「麒麟がくる」主演の長谷川博己「光秀の正義感と信念は今の人も共感できる」

引用元:スポーツ報知
「麒麟がくる」主演の長谷川博己「光秀の正義感と信念は今の人も共感できる」

 大河新時代と銘打った「麒麟がくる」を象徴するような初回の幕開けだった。美しい田んぼを襲撃する野盗(やとう)との合戦シーン。弓を放ち、接近戦で組み合う。長谷川博己(42)演じる20歳の光秀が躍動する。「カットされましたが、実際は全部一連で撮りました。人を斬る時は息を止めるので、酸欠状態で倒れそうでした」。長谷川は笑みをたたえて振り返った。

 制作統括の落合将氏は「人間の透明感と狂気を混在して表現できる人物」と起用の理由を語る。明智光秀は本能寺の変で主君・織田信長を討った“裏切り者”の評価が定着しているが、史料が残されていない青年期を骨太に描く。脚本の池端俊策氏は「(本能寺の変から)逆算しないでほしい」と長谷川に言ったという。

 「台本では光秀は無言が多いんです。斎藤道三に言われても『…』、帰蝶から言われても『…』。そこを埋めなきゃいけないのが楽しくもあり難しくもあります」。究極の選択を迫られる場面も多い。「決定的にこうだと思って動くことはそうなくて、その時に瞬発的に即答すると思うんです。鉛をのみ込んでいるような感覚で、どっちに振れるか自分でも分からない。はっきりしないところも演じていて面白いですね」

 撮影が進み、光秀の魅力に取りつかれている。「戦乱の世の中と、混沌(こんとん)とした現代と、多少は共通点があると思うんです。正義感と信念を持って上の人間にも正しいことを述べていく姿勢は、今の人も共感できるんじゃないでしょうか」。無理難題を突きつけられ解決に奮闘する姿は、現代のサラリーマンにも通じるという。

 歴史は時の権力者の意向などで書き換えられることもある。「歴史的な事実を全部は信用しないんですよ。(本能寺の変も)何かがあってのことだろうなと考えていて。この機会を得て、真剣に1年半、明智を演じながらそれを調べられるのはすごく楽しい作業です」

 大河の主演は注目度がケタ違いに高い。プレッシャーを感じるかの質問には即座に否定し、前を見据えて言い切った。「大変なことは間違いないけれど、自分もずぶとくなっている。とにかく走り切ること。覚悟の上で臨むしかない。いばらの道が待っているかもしれないけれど、それも自分にとっては望むところだなって思っています」(高柳 義人)=おわり=

 ◆長谷川 博己(はせがわ・ひろき)1977年3月7日、東京都生まれ。42歳。2001年に文学座養成所に入所し、座員に昇格後の06年に退所。10年のNHKドラマ「セカンドバージン」でブレイク。11年にはテレビ東京系「鈴木先生」で連ドラ初主演。主な出演作に日テレ系「家政婦のミタ」(11年)、TBS系「小さな巨人」(17年)、映画「シン・ゴジラ」(16年)など。18年のNHK連続テレビ小説「まんぷく」ではヒロインの夫・萬平を好演した。 報知新聞社