッキー中島さんがたどり着いた結論は、「自転車の乗り方を教えるだけではなく、社会性を持ってルールを守ることを教えなければならない」ということ。

一般社会・一般交通のなかに入っていって、そこで1つの乗り物を運転するということは、子どもであっても社会の一部になるんですね。ですから、社会性を持ってルールを守るということを、まず自転車教室を通じて教える。

乗り物には、バスのような大きい車や乗用車などいろいろなものがありますが、自転車というのは、歩行者よりの弱者に近い存在です。そんな自転車に乗った自分たちが交通の一部になるには、どういうふうに乗ればいいのか。

さらに、サイクリストから見ると、歩行者という弱者がいて、そういう弱いものに対してどういうケアをしていくのか。そういったことを子どもたちに教えていくと、大人になってドライバーになったときに逆の立場がわかるんです。つまり、自動車を運転するときも、自転車に対して非常に優しい気持ちになる。そして、世の中全体の交通システムが、自転車にとってもより優しくなります。

自転車教室で教えるのは、自転車の乗り方、ブレーキのかけ方、ペダルの漕ぎ方だけではなくて、交通の社会の一部になるということ。そういうことをしっかりと伝えていくことで、時間を経て年金のように自分たちに返ってくるという考え方が「自転車年金」なんですね。

野島:「自転車に関する意識の年金」みたいな感じなんですかね?

栗村:そうですね。ヨーロッパでは、まさにそういう教育がされているので、正しい自転車の乗り方、正しい道路の走り方を子どものときにしっかり教えてあげることで、将来年金のように(自分たちに)返ってくるということです。

(「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」2020年1月19日(日)放送より)