広瀬アリス「すべての欲断った」朝ドラ「わろてんか」で“女優開眼”…映画「AI崩壊」1・31公開

引用元:スポーツ報知
広瀬アリス「すべての欲断った」朝ドラ「わろてんか」で“女優開眼”…映画「AI崩壊」1・31公開

 女優の広瀬アリス(25)が出演する映画「AI崩壊」(入江悠監督)が31日から全国公開される。警視庁捜査一課の新米刑事を演じるあたり、広瀬は髪を25センチ切って臨んだそうで、コンビを組む先輩刑事役の三浦友和(67)に「嫌な緊張感を解いていただきました」と感謝を口にした。モデルとしてデビューし女優として頭角を現しているが、デビュー後には「誰に怒っているワケでもなく、周囲に八つ当たりする時期があった」とも。悩める日々の中でNHK朝ドラ「わろてんか」(2017年)が転機に。「自分にとっては人生を賭けた作品だった」という。仕事から大好きな漫画、プライベートまでいろいろ聞いた。

 広瀬の役所は優れた医療AIを開発した主人公(大沢たかお)が一転、テロリストとして逃亡を計る中で、ベテラン刑事の合田(三浦友和)と真相を追いかける新米刑事役だ。

 「台本を読んで女性らしさはいらないと思い、髪をばっさり切りました。25センチぐらいいったでしょうか。短いのは5年ぶりぐらいで、初めは頭が軽過ぎて『あれ、こんな感じ』って。シャンプーしていても頭皮剥けるんじゃないぐらい怖かったです。今回は刑事ぽいシーンは実は少ないんですが、一番最初に合田さんと会うシーンは、大きな会議室の中で100人単位の人(刑事)たちが一斉に動く。そこは現場にいて新鮮で、映像も迫力もありました」

 先輩刑事の三浦とのコンビはアナグロ的でAIとは対照的で面白い。

 「作品の中で唯一、三浦さんの役だけ超アナログ人間なんです。私はそこまでアナログではないんですが、ペア組んだ当初はうまくいかない2人が少しずつ距離感が縮まっていいコンビに・・・。アナログの先輩からいろいろ学んで人として成長していきます。作品全体がデジタルぽいので、私たちが出てくると『ホッとする』っていわれるので、そういう(アナログ)層を狙っていきたいです。三浦さんは大先輩ですから(撮影前は)すごく緊張したんですけど、すべてを優しく受け止めて下さりました。芝居のお話しをするワケでもなく、たわいのない話でガチガチの緊張からいい緊張感にしていただきました。ほぼ2人のシーンしかないのでいろいろ勉強になりました。今もドラマ(日テレ系『トップナイフ』)でご一緒させていただいていますが、心強いな~っと思っています」

 ―AIの世界はどう感じる。

 「最近はテレビを見ていてよく『AI』というワードを聞くようになりました。私は携帯はずっといじってていますが、デジタルにそんなに頼る方ではないです。マンガも絶対紙で読みたい。電子書籍で読んだとしても良かったら単行本は買いますから。便利な部分もめちゃくちゃあると思いますがその分、とても窮屈になってしまうというか、なんか寂しいなって思います。人の手がいらなくなっちゃうので…。家にAIはないですけどSiri(音声アシスタント機能)とか、話しかけたら答えてくれるし音楽もかけてくれる。便利な部分もあるんですけど、それに全部頼りたくないのが私の考えです」

 モデルから芸能活動をスタートさせたが、当初は本気で芸能の世界を目指したわけではない。

 「小学校の時にスカウトされましたが、それまでバスケットしかやってなかったので、10代の頃のオーディーションでは『特技見せて下さい』っていわれて『体柔らかいです、体操やっていました』ってY字バランスする子がいたり、『踊れます、歌えます』って子ばかり。私は何の特技もなく『できません』というのがすごい嫌でした。この世界に入ったのは『人と違うことをやってみたい』という気持ちだけだったので、ダメだったらやめてもう一回バスケやろうって。それぐらい軽かったんです。でも1つ、2つ作品をやることで新しい発見があったりいろんな経験ができるのが面白くて、それが続いて今に来ていると思います」

