横浜流星、ブレイクNo.1でもブレない心…新企画インタ「Real」

引用元:スポーツ報知
横浜流星、ブレイクNo.1でもブレない心…新企画インタ「Real」

 各界トップランナーの“リアル”に迫る新企画「Real」。スタートを飾るのは、日本テレビ系連続ドラマ「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(日曜・後10時半)に主演する俳優の横浜流星(23)。ダブル主演の清野菜名(25)演じる謎の女「ミスパンダ」とのコンビで悪質なセクハラやパワハラ、組織の不正など、世の中のグレーにシロクロつける「飼育員さん」役を好演する。今作を代表作に、と意気込む横浜が作品への思い、ブレイク後の心境などを語った。

 キリッとした表情、凜とした佇まい。さり気ない振る舞いから、実直さがにじみ出る。横浜は昨年、映画4本(うち主演3本)、連ドラ3本に出演。日経トレンディの選ぶ「今年の顔」、Yahoo!検索大賞の「大賞」に選出されるなど大活躍の1年になった。

 「(環境が)こんなに変わるんだなと。急激な変化に、戸惑いの方が大きいです」

 いやが応にも注目の集まる今作。連ドラ主演は深夜枠のTBS系「兄友」(18年)で経験しているが、プライム帯(午後7時~午後11時)の主演は初めて。忖度(そんたく)や圧力だらけのグレーな現代社会で、闇に隠された真実を暴く「ミスパンダと飼育員さん」の“最凶バディ”の活躍を描くオリジナルドラマだ。

 「まだまだ未熟者。正直な話、僕に主演は早いんじゃないかなと思いました。もう少し実力を付けて、みんなを引っ張れる存在になってから」と謙遜するが、「やる!」と決めたからには心血を注ぐ。

 「プレッシャーはありますが、チャンスをいただいたからには責任を持ってやらないと。幸せをかみ締めて取り組みたい。引っ張っていくというよりは、同じ方向を向いて面白いものを作っていこうという感じになればいい」

 演じるのは、「Mr.ノーコンプライアンス」(佐藤二朗)の指示で、驚異的な身体能力を持つ謎の女「ミスパンダ」を操り、世の中のグレーゾーンにシロクロ付ける活動を行う「飼育員さん」。卓越した記憶力、観察力、洞察力、推理力から相手の心の揺れを感じ取り、瞬時に思考を把握する特殊能力を持つ。

 「その場、その場でいろいろな顔や表情を見せられる男なので、キャラクター像は固めずにやっています。これまで、こんなに早く台本を読めたことがなかった。読み終わってすぐに、次の台本を読みたくなりましたし、それぐらい先が気になるし、面白い。あとは演じる僕ら次第。いい雰囲気でできているので、SNSなどで盛り上がって反響につながれば」

 「飼育員さん」には、精神医学を学ぶ一方、メンタリストNとしてテレビ出演もする大学生・森島直輝という顔も併せ持つ。森島には数年前に亡くなった父親の死の真相を突き止め、復讐(ふくしゅう)を遂げるという野望がある。

 「父の復讐が大きな軸としてあるので、そこをしっかりと表現していきたい」。 鍵になるのが、自身の催眠にかかったミスパンダとの関係性。「『生まれたての赤ちゃんを、かわいがっているみたいにやってください』と言われ、そこでつかめた気がしました。親と子のような感覚でいます。ミスパンダは自分が生んだものでかわいい。復讐のために利用しているけど、子供のような存在なので彼女に対しては優しさもある。1、2話を通して、2人の関係性がどう変わっていくのかにも注目してもらいたいですね」

 昨年の日テレ系「あなたの番です」では、「―反撃編―」に登場し、大学院生役を好演。「今日から俺は!」「3年A組―今から皆さんは、人質です―」といったヒット作の多い枠で、4か月ぶりに、しかも主演で戻ってきた。

 「光栄ですね。挑戦的な作品が多い枠で、さらに攻めていると思う。僕たちも結末が分かっていない。どういうラストが待っているのか、この先どうなっていくのかという楽しさを一緒になって感じてほしい。グレーな出来事にシロクロ付けるのは、見ていてスカッとすると思う。一緒になって楽しんでほしい」

