【東京初期衝動 インタビュー】観た人の音楽人生がぶっ壊れちゃうようなライヴをしたい

引用元:OKMusic
【東京初期衝動 インタビュー】観た人の音楽人生がぶっ壊れちゃうようなライヴをしたい

2018年に結成し、勢いよくロックシーンに飛び出した4人組バンド、東京初期衝動。熱気迸るライヴが注目を集め、19年には自主レーベルのチェリーヴァージン・レコードから全12曲入りの1stアルバム『SWEET 17 MONSTERS』をリリース! 20年3月からは早くも初の全国ツアーが決定するなど、ますます活気あふれる中、フロントマンのしーな(Vo&Gu)にインタビューを実施した。

東京初期衝動 インタビューのその他の写真

──東京初期衝動はしーなさんを中心に2018年4月に結成されたわけですが、そもそもどんな経緯でバンドを始めたのでしょうか?

暇だったので、吉祥寺のハードオフでアコギを買ったのがきっかけです。なかなかギターを弾けるようにならないので、バンドを組もうと思いました。バンドを組んだら嫌でもギターが弾けるようになるかと思って。

──しーなさんの音楽のルーツには銀杏BOYZの峯田和伸さんが欠かせない存在だと思いますが、どんなところに憧れていますか?

憧れってわけではなくて、峯田和伸は好きで、越えたい人間なんです。

──銀杏BOYZのライヴで印象に残っているものは?

初めて観た2017年5月28日の新木場STUDIO COASTでのライヴです。銀杏BOYZは中学生の頃から聴いていましたが、ライヴを観る前は誰が歌っているのかまったく知らなくて、ただiPodから流れてくる曲を聴いているだけでした。映像も観たことがなかったんです。なので、ライヴに行ったら、ずっと聴いていた銀杏BOYZをわけの分からないロン毛の男の人がステージで歌っていて、みんなが“峯田~!”と叫んでいるのを聞いて初めて“この人の名前は峯田なんだ”と知って。“すごいものを観てしまった”という気持ちだったし、人が飛び交ったり、ぶつかり合ったりする光景が異世界に感じましたね。ずっと聴いていた曲が目の前で聴けて、なんだか変な気持ちになったし、自分が何を観ているのか分からなくなるくらいの混乱と衝撃がありました。

──ライヴには結構通っていたんですか?

通い詰めてはいないです。私はライヴを観るよりもライヴをやる回数のが圧倒的に多いですね。私にとってのライヴは戦いなので、毎回ライブ前は緊張で嘔吐と涙が止まりません。

──初めてライヴをやった時のことで覚えていることは?

まだギターが弾けなかったので、アンプを切ってギターを弾くふりをしたんです。お客さんにはバレてなかったからラッキーでしたけど、カッコ悪いから次のライヴでは弾けるように練習しました。

──東京初期衝動を結成してからの1年間で3曲入りCD『ヴァージン・スーサイズ』が2,000枚以上のセールスを記録したり、ライヴチケットも完売するようになり、さらに1stアルバム『SWEET 17 MONSTERS』のリリースと、着々と注目を集めているわけですが、この現状をどう受け止めているのでしょうか?

人気が出たという実感は沸いてませんが、パンパンのライヴハウスを見ると感極まる時もあります。“まだまだだな”と思う反面、“自分たち以外にカッコ良いバンドってあんまりいないなぁ”とも思うし。周りの期待や応援には絶対に応えて、私の“ありがとう”という気持ちをしっかり行動で示したいので完璧にやりたいです。基本的に“できない”はバンドメンバーにも絶対に言わせない言葉で、とにかくやるしかないと思ってます。

──毎日欠かさないTwitterの更新もそうですが、しーなさんはバンドを組む前からずっと努力し続けてきた人なのかなと。

努力し続けてきたわけではないですよ。何もできなくて何年も適当に生きていた時もありますし。ただ、今はバンドが楽しいし、好きだし、走り続けているだけです。

──アルバム『SWEET 17 MONSTERS』はバラエティー豊かかつ本当にアグレッシブで、何よりも圧倒されるくらいのパンク精神を感じました。それに「Because あいらぶゆー」の転調や、「高円寺ブス集合」の展開、タイトルからしてインパクトのある「黒ギャルのケツは煮卵に似てる」は思わず笑ってしまうくらいのユーモアもありましたが、どんなふうに曲を作っているんですか?

日本人はAメロ・Bメロ・サビとか、コード進行とか、細かく気にしすぎていると思うので、私は自分の感覚で好きなように作っています。難しい音楽の規則や進行って普通の人には分からないじゃないですか。そういうのにいちいちこだわらなくていいと思うんですよね。分からない人でもすんなり耳に入るというか、チャリに乗りながらでも聴けるような曲…“わぁ~、なんかいいわ”って思える音楽がいいと思うんです。面倒臭い音楽評論家の意見なんかはどうでもいいので、歌ってて気持ち良いっていう理由で転調を使う時もあります。

──あと、猪突猛進なのに怖さや弱さもちゃんと握りしめているところにも心を掴まれました。「流星」や「チューペット」を聴いた時には、どんな言葉をチョイスしていてもピュアであることを思い知りましたし、アルバムのタイトルにもあるように、しいなさんは“17歳”のことから変わらない感情を持っているのではないですか?

17歳の頃からというより、中学生の頃から成長はしてませんね…。なんでだろう。バカな友達が多いから?

──気持ちが落ち込んでいる時に東京初期衝動を聴くと、励ましてくれるわけではないのにものすごく生命力が湧いてくる感覚があって。“リスナーにこう受け取ってもらえたら”と考えることはあります?

ないです。“私はこの熱量を勝手にあなたにぶっ込んでるだけ!”って感覚なので、リスナーに何かを届けたいというのは考えてないけど、勝手に何かを受け取ってくれたら嬉しいですね。でも、いろんな人に聴いてもらえたら世界がちょっぴり変わるかもって期待はしてます。

──東京初期衝動を突き動かす軸って何ですか?

売られた喧嘩は全て買う精神です。“悔しい想いは全部曲にできるように”ってバンドメンバーと常日頃話してます。あと、自分の人生で大事だったものや心に強く残ってる思い出、大切にしたいものもちゃんと曲に入れれるように頑張ってます。

──今後、どんなバンドになっていきたいかのイメージはありますか?

『志村けんのバカ殿様』に出れるバンドになりたいです!

──3月からは初めての全国ツアー『東京初期衝動の全国逆ナンツアー』が始まりますが、どんなものにしたいですか?

全国で逆ナンを成功させたい。観た人の音楽人生がぶっ壊れちゃうようなライヴをしたいです。

取材:千々和香苗 OKMusic編集部