熱演の広瀬すず「頭痛で寝込んだ」 岩井俊二監督新作「ラストレター」

引用元:産経新聞
熱演の広瀬すず「頭痛で寝込んだ」 岩井俊二監督新作「ラストレター」

 4年ぶりの新作で、松たか子(42)ら過去作の主演陣が大挙出演していることも話題の岩井俊二監督(56)の「ラストレター」。主演の一人、広瀬すず(21)は「居心地はよかったけれど、頭痛で寝込んでしまった」と撮影を振り返る。何があったのか?(石井健)

 「リップヴァンウィンクルの花嫁」(平成28年)以来の岩井監督の新作だ。「叙情」と「闇」という人の心の両極を作品ごとに作り分けてきたが、新作は両者を一つの世界に描いた。題名は代表作「Love Letter」(7年)を想起させ、同作の中山美穂(49)と豊川悦司(57)も出演するなど、新作は岩井監督の才能と資質を総結集させたといっていい。

 広瀬は、高校生の遠野鮎美とその母、未咲の高校時代の2役を演じる。未咲の妹、裕里(ゆうり)を演じる森七菜(なな、18)も、裕里の娘、颯香(そよか)と2役。若い広瀬と森は、いわばこの作品の叙情の象徴だ。

 「さらっとしていて、すごく居やすかった」。広瀬は、初参加の“岩井組”の雰囲気を独特の言葉で表す。岩井監督の下、スタッフも俳優も以心伝心で円滑に動いていたという。

 松が演じる長じた裕里が、姉の同窓会に代理で出席。かつて憧れた乙坂鏡史郎(福山雅治)と再会し、手紙を出したことで止まっていた時間が動き出す。だが、その結果…。

 「君にまだずっと恋してるって言ったら、信じますか?」。劇中で鏡史郎のいちずさを表す言葉だが、広瀬は「こんな人が世の中にいっぱいいたらいい」と、その繊細さに打たれた。鏡史郎を演じる福山の集中力の高い芝居に全力で応えたら、頭痛がして寝込んでしまった。「エネルギーを吸い取られた。まれにあるけど、頭が痛くなったのは初めて。福山さん、すごいなあと改めて思った」

 昨年は、通算100作目となるNHKの朝ドラ「なつぞら」でヒロインのなつの半生を演じた。3月には主演映画「一度死んでみた」が控えている。

 「楽しい。人生が進んでいるという感じ。お芝居がしたいというより、早く撮影現場に行きたいなあ、みたいな。あの空間にいたいという感じ。好きなんだろうなあ、この仕事が」

 「ラストレター」は、17日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。2時間1分。

 ■ひろせ・すず 平成10年6月生まれ。静岡県出身。雑誌モデルとして24年、芸能界に。27年、映画「海街diary」(是枝裕和監督)で映画賞の新人賞を総なめ。28年「ちはやふる」(小泉徳宏監督)で映画初主演。ドラマ、声優、歌に司会と幅広く活躍している。