 小学6年の時に東京・原宿でスカウトされ、芸能界に飛び込んだ。「当時は別世界という印象。自分がテレビに出られるなんて一切思っていなかったですね。その頃は空手に励んでいた。テレビに出られるなら出てみたいという軽い気持ちで、今の事務所(スターダストプロモーション)に入りました。お仕事をする中で、芝居をやりたいという思いが芽生えていきました」

 小学1年から極真空手に励み、2011年の国際青少年空手道選手権大会13・14歳男子55キロの部で優勝するなどの実績を誇る。転機は高校1年の時、12年の同大会15歳男子65キロの部に出場したが、結果は3位だった。

 「両立したかったけど、その時、自分の体力では(今のままでは大会に)出場できないと分かったんです」

 しばらくしてテレビ朝日系のスーパー戦隊シリーズ「烈車戦隊トッキュウジャー」のヒカリ/トッキュウ4号役のオーディションに合格した。約1年に及ぶ撮影を経験したことが大きな分岐点になった。

 「学校のような感じで作品を作ることの楽しさ、芝居の面白さを学ぶことができた。『この世界で生きていきたい』『お芝居をやりたい』というのが強くなりました」

 大学進学をどうするかを考えていた時期。悩んだ末に、役者一本で生きると決めた。

 「空手は、師範が『やめなくてもいいんじゃないか?』と言ってくれたので、高校3年まで練習に参加させてもらいました。籍を残してくれていて、いつでも帰れるようになっています」

 昨年1月期のTBS系「初めて恋をした日に読む話」(深田恭子主演)で髪の毛をピンク色に染めた不良高校生役を熱演し、ブレイクにつなげた。「『はじ恋』が大きく変えてくれたし、そのきっかけをくれた」と感謝する。

 同時期に異なる作品(TBS系ドラマ「4分間のマリーゴールド」と今秋公開の映画「きみの瞳がといかけている」)を撮影する経験も初めてだった。「たくさんの先輩俳優さんがされていますけど、大変でした。それぞれ、料理男子と過去を閉ざしたキックボクサー(の役)。ドラマの撮影期間中にどんどんと体形が変わってしまい、用意されていた衣装が1度、着られなくなることもありました。(役どころもあってか)ドラマの現場でリフレッシュというか、心がきれいになる感じがありました」

 2019年はあっという間の1年だったかと思えば、そうでもないという。

 「トータルで考えると、一番長く感じたかもしれません。濃いと(時間がたつのが)早いと言うけど、僕の場合は濃すぎて長かった。『はじ恋』は結構前の感じがしますけど、まだ、昨年の出来事なんですよね」

 周囲の喧騒(けんそう)をよそに冷静沈着。武道で培った精神性からか、踊らされることはない。

 「自分は変わらず、作品と役に向き合っていくだけです。浮つかずにやるべきことをやる―というスタンスは大事にしたい。昨年はたくさんの人に知ってもらい、応援までしていただきました。今年はまた新たなスタート。その一歩目がこの作品になる。責任と向上心を忘れず、視聴者の方に楽しんでもらえるように頑張りたい」

 作品のタイトルにかけて「シロクロつけたいこと」を聞かれ、熟考した。「気になったら、すぐに行動に移すタイプ。分からないことでモヤモヤするのが一番嫌なので、何かの形で伝えたりもしますね。今はシロクロを付けられているのかなと思います」と語った。

 今作を代表作にしたいかという問いに、横浜は「します!」と笑顔で答えた。群雄割拠の若手俳優陣の中、2020年も話題の中心にいる。

 ◆横浜流星(よこはま・りゅうせい)1996年9月16日、神奈川県出身。23歳。2011年俳優デビュー。18年「兄友」で映画単独初主演。17年映画「キセキ ―あの日のソビト―」の「グリーンボーイズ」として、CDデビューも果たした。今秋公開の映画「きみの瞳が問いかけている」にダブル主演する。趣味は音楽鑑賞。特技は極真空手初段。血液型O。 報知新聞社