からくりTVで人気者ロバート・ボールドウィンさん “外国人日本王”の半生と近況

からくりTVで人気者ロバート・ボールドウィンさん “外国人日本王”の半生と近況

【あの人は今こうしている】

 ロバート・ボールドウィンさん(54歳・タレント)
 
 映画「ハリー・ポッター」のハグリッドか、はたまた映画「バイキング」の主人公か……? 「さんまのSUPERからくりTV」(TBS系)にレギュラー出演していたヒゲモジャの巨漢タレントを覚えているだろうか。「外国人日本王」のコーナーでは日本人以上の博識ぶりで視聴者を驚かせたものだが、最近、テレビでは見かけなくなった。今、どうしているのか?

  ◇  ◇  ◇

「いらっしゃいませ。奥の空いている席へどうぞ」

 JR中野駅北口から徒歩8分。中野ブロードウェイを抜けた先の住宅街にある怪獣をテーマにしたカフェバー「大怪獣サロン」へ行くと、カウンターの中で調理をしながらボールドウィンさん(54)が声をかけてくれた。

「今ね、僕の故郷・カナダの冬ならではのドリンク『エッグノック』を作ってるから、ちょっと待っててね」

 エッグノックは牛乳、クリーム、卵をベースに、砂糖を加えた甘い飲み物。ついでに記者もオーダーしたところ、待つこと約3分、熱々がマグカップで運ばれてきた。

「今日はここの一日店長なんだ。定期的ではなく、僕のスケジュールが空いてる時だけだから、店に来るのは2、3カ月に1回くらい。仕事? メインは通訳や翻訳。クライアントさんに同行して海外出張もあるんだよ。それとタレント業。条件次第だけど、クリスマスの時期にはサンタクロースになったりね。ハハハ」

 確かにボールドウィンさんなら衣装だけでOK。つけヒゲなど不要だ。

「タレント活動は、何といってもウチの18歳の三女だね。ボールドウィン零って知らない?」

 もしかして、テレビ東京系の学園バラエティー番組「青春高校3年C組」にレギュラー出演している茶髪の子?

「そうそう。1月22日に秋元(康)さんプロデュースで『君のことをまだ何にも知らない』ってタイトルのシングルCDとアルバム、DVDで歌手デビューするんだよ。ほかにも、少年ジャンプで連載中の『ブラッククローバー』のテレビ東京のアニメ版で、パプロ・エスプーマ役の声優もやってるんだ。娘ばかり注目されてるけど、もっと俺にも仕事が来ればいいのに。アハハハ」

■食材の輸入業務やトラックダライバーも経験

 さて、ボールドウィンさんはカナダ人宣教師だった父親が広島に赴任していた時に生まれた3人きょうだいの末っ子。7歳上の姉、2歳上の兄がいる。

「小学校まで広島で育ち、中学に入る時にカナダに戻ったの。で、高校卒業後は特技の日本語を生かして、観光ガイドの仕事をしてたんだ」

 その後、約3年間、日本で貿易関係の仕事をしてカナダへ帰国。復職したところ、シェアハウスで日本人女性と知り合って結婚。1995年夏に2度目の来日を果たした。

「山形県内の食品メーカーで食材の輸入業務、都内でトラックドライバー、いろいろやったなあ。で、外国人エキストラの仕事があると聞いて、2000年くらいかな、芸能事務所に入ったのがテレビや映画出演のきっかけだね」

 当初は「奇跡体験!アンビリバボー」や「ザ!世界仰天ニュース」などの再現ドラマの外国人役やエキストラだったが、05年10月から放送された「超星艦隊セイザーX」(テレビ東京系)にレギュラー出演。特撮ファンの注目を浴びた。

 そして明石家さんま司会の「さんまのSUPERからくりTV」のワンコーナー「外国人日本王」に出演するや、歴史や地名は言うに及ばず、日本独特の習慣に至るまで幅広い知識で圧倒。敗れるまで約50人と対戦して、無敗を誇った。

「もともと、日本人観光客を相手にガイドをしてる時に勉強してたから基礎知識はあったのね。で、2回目の来日以降、気になることや興味を持ったことは、パソコンで徹底的に調べるようになった。それでどんどん蓄積されたってワケ」

 ネットで検索すると、上智大卒、学習院大卒との情報もあるが?

「いやいや、あれは全部ガセ。僕は高卒。知識ってのは学歴じゃないんだよ」

 家族は奥さまのほか、発達障害児童の施設職員の長女、カナダ在住の長男、倍率240倍の難関を突破して某有名ホテルに就職した次女、三女、そして猫2匹だ。

(取材・文=高鍬真之)