会社員ラッパー「絶対忘れるな」普通の大人に普通の大人が熱狂する理由「やりたいことはやったほうがいい」

引用元:withnews
会社員ラッパー「絶対忘れるな」普通の大人に普通の大人が熱狂する理由「やりたいことはやったほうがいい」

平日の退勤後、あなたは何をして過ごしますか。何かになりたいと思っていたけれど、大人になると、我慢することが増えたと思ってふたをする。ステージに立てるのは別世界の人……なんていうモヤモヤを晴らす5人組みがいます。全員が会社員。楽器が難しくて重いからラップに。仕事を終えたら全力で音楽活動にコミットしCDデビュー。アイドル、ミュージシャンとの共演も多い。「こうあるべき」を踏み越えた会社員ラップグループ「絶対忘れるな」を取材しました。

【写真】ライブ会場は営業前の「銭湯」 湯船ギリギリのところで叫ぶ5人、汗だくの観客

異様な熱気に包まれる銭湯

2019年11月上旬、お湯が張られた東京・大塚の銭湯「大塚記念湯」に、靴下を脱いだ約100人の大人たちが集まった。
彼らの目線の先には、ひざまで裾をまくり上げ、浴槽のへりに立ちマイクを握る5人の姿。
営業前の湯に転落しないよう、ぎりぎりの場所でライムを刻む。
ラップグループ「絶対忘れるな」(通称「ぜわす」)だ。

リードボーカルの志賀ラミーさんが「境界線なんてないのでもっと前に来てください!!」と観客に呼びかけると、ワッと歓声が湧き起こりステージと客席は0距離に。
グループ最大のヒット曲「平日ナイトフィーバー」を、額に汗を滲ませながら熱唱した。

「境界線なんてない」のはステージと客席の距離が近いというだけではない。

「僕たちは会社で働く普通のおじさん、おばさんなんですよ」

そう、メンバーは全員、平日お勤めをする社会人である。

地に足つけて、夢を叶える

会社員が、仕事の合間にライブをやる。
普通の大人たちに、普通の大人たちが熱狂する。

惹きつけられるのは、彼らが会社員を軸として生きながらも、好きな音楽の世界をとことん楽しみ続けることで、各々の夢を着実に叶えていっているところだ。

平日はフルタイムで働き、ほとんどのメンバーが家庭を持っている。

大学卒業後はTシャツ制作会社や出版社、不動産関係など、音楽とは無関係の仕事にそれぞれ就職。漫画の編集や不動産の事務職にも追われる日々だ。

ライブ前の音合わせ練習も1、2度。無理はしない。

がむしゃらに夢を追うのではなく、地に足をつけながら少しずつ手に入れたいものを手にしていく。

好きなバンドと同じステージに立つ。
好きなアイドルと一緒にライブをする。
ゆるく10年間をつなぎながら、なによりも「承認欲求の権化」という自分たちの表現の場を広げていく。

売れるためではなく、自分たちの「楽しい」を突き詰める。

<いつか死ぬとはわかっていても
暮らしにかまけて忘れているな
いつか終わりが来るなら
会いたい人と会おう――「平日ナイトフィーバー」>