古代日本の成り立ちを紐解く 特別展『出雲と大和』開幕

引用元:ぴあ
古代日本の成り立ちを紐解く 特別展『出雲と大和』開幕

日本最古の歴史書『日本書紀』の編纂から1300年を記念し、特別展『出雲と大和』が東京国立博物館にて開幕。3月8日(日)まで開催されている。

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古代日本において、現在の島根県にあたる「出雲」は、出雲大社を中心に神々や祭祀の世界を司り、現在の奈良県にあたる「大和」は、朝廷を中心に政治の世界を司ってきた。

同展は、そんな出雲と大和の名品約170件を一堂に集め、古代日本の成立やその特質に迫るもの。「古代史」と聞くと難しく構えてしまうかもしれないが、古代から伝わる宝物や出土品が丁寧な解説や映像とともに紹介されている会場に一方足を踏み入れれば、歴史に詳しくなくてもあっという間に古代世界に引き込まれていく。

展示は「巨大本殿 出雲大社」「出雲 古代祭祀の源流」「大和 王権誕生の地」「仏と政」のテーマごとに分けられた全4章で構成。

第1章「巨大本殿 出雲大社」では、出雲大社に古くから伝わる神宝を通してその歴史が紹介される。出雲大社の境内から出土した「新御柱(しんのみはしら)」「宇豆柱(うづばしら)」と呼ばれる巨大な柱材が初めて同時公開されるほか、古代出雲大社本殿の十分の一スケールの模型など貴重な資料が並び、高さ約48メートルもあったという古代出雲大社の威容をうかがい知ることができる。

続く第2章「出雲 古代祭祀の源流」では、弥生時代の祭祀に用いられた品々を展示。荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡などから出土した、大量の銅鐸、銅剣、銅矛が一堂に展示される。

そして、第3章「大和 王権誕生の地」では、大和に出現した前方後円墳から出土した埴輪や鏡など、古墳時代の多彩な造形を紹介。ガラスや貴金属を加工した装飾品や、百済王から贈られたという鉄剣など、大陸との交流を示す品々が見られる。

最終章となる第4章「仏と政」では、6世紀半ばに伝来した仏教などの先進的な文明により、天皇を中心とした国作りが進められる中で誕生した仏の造形が紹介される。飛鳥時代の如来坐像や、最古級の石仏、唐招提寺金堂に安置される四天王像など、多様な様式に注目したい。

弥生時代から江戸時代におよぶ膨大な展示数に圧倒される同展だが、これらの展示品が当時はどのような役割を果たしていたのか、また、どんな権力者がこれらを作らせたのかと、想像力を駆使することで多様な楽しみ方ができるはずだ。

【開催情報】
『日本書記成立1300年 特別展「出雲と大和」』 3月8日(日)まで東京国立博物館にて開催