大河撮影直前にがんで父死去…悲しみ乗り越えた長谷川博己 撮り直しも「再演のようなもの、楽しみ」

引用元:中日スポーツ
大河撮影直前にがんで父死去…悲しみ乗り越えた長谷川博己 撮り直しも「再演のようなもの、楽しみ」

 例年より2週間遅れて19日、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜午後8時、初回30分拡大)がスタートする。出演女優交代による撮り直しを経て迎える待望の放送だが、主人公・明智光秀を演じる長谷川博己(42)は、撮影入り前にもっと大きな悲しみを乗り越えていた。

【写真】脚を滑らせて転倒したイノセントリリーの崎川みずき

 「ちょうど連続テレビ小説『まんぷく』が終わった後でした。父が亡くなったのは…。なかなかの試練を天は与えるな、と思いましたね」

 高名な建築評論家で武蔵野美術大学名誉教授でもあった父・堯さんががんで亡くなったのは昨年4月17日のこと。初の大河ドラマ主演として、いよいよ撮影に入る直前の悲報だった。撮入前にスタッフと物語の舞台となる岐阜、愛知を回る予定だったが、それどころではなくなってしまった。 演じる明智光秀も、早くに父を亡くしていた。そんな符合が偶然では片付けられなかった。「こんな言い方は僕は嫌いですが、役者として“芸のこやし”になっていくのかもしれない…。そこが役者のおもしろいところであり、悲しいところでもあるんですが」 大河撮影直前にがんで父死去…悲しみ乗り越えた長谷川博己 撮り直しも「再演のようなもの、楽しみ」 「麒麟がくる」の1シーン。野武士から村を守る明智光秀(長谷川博己)  振り切るように大河に取り組んだ。座長としての手応えを感じ始めたころに起きたのが出演女優逮捕からの交代だった。「逆に新しい女優さんがどんな演技をするのか楽しみになった。撮り直しは初めてですが、舞台が出自の僕にとっては再演のようなもの。新しい相手とのセッションをどう楽しむか」。演技はジャズのセッションだという。相手が投げてくるものをどう返すか。そして「光秀もそうなんじゃないかと思えてきた。常に人をよく見て瞬発力で返す。僕自身が光秀になっていった」。

 大河出演をまだ父の墓前に報告できていない。「墓前には終わったら…そのとき僕はどんな気持ちでいるか。父に1話だけでも見てもらいたかった」。光秀もただ一族、配下、領民の幸せだけを望み、破れた人だったのではないか。自身の鎮魂の思いも込めて、長谷川は演じ抜く覚悟だ。