 最近では女優業として注目を浴びているが、悩んだ時期もあった。

 「役者でやれるかどうかよりも前に、今も続けていることにびっくりしています(笑い)。この1、2年です。ちゃんと(仕事を)頑張ろうって思うようになったのは。私って元々、性格的に協調性がないんです。まったくないワケではないですけど…。『何やってんだろうと』ってふと思った時があって、二十歳前後のワケが分からない、変な思春期の一個上のめんどくさい時期があるじゃないですか。なんかモヤモヤして誰に怒っているワケでもなく怒っているみたいな感じ、もう八つ当たりですよ。今思うと原因もほぼほぼないんですけどね」

 モヤモヤが続く中で出会った「わろてんか」が“女優開眼”の扉を開いた。

 「節目は朝ドラです。あの役(リリコ)はもうやりたくない。やりきったので。いろんな作品をやっていると『この役もうちょっとやりたかったな』と思う事もありますが、リリコに関してはない。すべての欲を断ってある意味でヤマを張りました。人生で。『この役で仕事とかリズムが変わらなかったらダメ』みたいな。私『地方行って太ったね』って7、8年ずっといわれ続けてました。地方にはおいしいものたくさんから緩んじゃうんですよね。そんな欲を全部遮断。7時45分にスタジオ入りなんですが、5時半に起きて6時から1時間ほどジムに行って、空き時間2時間あったらまたジム行って戻ってくるという感じでした」

 ―リリコを演じるにあたって不安はなかった。

 「まあ、長期で同じ役というのは性格的に飽きちゃうんじゃないかなとか。それに関西弁や方言とかもあったので、いやになっちゃうのかとも思ったんですが、リリコがいろんな芸事をやるので、その稽古で気が紛れたりしたのが良かったのかも。それにリリコのキャラがどんどん変わっていったり、一人だけ洋装で衣装も奇抜だったのも楽しかったですね」

 芸人役という難しい役を完璧にこなしたが、その裏にはたゆまぬ努力もあった。

 「自分を引き締める時期だったというか、心を鬼にして『やってやろう』って思いました。劇中(相手役の)松尾諭さんとやり取りは、私が突っ込んでフォローする―。ほとんど私が一人で喋っていて、そんな漫才ネタを携帯電話に入れて大音量で聞いてランニングやウエイトをかを約半年続けていました。『あれができたからこういうのもできる』みたいな、自分にちょこっと自信ができました。100とかじゃなく10とか微々たるものですが、今までのマイナスがプラスになれたのはとても大きな出来事でした。それ以来、視野も広くなって仕事への意欲も出てきました」

 妹が広瀬すず。関係は普通の姉妹と変わらないという。母親はアリスのある性格を気にかけていたそうだ。

 「(妹が芸能界入りする時に)アドバイスもないですよ。最初は反対してましたが、すずが何となくやりたいというから『じゃあ、やれば』という感じでした。(姉妹関係は)普通。人並みだと思います。けんかする時はするし喋るときは喋ったりです。私3兄妹でなんですが、最近親に言われたのが『あんたの将来が一番心配だった』って。言われて、それはちょっと分かるなって。フワフワしていてすぐ『イエ~って』なっちゃう。みんなとはしゃぐのが大好きで、今を楽しみ過ぎて自分でも『大丈夫なのか』かと思っちゃいます。1回スイッチが入れば、すべてが全力投球なんですね。それがいい方向にいけばいいんですけど、いつもそうはいかないから難しいですね(笑い)」

 先日、聖火ランナーを務めることが発表されたが、五輪同様に注目しているのはパラリンピックだ。パラスポーツの番組MCを務めた経験もあり造詣が深い。

 「リオ、ピョンチャンとのパラの番組をやらせていただきましたので身近なのは五輪よりパラなんですね。水泳の山田拓朗選手に話しをお聞きしたり、選手の義手や義足とかを見せていただいく機会もありました。みなさんすごく細かい所までご自分で調整なさっているんですよね。テニスの上地結衣選手は同い年なので頑張って欲しいですね。テレビでパラ選手を見る機会も多くなったのでうれしいです。五輪もパラも東京が盛り上がって欲しいです」

 広瀬の漫画好きは業界でも屈指。コミックを手放したことがないそうだ。

 「漫画は相変わらず読んでいますが、週刊のコミック誌は買うのはやめました。周りがあまりが読んでなくて、一人だけ“落ち”が分かってもみんなに言えないのがイヤなので…。単行本は自分の勘で買います。私の好みとか裏表紙とか帯とかイラストを見て決めるんですけど、あまり外れはないかもしれません。私、作者では購入するかを全然決めない。この作者だから絶対面白いとかはないんですよ。新人の方とか全然読みますし、だから打ち切りになったりもします」

