俳優の動きを決める“段取り”から実際にキス。本番でもカメラの存在が分からなくなった……そう明かすほど入り込み、“役を生きた”のは、俳優の宮沢氷魚と藤原季節。二人は映画『his』(1月24日全国公開)にて男性同士のカップルを演じている。ともすればデリケートな話題として扱われることもあるLGBTQがテーマの一つである同作。宮沢と藤原はどのように向き合い、何を感じたのか。撮影期間、そしてその後の自身の意識の変化を振り返ってもらった。 (c)2020映画「his」製作委員会
「LGBTQがセンシティブな題材じゃなくなることが一番の希望」ーーLGBTQというデリケートな題材を扱った作品ですが、オファーが来たときはどのように感じましたか?
藤原:いつかは演じてみたい題材だったのでそこに対する戸惑いはなかったんです。ただ当時デリケートだなと思っていたことが、この作品をきっかけに実はデリケートじゃないということに気付きました。
――それは演じながら気づいたのですか?
藤原:演じているときではなく、撮影が終わってからです。渚という役を演じ終えてから、世の中にある古い価値観に気づいて、それに自分も傷つくようになりました。最初はデリケートな題材だと思っていたんですけど、当たり前に存在する人たちなので、決してデリケートではない。今は胸をはって「これは男性同士の恋愛を描いた作品です」と言えます。
宮沢:僕も以前からこのテーマに興味があり、お話をいただいた時点で、「前向きに検討させていただきたいです」と答えました。そして本を読み、なんと美しい物語なんだろうと思いました。その“美しさ”は、今流行のB Lとかのキラキラした“美しい”ではなく、人間の美しさ、それは醜さ、絶望感を描いた上での“美しさ”でした。いいとこだけを取り上げて綺麗にまとめるのではなく、実際に生きてそれだけじゃない、辛いこと、しんどいことを含めて「人生っていいな」と思える。そんなリアル“美しさ”がありました。
この題材がセンシティブな題材じゃなくなることが一番の希望です。それこそ同性愛者の映画を描かなくてもいいくらい、それが当たり前になれば。描かれたとしても、それが“ただの恋愛作品”という形で出るようになればと思います。1/4ページ
宮沢氷魚×藤原季節インタビュー 男性同士の恋愛の“その先”を描く映画『his』に学んだこと
引用元:AbemaTIMES