ハリウッドザコシショウ 気づくとゴミ捨て場で寝ていた朝

ハリウッドザコシショウ 気づくとゴミ捨て場で寝ていた朝

【今だから語れる涙と笑いの酒人生】

  ハリウッドザコシショウ(芸人・45歳)

 誇張したモノマネ芸のハリウッドザコシショウさん(45)は見た目は酒が強そうだが、実は若い頃は酒席が苦手。人生で一番酔っぱらった日は、苦労をともにした後輩・バイきんぐがコント日本一に輝いた時の祝勝会だが、自身が「R―1ぐらんぷり」で優勝し、ピン芸人ナンバーワンに輝いた時にお祝いされたかは覚えていない……。

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 酒は最初は好きじゃなかったですね。うまいと感じなかった。大阪で吉本に所属していた若い頃は、先輩に誘われても酒の席は断って、同期で仲のいいケンコバ(ケンドーコバヤシ)や中川家の礼二と部屋に集まってファミコンやってました。酒席は苦手で。

 同期のたむらけんじが深酒して酔っぱらって道端で寝てるのを見た時、「イヤだなぁ」と思いましたもん(笑い)。心斎橋でライブ終わりの芸人がよく行く「たこしげ」という居酒屋では朝まで芸人が騒いでいました。そういう席では先輩を立てて立ててという感じの飲みで、僕はそういうのができないヤツだったから。

■“頭おかしい芸人”とライブ後に飲みに

 でも、リットン調査団の水野透さんに連れられて、なだぎ武さん、バッファロー吾郎、ケンコバのコンビ、僕のコンビのG☆MENSという、ハイテンションな芸風の“頭おかしい芸人”とだけはライブ後に飲みに行ってました。水野さんが騒がないタイプで、男だけでお笑い論を語りながら飲む。芸風はハイテンションなのに、飲み方はおとなしい芸人の集まりだったのが僕には合っていた。水野さんとの飲みで鍛えられて、まあまあ飲むようになりました。

■今はビール、抹茶割り、紅茶ハイ

 上京して今の事務所に入ってからはよく飲みに行くかな。静岡出身だから、焼酎の抹茶割りを飲んで。まずビール、次に抹茶割り、紅茶ハイ。ワインとハイボールは酔いが回るから、あまり飲まない。焼酎を何かで割るのが合ってる。ほろ酔いでお笑い論を語るのがちょうどいい。

 バイきんぐが「キングオブコント2012」で優勝した時、それまで先輩らしいこと何もしてあげられてないから、「優勝してよかったなぁ」と、初めておごったんですよ。お笑いの熱い話で盛り上がり、夜の8時から朝の4時までメチャクチャ飲んでしまい、3人ともぐでんぐでんになって。小峠は家が近かったから這うように帰って、僕はタクシーで帰ったけど、家の近くで降りてから記憶がない。ハッ! と気づいたら家の前のゴミ捨て場で寝てました(笑い)。

 奥さんに電話して「動けねえから来て」と呼び出して。それが人生で一番酔っぱらった日。バイきんぐとはつらい時期も一緒だったし、売れてない時からずっと頑張ってきた仲間だから、優勝してすげえうれしかったんですね。

 その4年後、僕が「R―1ぐらんぷり」で優勝した夜は事務所の劇場に芸人が大勢集まって、夜中にフジテレビから向かった僕を待っていて、バイきんぐも忙しいのに来てくれた。でも僕は翌朝5時から仕事だから慌ただしくて、美酒は一滴も飲んでない。その後、バイきんぐは僕にお祝いでおごってくれたのかなぁ。1年間すごく忙しくて今となっては覚えてない(笑い)。

 最近は翌朝に酒が残るから、セーブして2~3杯かな。ビール、サワー系、焼酎で終わり。たまに後輩を酒席に呼んで説教します。全部僕がおごるわけだし、後輩は一円も出さないから、説教したっていいでしょう。ハハハ! 後輩は飲み食いしながら聞いててOKだし、「こうした方がいいよ」というダメ出しなので、後輩のタメになってると思います。結局、酒のさかなは今も昔もお笑い論ですね。

 (聞き手=松野大介)

▽本名=中澤滋紀 1974年2月、静岡県出身。G☆MENSでのコンビ活動を経てピン芸人に。2016年「R―1ぐらんぷり」(フジテレビ系)で最年長優勝を果たし、ブレーク。「ハリウッドザコシショウ誇張しすぎスタンプ」をLINE STOREで販売中!