 ―今、おすすめの3本を教えて。

 「有名になっちゃったから嫌なんですよね言うの。『ホームルーム』とかめちゃ面白かったんですが、ドラマ化しちゃうんでね。担任の先生に恋する女子生徒がすごくいじめられるです。その度に先生が助けるんですが、実は担任がその女子生徒が好きで、椅子に接着剤付けているのが先生だったり。ゆがんだ愛同士のお話しです。後は『マイホームヒーロー』は、誰に教えても面白いといいます。簡単に言うとお父さんが頑張る話です。あと最近だと『進撃の巨人』の30巻は読んで面白かったですね。一時期マンネリ化して話が飛びすぎてよく分からなかったですが、最近は話が一個一個ガーッと進んで面白くなってきました。私、何十種類の漫画を同時進行で読んじゃっているので、あまり覚えていない感じになっちゃいます」

 ―最後に素に戻れる時は。

 「家に帰ったらすぐに素に戻って、全身の力が緩みます。仕事に行く時はずっとアドレナリン出ているせいか、家に帰った瞬間に肩痛くなったり腰痛くなったり。疲れて気を張っていたんだと思います。家は楽園。ダラ~としています。年末年始は逆に休みがありすぎて、日光浴びなきゃダメ人間になっちゃうからって、ワンちゃん2匹いるんで昼間はお散歩に出てり、スーパーに買い物に行ったり。ランニングもしていました」

 スイッチONの時に抜群の集中力と瞬発力を発揮する一方で、OFFでは隙だらけの無防備状態。このメリハリが彼女の魅力、原動力に違いない。

 (ペン・国分 敦、カメラ・池内 雅彦)

 ◆「トップナイフ―」で共演の天海祐希は「妥協は絶対にない」

 11日からスタートした「トップナイフ―天才脳外科医の条件―」(土曜・後10時)では尊敬する天海祐希と共演している。

 「天海さんめちゃめちゃかっこいいですね。本当に妥協は絶対にないですね。2人のシーンとかもちょくちょくありまして、ある時に『どんな感じでやったらいいのか』って探りながらいろんなパターンでやってもダメで、監督に相談したら天海さんも入って下さって『こうしたらどう』と助けていただいて。それから何度もやらせてていただいたんですよ。終わった後に『ご迷惑をおかけしました』というと『全然大丈夫。何回でもやって。納得いくまで私付き合うから』って。かっこいい兄さんっていう感じです。座長って『みんな行くぞ』って感じを出さなくても、自然と『この人についていきたい』と思わせるが最高なんでしょうね。私はヘラヘラして(座長には)ほど遠いです(笑い)」

 ◆応援マネ務めた全国高校サッカー「来年こそは行きたい」

 2010年に全国高校サッカーの応援マネジャーを務めてから、高校サッカーは注目している。

 「応援マネを10年前にやらせていただいてからずっと決勝戦見てます。高校1年の時にやらせていただいて、同じ年とか同世代の子たちが試合やっていて、気づけばもうみんな年下ばかりで。それでも毎年同じように感動してます。本当は試合を見に行きたかったんですが一日中仕事が入っていて、来年こそは(会場に)行きたい。応援マネから2、3年は観戦に行っていました。19歳の時には雪で(決勝戦が)1回流れちゃって。それ以降は毎年テレビで見てオイオイ泣いてます。今年は地元の静学(静岡学園)が優勝。24大会ぶりですよ。静岡はお祭り騒ぎだと思います。常葉菊川が甲子園(07年、選抜大会)で優勝した時もすごかったですもの。サッカーは特に盛り上がりますね。運動ですか? 最近は体を動かすのはジムに行くぐらいですね。バスケも全然やらないです」

 ◆広瀬 アリス(ひろせ・ありす)1994年12月11日、静岡県出身。25歳。女優の広瀬すずは4歳下の妹。小学6年生の時のお祭りでスカウトされ、2008年、NHKドラマ「ファイブ」で女優デビュー。09年に「ミスセブンティーン」に選ばれ、雑誌「Seventeen」の専属モデルに。10年、全国高校サッカーの応援マネジャーに就任。15年に「釣りバカ日誌 新米社員浜崎伝助」のヒロイン役、17年のNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」など注目作品に出演。19年「アナザースカイ2」の6代目MCに。趣味はバスケットボール、乗馬、漫画。身長165センチ、血液型AB。 報知新聞社