鈴木おさむの人間観「人間は自分の考えが正義と思ってる」

鈴木おさむの人間観「人間は自分の考えが正義と思ってる」

「WOWOWオリジナルドラマ+舞台」の連動プロジェクト「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」がスタートする。ドラマはオムニバス形式で全6話(第1回は本日・24日深夜0時~、WOWOWプライム)。ストーリーは実在する「火星移住プロジェクト」をもとにしたシチュエーションコメディー。脚本・演出を手がけたのは、放送作家の鈴木おさむ(47)だ。

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 ―――独特な設定ですね。

「実際アメリカでは『火星移住プロジェクト』は実在していて、かなりの数の応募があり、何十年後かには現実の話になるそうです。最初に話をもらった時、そこに応募してくる人はどんな人たちなんだろう、そういうシチュエーションになったらどうなるんだろうと考えてみたら、自分自身ワクワクしたというのがありますね」

 ――ラボではまず、火星に移住する4人を選ぶため、年齢、性別、職業がバラバラの24人が4人ずつ6組に分かれて共同生活することになります。

「最初に6つの話(ラボ)の主人公を決めたんですよ。三ツ星シェフ(仲村トオル)、クイズ王(要潤)、アパレルデザイナー(広末涼子)、カメラメーカー勤務(矢本悠馬)、作曲家(斎藤工)、元バンドマンの医者(三浦翔平)と。それに加えてそれぞれ別の3人が関係してくる。全員女性とか、ネガティブな人ばかりが揃うとか。そこで各ラボで騒動が起きるんですけど、とにかく十分なリアリティーを持たせて24人のキャラクターを描くことに苦労しました。今まで書いてきた中で一番大変だったかも知れない。書いてるうちに、これは別々の作家がやるべきことなんじゃないかとだんだん腹が立ってきたりしてね(笑い)」 鈴木おさむの人間観「人間は自分の考えが正義と思ってる」 ドラマ「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」  ――24人分の人物設定をするのは大変そうです。

「でも結局、人間って、誰もが生きてると何らかの“ワケ”を抱えてるじゃないですか。片道切符で閉ざされた空間の中で、それがだんだんとあぶり出されてくるんじゃないかと。シェアハウスなんかだと、一緒に住んでてもお互いに自分のことはあまり話さないけど、ここではそういうわけにはいかない。そうなったときに何が起こるのかなって」

 ――ある意味、究極の状態ですね。

「どんな状況であれ、人間って、最後は自分、自分の考えが大事なんじゃないかと。極端な例で言えば『世界平和が大事』って大きなことを言ってても、それはあくまで自分の考えにすぎないし。相手はそれを認めてくれなかったとしても、誰もが自分の考えは正義だと思っているんです。ここに出てくる人はみんなそんな人たちです」

 ――それが舞台につながっていくわけですね。

「24人から4人が選ばれて火星に移住し、人類の未来を託されるわけですが、ドラマ、舞台とも、お互いのラボの話が少しつながっていたり、ひっかけやトリックがあったり、楽しんでもらえると思います。一人で全部書いたので“怒りのパワー”でいろんな仕掛けができました(笑い)」

(聞き手=平川隆一/日刊ゲンダイ)

▽すずき・おさむ 1972年4月25日生まれ、千葉県出身。高校時代に放送作家を志し19歳でデビュー。バラエティーを中心に多くのヒット番組の構成を担当。映画・ドラマの脚本や舞台の作・演出、小説の執筆など、さまざまなジャンルで活躍。妻は2002年10月に交際期間0日で結婚したお笑い芸人の森三中・大島美幸。