大河・長谷川博己の光秀は「絶えず相手を見ている」 脚本家・池端俊策が評価

大河・長谷川博己の光秀は「絶えず相手を見ている」 脚本家・池端俊策が評価

 長谷川博己主演の大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(NHK総合・日曜20時~ほか)で、戦国時代の智将、明智光秀を主人公にオリジナルドラマを作り上げた脚本家の池端俊策がインタビューに応じた。池端は「光秀のイメージを一旦白紙に戻し、実際にどんな人物だったか、戦国時代を自分が探訪するつもりで書いた」と言い、光秀を演じる長谷川を「長谷川(博己)さんは光秀役のためにいる俳優さんではないかとさえ思う」と高く評価した。

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 1991年放送の大河ドラマ「太平記」で脚本を担当し、ドラマ「夏目漱石の妻」(NHK・2016年)では「放送人グランプリ2017」のグランプリを受賞した池端。2度目の大河となる「麒麟がくる」では、織田信長の家臣でありながら「本能寺の変」で信長を討った光秀を、大河ドラマ初の主役に据える。「謀反人」と呼ばれ、史料も少なく詳しい経歴のわかっていない光秀だが、池端は新旧の史料を読み込み、その謎めいた半生に光を当てたオリジナル脚本を書き上げた。 ダーク・ヒーローのイメージもある光秀をなぜ主人公に? 池端さんは「戦国時代前半(16世紀中ごろ)を取り上げたいと(NHKから)オファーがあり、僕も『太平記』で室町幕府を開いた足利尊氏を書いたので、今度は室町幕府最後の将軍、足利義昭(16世紀末に歿)を書いてみたいとかねがね思っていたんです」と話す。主役候補には、義昭と同時代の斎藤道三、光秀、信長の名前も上がったそうで「義昭、そして義昭と関係の深い信長、この二人をつなげたのが光秀だという説もあり、『そうだ!』と僕は光秀に飛びついた。いわば利害(やりたいこと)が一致したんです」と説明。「僕はひねくれ者なので裏街道を歩く人が大好きで、今までの仕事でもそういう人をずいぶん書いてきました。だから光秀を書くのは、これは面白いだろう、と思いましたね」と続ける。 大河・長谷川博己の光秀は「絶えず相手を見ている」 脚本家・池端俊策が評価  しかし執筆には、やはり難しさもあった。「光秀が歴史に登場するのは41歳から。それ以前の史料がまったくなく、若い彼が何をしていたのかを考えるところから出発しました」と池端。「『信長公記』(信長の一代記)などでは、信長に近い側から、光秀は『逆賊』という視点で描かれている。でもそれは少し違うんじゃないか。もっと客観的な光秀がいたはずだと思い、どういう顔をしていたんだろうと。今までの光秀像を一度白紙にして、道三や信長に会った時の光秀がどう思ったか、どんな衝撃を受けたのか、そのリアクションから光秀を導き出していくやり方しかない」という考えに至ったという。

 イメージを構築するヒントになったのが美濃(岐阜)の景色。「僭越ですけれど、美濃という土地の風景を見て、道三や信長に会い、自分がどう感じるかを書けばいいと思いました。戦国時代を探訪して歩き、有名な武将たちの点と点をつなぎ、線を描く。戦国時代はいろいろな人間がいる人物図鑑みたいなところがあって、その1人1人を塗りつぶしていく楽しさがありました」と笑顔を見せた。

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